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第五章第三話 少年を探して、

おはようございます。リリーです。

今とてつもないほど怒っています。

昨日の夜はジンになだめられました。

しかし、ジンは何故あんなに冷静でいられるのかわかりません。

だってあの子供はちょ~っと能力があったからって、今までいた村から迫害されて半年間もずーっとひとりぼっちで生活していたんですよ?

どう考えてもかわいそう過ぎるでしょ!

私達よりも年下なのに、何でこんなに酷い目にあわなきゃいけないの?

そりゃあ、生まれたときから他人に恨まれている人もいるかもしれない。


でも私はそういう人よりもあの子のほうがもっと残酷だと思う。

今まで家族だと思っていた人たちから、今まで友達だと思っていた人たちから、今まで仲間だと思っていた人たちから、今まで過ごしていた大切な村から、容赦なく迫害されたなんて。

信頼していた人から裏切られることは、初めから誰かと敵対することよりもずっとつらいこと・・・・・・いいえ。

悲しいことなんです。


つらいことに耐えられなければ、逃げればいい。

でも、悲しいことは?


逃げられない。


ずっと『心』に纏わりつく。

体にへばり付いた乾いた泥を拭うようにはいかない。


支えがなくちゃいけない。

か弱い小枝でもなんでも良いから。

心を許せる誰かが居なくちゃいけない。


涙を流さなくちゃいけない。


--------------------



「・・・・・・いないな」


俺は今一人で、森にいるはずのあいつを探し回っていた。

一人なのはわざわざ理由を言わなくてもわかるだろう。

朝早くから昼近くまで適当に歩き回ってみたが、見つからなかった。

とりあえず注意を払いながら沈んだ船の所へ、もう一度向かってみることにした。


そこには、黒ずんだ血だまりの中で倒れている何人もの死体と、壊れて沈んだ船の木片と、海の上に突き出ている岩山。

が目に入った。


こんなものを見ても気分が悪い。

だが俺は今、同時に船が壊れてなければこの島を脱出できたかもしれないと考えていた。

向こうの大陸には一体何があるのか。

正直、行けることならば今すぐにでも行きたい。

だが、今の俺にはやることがある。

あいつを何とかしなきゃいけない。

もしかしたら能力者にもかかわらずあの村に行っているのかもしれない。

心配だ。戻るか?

そう思って村の方向へ向き直る。


・・・・・・いや、行く必要がなくなった。

あいつは俺の前に現れた。

現れて、明らかに俺が気づいたのを確認した後、森の奥に消えた。

誘ってるのか?

・・・・・・注意しながら行けば問題はないか。

俺はあいつを追いかけなきゃいけない。

俺の目的のために。




「ようやく来たか。ちょっと周りに気を配りすぎなんじゃないか?びくびくしてても仕方ないだろ?」

探していた男は空けた場所に、片手を腰に当て仁王立ちしていた。


「俺から必死で逃げていたくせに。わざわざ会いに来るって事は、何か俺を倒すような作戦か罠を作ってきたって事だろ?そんな奴相手に注意しすぎるに越したことはない。まぁ、この森は俺の家みたいなものだからな、あんたが罠を張っていたりすればすぐに違和感に気づくかもしれないがな」


「この前は一言も話さずに乗客を殺していたのに、意外とお喋りなんだな。で?自分が殺めた人たちにきちんとお祈りは済ませてきたかい?僕ちゃん?」


「・・・・・・確かにあんた達のほうが年上のようだが、その呼び方は気に食わないな」


「じゃあ名前を教えてくれないか?」


「・・・・・・クリア。『クリア・フリップ』だ。あんたは?」


「俺は『ジン・ステイル』だ」


「偉そうに言うなよ。もう一人の抱えていた女は?」


「偉そう。と言われても、俺は名前に誇りがあるからな。因みに彼女の名前は『リリー・ネック』だ」


「俺はあの女をどこへやったかを聞いているんだが?」


「・・・・・・」


「あんたは神、というのはどんな奴だと思う?」


「・・・・・・どういう意味だ?」


「俺はこの力のせいで村を追い出された。だがあの時、俺はこの力を欲した」


「・・・・・・何故?」


「守るためさ」


「何を?」


「村を」


「・・・・・・」


「あんたみたいな奴らからな!!」




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