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Last color  作者: 蒼井 紫杏
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第43話

どうぞ、ご意見ご感想を♪

「パパが……何……?」

「ジョシュはDifferent color《覚醒者》だと言ったんだ」

「う、嘘でしょ!ジョシュ兄さんがヴァンパイア!?」

「あぁ、そこからなのか。ユキは知っていたか?」

「……………」

「ジョシュから何も聞いていなかったのか?」

「何も聞いてない……ママかパパがヴァンパイアなのであればパパだろうとは思ってた」

「……そうか。そうだな」


……本当は、パパもママもヴァンパイアじゃないって言って欲しかった。わたしは優真にヴァンパイアにされただけなんだって……


「で、でもジョシュ兄さんがヴァンパイアだったなんて……」

「ジョシュがヴァンパイアで何か問題があるのかな。ユキがDifferent color《覚醒者》じゃないのなら、必然的に両親のどちらかはヴァンパイアなのだからね。茜は出自がはっきりしているから有り得ないだろう?」

「そう……なんでしょうけど……驚いてはいるわ」

「というか、みちるはジョシュの事も知っているのかな?オレとしてはそっちの方がおどろ――みちる……もしかして香山陽季の娘か?」

「……そうだけれど。父を知っているのかしら?」


陽季様……!?


「あぁ、知っている。あれは元気にしてい――」

「フィー!!!陽季様にまで何をしようとしているの!!」

「はっ?あ、いや別に何もしない。知り合いだと言っただろう?」

「わたしの周りの人たちに対して勝手に接触しないで!!!」

「えっ、あの、だからだな……」

「ユキちゃん、落ち着きなさい。貴女は父とどういうお知り合いなのかしら」

「はぁーーー。いや、だからジョシュがあいつに拾われたからな。もう40年程の付き合いになるか」

「あっ!……そうだね……」


そうか。そう言われてみれば、確かにフィーが陽季様の事を知っていてもおかしくはない。


「………ちょっと待ってくれるかしら」

「うん?どうした?」

「40年の付き合いなの?」

「あぁ、そんなもんだろうな」

「それはおかしいわよ。文哉兄さんとジョシュ兄さんは同い年だったはずよ。ジョシュ兄さんが家に来たのが文哉兄さんが6歳の時だと聞いたわ。そして、もし文哉兄さんが生きていたら今年39歳……」

「どうして矛盾が発生するか……か?ならジョシュがヴァンパイアだからと答えるな」

「あ……」


……………


「そうだ。ジョシュは陽季に拾われた時6歳なんかじゃなかった。オレがジョシュを見つけたのは60年程前だが、その時点で50年は生きていたよ」


パパは……ヴァンパイアだから……


「……それでも変じゃないかしら」

「何が?」

「40年は言い過ぎよ。文哉兄さんが6歳の時にジョシュ兄さんが引き取られたのよ?それから単純に計算しても33年しか経ってな――そういうこと……」

「気が付いたか?」


そういうこと……なのだろう……


「ジョシュ兄さんは、文哉兄さんが産まれる前から御父様と面識があったのね」

「そうだ。陽季が犯罪の横行する裏町で一人隠れるように生きていた6歳(・・・・)の姿のジョシュと逢ったのは40年前。ジョシュは一つの場所に長く住むことは無かった。それは、あいつが人でない事を周りに隠す為だ。もちろん、親しい付き合いの奴なんているわけがない。あいつは、周りの全ての人間を信じていなかったからな……」

「フィーはパパをずっと見てたのね?それはBox《協会》の者として?」

「いや、そうじゃな――そうだな……Box《協会》の任務だからと言わなければならないな……」

「貴女、この段階でも隠すようなことがあるのかしら?」

「……………」


黙り込むフィーは、少し悩んでから口を開いた。


「……私的な事で動いてはいけない」

「どういう意味かしら?」

「Box《協会》の任務は優先すべき事だ。例えそれが自分の感情と相反する事であっても……」

「それは、つまりジョシュ兄さんの事を監視したくはなかったということ?」

「いや、あの時ジョシュから目を離す事は出来ない事だった。それは間違っていない。出来るなら見守ると言って欲しいがね」

「そう。パパを見守ってくれていたの」

「オレとしては、そのつもりだったよ」

「ねぇ、おかしくないかしら?」

「何がだ」

「Box《協会》はヴァンパイアを管理しているのよね?」

「……あぁ」

「それなのに、ジョシュ兄さんはBox《協会》の恩恵を受けていないように感じるわ。違うかしら?」

「…………」

「さっきの奏音さんの話しだと、Different color《覚醒者》も5世代までにしか確認されていないから、管理出来ているのよね?」

「…………みちる。わかっていて聞いているのだろう?」

「……………」


パパは……


「――パパは何も知らない親から生まれたのね……」

「……そうだ」

「…………」


パパは……愛された子じゃなかった……


「ジョシュの年齢はハッキリと聞いていないから何世代目の隔世なのか分からないが、5世代までの隔世なのは間違いないだろう」

「ジョシュ兄さんの年齢……ヴァンパイアは好きな年齢の姿でいられるのかしら?ジョシュ兄さんは子供の容姿だったわけだし……」

「通常なら人間と同じスピードで容姿も変化する。ただ、みちるが言った様に自身の任意の年齢で姿を変異出来る……細胞を置き換えると言った方が正しいのかな」

「そうでしょうね。貴女が本当に600年以上も生きているのなら、想像も出来ない姿でしょうし」

「そうだな。オレもそれは想像したくない」


単なる動けるミイラじゃない……


「ジョシュ兄さんは、何故子供の姿でいたのかしら。一人で生きていくには不都合が多すぎると思うのだけれど……」

「ジョシュは……力を使って子供の姿を保っていたわけじゃない」

「……どういうこと?」

「力を使わなければ人間と同じスピードで成長するのでしょう?」

「普通はな……あいつが周りの人間全てを信じなくなった……その原因が何かなんて簡単に想像が出来る。あいつは……成長を……生きる事をやめたんだ……」

「……つまり――」

「つまりパパは……家族に捨てられたのが原因で……」

「小さい時から徐々にヴァンパイアとしての力が覚醒していったのだろうな。自分が人間じゃないかもしれないなんて意識もなかっただろう。ただ、愛されるはずの親からも奇異の目を向けられ……恐れられ成長するしかなかったあいつが、感情と言うものを失うのは当然の流れだった。周りに対して隔離され、覚醒しているにも関わらずColor coating《補色》する事も出来ないヴァンパイアの身体は……力が暴走する寸前まで追い詰められていたかもしれないな。そして……この世で一番自分を愛してくれているはずの親に殺されそうになって初めて気が付くんだよ。……自分が人間じゃなかったって……」

「そんな……ジョシュ兄さん……」


…………


「ジョシュが人間として生きる事をやめ、一人で生きるようになって何十年……まぁ50年程だとは思うが……それくらい経った時、やっとオレは……Box《協会》はジョシュを見つけた」

「Box《協会》はジョシュ兄さんの事を知っていて探していたという事かしら?」

「オレが探していたんだ」

「貴女が個人的にということ?何故?」

「ジョシュは200年前に死んだヴァンパイアの子孫だったからだ。……知り合いのな」

「そう……なの……」


…………


「ユキ様。大丈夫で御座いますか?」

「えっ?あ……な、何?」

「ユキちゃん……」

「ユキ大丈夫か?」

「だ、大丈夫だよ?それより、陽季様はパパがヴァンパイアだと知ってて引き取ってくれたって事?」

「あぁ、ジョシュも最初は逃げ回っていたんだがな。あの陽季っていうのはなかなか面白い人間で、ジョシュが年を取らない事に気が付いても追いかけまわしてたんだ。陽季の子供が6歳の年、オレが引き取るか陽季が引き取るかの二択で迫ったんだよ。ジョシュは陽季といくことを選んだんだ」

「……フィーはパパの事が好きだったの?」


フィーの顔が少し悲しげに見えたからつい口が滑った……


「オレがジョシュを?あぁー恋愛的な意味で言うなら無いからな!確かに弟みたいだったな……家族にはなりたかったよ。まぁ、あいつは野良犬で本当に誰の事も信用してなかったからな。オレには無理だったけど陽季がジョシュの家族になってくれて……良かった」


それなら……


「200年前に死んだヴァンパイア……私の先祖よね?フィーは知り合いだと言ったけれど……」

「あぁ、知り合いじゃないな。……親友だったよ」


そんなに辛そうな顔しないでよ。聞きにくくなるじゃない……


「…………」

「どうして死んだの?」

「……みちるさん?」


まるで、わたしの責を被る様にフィーに対して質問をするみちるさんが、布団の下でギュッとわたしの手を握る。


「ふんっ、みちるがその質問をするのか」


フィーの冷たい視線。でも怖くは無い。だって……とても悲しい目をしていたから。

興味本位で聞いてはいけない気もする。でも、先祖の死……ヴァンパイアの死という事実を聞いておきたかった。

その気持ちを読み取ったかのように、もう一度強く握られた手。


「聞いてはいけないかしら?」

「どうして死んだ……か……それはどっちの質問かな?」

「どっちってどういう意味なの?」

「どうやって死んだのか…か?それとも……何故死んだのか……か?」


みちるさんの質問に対する回答のはずなのに、わたしの目を見て話すフィー……


「話せるなら両方教えて頂戴」

「…………」


みちるさんの方を向く事も無く、黙ったままわたしの目を見続けるフィー

強く握られた手……逸らしそうになる視線を無理やり固定する。


「ヴァンパイアが死ぬ方法は二種類だけだ。共に特殊な血が必要なだけで、案外簡単なもんだよ」


特殊な……血?

あー、分かってしまった。わたしの血なんだね……。あの薄れゆく意識の中で見た優真の口元を濡らす赤い……あいつはわたしの血を飲んだから死んだんだね……


「それは飲む必要があるの?」

「いや、体内に入れば問題ない。ただし、採血後すぐの血でなければ意味が無いのと時間がたてば効力は無くなる。更に言うなら直接飲むならまだしも、それ以外で体内にいれるとなると量が難しい所だろうな。ヴァンパイアとして基本的に浄化能力があるから、それを超える分量が必要だ。所謂致死量だな。ヴァンパイアが死ぬなら、死ぬ本人が直接血を摂取するか、採取後すぐの血を注射器なんかで直接入れるか、Box《協会》のColor reaper《救済者》みたいに特殊な血を持つ者が意思をもってヴァンパイアに血を流しこむかだな」

「Color reaper《救済者》って何かしら?」

「みちるさん、きっとそなままの意味ですよ」

「そうだ。ヴァンパイアにとって死を司る者。特殊な血を持つ者が、暴走したヴァンパイアを止める為に処分する……Box《協会》の重要な役割の一部だよ」

「……わたしは、その特別な血なのね?」

「ユキちゃん?」

「……そうだ」

「そう」

「ユキちゃんの血が……?」

「あぁ。ユキはPredominant color《真性者》だからな」

「じゃあ、わたし自身が暴走した場合はどうやって止めるの?もう一つの特別な血?」

「別に本人以外の血なら有効だよ。だからColor reaper《救済者》が動くだろうな……優真も……ユキと同じPredominant color《真性者》だった」

「………そう」


あいつは……死を望んでたんだろうか……


「ユキちゃんの先祖は?」

「Predominant color《真性者》の血、それはDyeing blood《染色》でLast color 《久遠者》となった者には効力をなさない」


………?


「……噛み砕いて言ってくれるかしら」

「噛み砕いて……ね。ユキやオレを消滅させることが出来る特別な血はPredominant color《真性者》の血だ」

「えぇ。そのようね」

「Dyeing blood《染色》というのは……なんて言えばいいのかな……」

「番になるための儀式で御座いましょうか」

「奏音……間違ってないけど、もうちょっと柔らかく言えばいいと思うよ。あーー、ヴァンパイアが一生を共にする相手と誓いを結ぶ儀式だな」

「私とユキ様が行った契約守護獣の夫婦版と考えて頂ければ分かりやすいかと思います」


そんな罪深い行為……


「そう。それで?」

「Last color 《久遠者》とは、その契りを結んだ二人……まぁ夫婦のことだな」

「なるほど。分かったわ。つまり、一人身にはPredominant color《真性者》の血が有効だけど、夫婦者には効果がないということね?」


「正解。Last color 《久遠者》となった者に有効なのはお互いの血だ……」

「愛した人の……血……」

「もちろん、通常ならそんなことはない。なんせ、Last color 《久遠者》は通常お互いの血でColor coating《補色》するのだからな。ただ、お互いが理解し死を望み血を分け与えた場合……その者を殺す唯一の毒となる」


…………


「ユキの先祖は……彼女たちは死を選んだ。1人はLast color 《久遠者》の血によって1人は……Color reaper《救済者》が殺した」

「ちょっと待って!何故なの?」

「Last color 《久遠者》を失った半身は、必ず暴走するからだ。だからLast color 《久遠者》がいなくなった場合Color reaper《救済者》が――」

「違うわ、そうじゃない!二人はお互いの血で死ねるのではないの?」

「………」

「変質してしまうからで御座います」

「変質?」

「血を摂取するとヴァンパイアとしての身体から変質するのです。見た目ではなく能力の問題で。ですので――」

「そんなの、さっき言ったように注射器でもなんでも使えばいいと思うわ!」

「言ったはずだ!Last color 《久遠者》は、お互いが理解し死を望み血を分け与えた場合に毒となると……」


つまり……


「直接相手から摂取しないといけないんだね……」

「……そういうことだ」

「そんな……愛した人の血でしか死ねないのに……その機会も奪われるの?」

「そうだな。……だから殺すしかないんだ……親友でも助けられない……彼女たちが死を望むなら……殺してやることこそが救いだったんだ……」


フィー……


「何故、その人たちはそこまで死を望んだのかしら?」

「時の長さの違いだよ」

「時?」

「彼女たちはLast color 《久遠者》となり6人の子供を産んだ。だけど、何故なのか産まれてくる子が皆Colorlessness《退色》だった。自分より先に老い、自分より先に死んでいく。Last color 《久遠者》といえどDyeing blood《染色》するまでは普通の人間だった親友の妻は、時の流れについていけなくなったんだ。段々と生そのものを拒絶するようになる。そんな愛する人を見てた親友は、自分を責めた。普通の人間としての生を永遠に縛り付けてしまった責任を感じていた……やがて6人目の子供が生まれ、その子がColorlessness《退色》だと分かった時……何もかもが壊れた。子供をつれ行方をくらました彼女が10年後に暴走ぎりぎりの状態で見つかり、そんな彼女に死を与えた親友は……」

「「「………」」」

「面白い話でもないだろう?」

「話してくれてありがとう」

「フィーは……その親友の子孫をずっと見守ってるの?パパもわたしも……」

「……200年前もジョシュの時も何か出来る事があったはずなんだ。だけど、もう今更だろう?今度は後悔したくない。ユキは守るよ」


…………そう


「Colorlessness《退色》ばかりが産まれるのは体質なのかしら?」

「いや、そうでもないだろう。母体も変更していたしな」

「「…………は?」」


ちょっと待って?


「どういう意味?」

「どういう?母体を変更?だが?これ以上砕くのか?」

「母体って……」

「そこからか?子供を産む者?だな」

「変更?」

「いや、それは分かるだろう」

「「どうやって!?」」


夫婦って普通は、妻が妊娠するんですよね?ヴァンパイアってそんなところも違うの??


「どうって……」

「フィオナ様。矢原先生もユキ様も、そもそもを御存じありませんので……」

「あぁ、そういうことか。ヴァンパイアのパートナーは必ず女性だ」

「「は?」」

「だから、男性体ヴァンパイアだと母体変更は無理だが、女性体ヴァンパイアの場合はどちらも母体となることが出来る」

「「は??」」


いやいやいや


「そもそも女性同士で子供なんて――」

「人間同士でもあるまいし、出来るに決まってるだろう?そうじゃなきゃ、今頃ヴァンパイアは絶滅してるだろうが」

「…………」


いやいやいや


「そもそも女性同士って――」

「男の血なんか吸えるか?おい、ユキ……お前まさか男に欲情するのか?」


なんだろう……もの凄く痛い子を見るその目……

一見、まともなことを言っているようなこの空気……


「い、いや欲情って……」

「Color coating《補色》と性欲なんて同一だろうが。男の血でColor coating《補色》するヴァンパイアなんて見たことないぞ!」


な、なんだろう……これって正論なの?


「い、いや…あの……」

「大体、ユキはみちるでColor coating《補色》してるんだろう?じゃあ、何も間違ってないじゃないか」

「え!!!はっ!はぁ!?」


思わず、みちるさんの顔を見るけど……真っ赤な顔を思い切り逸らされちゃったじゃないですか!!!

握った手を意識して、それでも離せなくて……

って!!


「な、何にやにやして見てんのよーーーー!!!!」

うんうん。ジョシュパパの過去。

更に先祖の秘密ですな。

フィーは意外とツラいを経験をしています。それでも……飄々と流せるフィーがカッコいいです!キャーーー

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