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Last color  作者: 蒼井 紫杏
43/44

第42話

予約投稿うまく出来てなかった…

説明回です。ようやく謎部分が分かる……のか?

「はぁー……」


静まり返った保健室の中で奏音ちゃんがゆっくりと息を吐く。


「フィオナ様、お力を御戻し下さい」

「あぁ、悪い。そんなに怖がらないでくれないか」


無意識にみちるさんの身体を後ろに引き寄せていたわたしに手を伸ばす……

これは……誰?


「ユキ……」

「ち、近づかないで!!」


いつもの見た目に戻ったフィーの顔で傷ついたような表情しないで……振り払った手……わたしが悪いみたいな気分にさせないで……


「ユキ様。ユキ様もお力が……その…御戻し下さい」

「いや、もう少し見せてくれないか」

「は?しかしユキ様の――」

「オレの力の匂いで誤魔化せるから」


落ち着けーーー。落ち着けーーーーーー。ほら、大分コントロール出来るようになってきたんだから。

好きで見せたわけじゃないから!これ以上見せるつもりもないから!


「ハハハ。ユキは天邪鬼だ。でも……自分の目で確認出来て良かった。そうか……分かってはいたが…覚醒したんだな……」


覚醒?それってやっぱり、わたしは元々ヴァンパイアなの?


「覚醒で御座いますか。では、やはりユキ様はDifferent color《覚醒者》」


はい?何それ?隔世なの?


「いや、違う」


違うんだ。


「……!?それではまさかユキ様は!!」

「………Predominant color《真性者》」

「!?」


…………誰に説明しに来てるの?全く分からない会話が進んでるんですけど?

凄い驚愕の事実!?みたいな感じで奏音ちゃんがわたしを見てますけど、わたしはどういう反応をすればいいの?


「ねぇ、貴女達だけで会話をするの止めてくれないかしら。わたしたち……せめて本人であるユキちゃんにはきちんと説明するべきじゃない?」

「し、失礼致しました」


あ、ありがとうございます。


「そうだな。なんでも答えてやるよ、ユキ。その前に、みちるはここに居ていいのかな?」

「みちるさんには聞く権利がありますから」

「聞く権利……ねぇ。まぁ、いい。じゃあ何から聞きたいんだ?Predominant color《真性者》についてか?」


そんなことはどうでもいい……わたしが聞きたい事なんて……


「……わたしは死ねるの?」

「ユキちゃん!?」「ユキ様!!」

「……………あぁ。死ねるよ」

「フィオナ様!?」


そう……


「どうやって?」

「その質問をする意味が知りたいな」


意味なんて……


「自分が死ぬ方法くらい知っててもいいでしょ?」


あいつは……どうやって死んだの?


「何より先にする質問がそれか?」

「ヴァンパイアなんて化け物にも死があるって確認したいだけ」

「死……ね。人間が空想するよりもヴァンパイアの死なんて綺麗なもんじゃない」


綺麗な死なんて望んでない……


「灰になるのでしょう?」

「みちる。ヴァンパイアが灰になるところを見たことがあるか?」

「いいえ。そんな場面に出くわしたことはもちろんないわ。でも、そういうイメージがあるじゃない」

「イメージね。じゃあ、ヴァンパイアは太陽の光で死ぬのか?例えば木の杭を心臓に射されれば?銀の弾丸で?にんにくが苦手でクロスが苦手か?」

「それは……ユキちゃんに限って言うなら太陽の光は大丈夫そうね。にんにくもクロスも……木の杭や銀の弾丸は分からないわ」

「みちるさん。そんなことじゃ死なないですよ。首を切ったところで生きてる化け物です。人間だったら生きる為に必要とする食事なんかを断ったところで、化け物だから生き続けるんです。例え呼吸をしなくたって生きてるんですよ……。だから知りたいんです。どうしたら死ねるのか……」

「……どうして……そんなことが分かるの?」

「え?」

「……そんなことじゃ死ねないなんて――」

「試したのか……」


…………


「試してなんて……」

「……死……にたいの…?」


死に……たい…


「……やだなぁ、みちるさん。死にたいわけじゃないですよ。あくまで知りたいだけです」

「「…………」」

「約束だから教える。だけど、先に説明しても分からない事だから順番にだ」


じゃあ、何から聞きたいかなんて言わずに最初から順番に説明してくれたらいいのに……


「……どうぞ」

「………何から説明したらいいんだろうな」

「「「……………」」」


知らないわ!


「フィオナさん、わたしが質問してもいいのかしら?」

「フィーでいいと言っただろう?しかし……みちるが質問ね……」

「はい。みちるさん。どうぞ!」


まかせてしまおう。


「さっき、貴女達はユキちゃんの事について話していたでしょう?Predominant color《真性者》だったかしら?それは一体どういう意味なの?」


そういえば、なんか驚かれていた気がする。


「そうだな。ヴァンパイアは大きく4つに分ける事が出来る」

「それは、人で言うなら人種の様な物なのかしら?」

「違うな。根本的なものからして異なる。例えば寿命や能力だ」

「猫と豹とトラとライオンみたいなもの?」


その例えはどうかと思いますが……


「そうだな。おもしろい例えだが分かりやすい。訂正するなら豹ではなくヤマネコだな」


猫とヤマネコとトラとライオン……

そ、そうなんだ。


「ユキちゃんのPredominant color《真性者》というのは何になるの?」

「大体の見当はついてるんだろ?」


珍種ってこと??

イリオモテヤマネコ的な……?


「……ライオンなのね」

「間違いなく百獣の王だろうな」

「そう……」


えっと……

だったら、なんでわざわざ豹をヤマネコに訂正したんですか!?


「ライオンから順に当てはめるなら、呼び名はこうだ。

Predominant color《真性者》

Primary color《原色者》

Different color《覚醒者》

Colorlessness《退色》」

「呼び方に意味はあるの?」

「そうだな、分かりやすい意味に置き換えるなら、一般的にはこうだ

Predominant color《真性者》新生ヴァンパイア

Primary color《原色者》減色ヴァンパイア

Different color《覚醒者》隔世ヴァンパイア

Colorlessness《退色》ヴァンパイアに非ず」

「なるほどね。それなら、なんとなく意味が汲み取れそうよ」


……そうですか?


「一番分かりやすいヴァンパイアがPrimary color《原色者》減色ヴァンパイアと呼ばれている。まぁ、トラだな。親がヴァンパイアで自分もヴァンパイアというパターンだ」

「何故減色と?」

「親の力を超えることはないからだ」

「退化していくということ?」

「矢原先生、そうではありません。もちろん親である主ヴァンパイアの御力を越さぬ以上、進化とは言えませんが越さぬだけであり、同じだけの御力を継承される主が殆どで御座います」

「まぁ、殆どっていうだけだけどね。みちるの言う様にヴァンパイアとしての種がPrimary color《原色者》だけであれば、間違いなくヴァンパイアとしての能力は低下しているだろうな。だからこそ減色ヴァンパイアと呼ばれているのだから」

「一番一般的なヴァンパイアで減色なのね……」


衰える力……


「そうだ。ヴァンパイアから産まれてくる95%くらいがこれかな」

「一般的なヴァンパイアが減色なら、退色とはどういう意味があるのかしら?」

「そのままの意味だ。ヴァンパイアから産まれたがヴァンパイアとしの力を持たぬ者。猫だな」


それは……


「普通の人間になるの?」

「そうだな……怪我が治りやすくて、運動神経が良くて、頭の回転が速くて、少し寿命が長い気がする……人間ってところだな」


そんな恵まれた普通の人間いる?


「そうで御座いますね。例えば、人間側で言うと天才と言われる多くの方たちが、このColorlessness《退色》にあたります」

「天才?」

「普通の人間より優れた能力を持っているので、人間世界で共存しようとした場合目立った人物となるのです。歴史的な音楽家であったり美術家であったり建築家であったり……後は経済界で大成される場合や、政治家となられた過去も良く見られます」

「わたしたち人間は知らないだけという事ね」

「過去の偉人と言われる人物……そうだな、教科書にのっているような人物もかなりいるだろうな」


そこまで突出した能力を持ってしまったら、もう人間との共存とは言えないんじゃないかな……


「ヴァンパイアから産まれる残りの5%がこのColorlessness《退色》だな」


……あれ?


「それじゃあ、残りの2つはどうなるの?」


そう。わたしは一体何になるの?


「ヤマネコ……これはDifferent color《覚醒者》隔世ヴァンパイアだな。人から産まれた野生猫だ」

「それは……親が人間なのにヴァンパイアになってしまうということ?」

「そうだ。Colorlessness《退色》後、人間との交配を続けていくとその子孫は当たり前だがより人間としての能力に近くなる。つまりヴァンパイアとしての能力はなく人間として生きる事になる」

「先祖にヴァンパイアがいるけれど、自分自身は人間ということね」

「そうだ。その人間が産んだ子が稀にだが先祖返りすることがある」

「つまり、そのままの意味で隔世遺伝ということよね?」

「そうだな」


自分は人間だと思っていたのに化け物を産んでしまうの?


「ねぇ……」

「なんだ?」

「その人は知ってるの――?」


自分が化け物の血をひいてると……


「ユキちゃん、その人って誰の事?」

「Different color《覚醒者》を産んだ人間の事……か?なら知らない者も居ると答えるな」


そんな……


「それってどうなるの?生んでしまった方は?産まれてしまった方は?ねぇ、望まれて……生きていけるはずだったのに……」

「そうだな……自分が産んだ子でも憎めるのだろうな」

「そんなの当たり前だよね。だって化け物なんだから!幸福のまま愛する人との子供を産んだはずが、人間じゃなかったんだよ?愛せないよね??ましてや、自分の血にその化け物と同じ血が流れてるのかもしれない。もしかしたら、愛しているはずの人が化け物なのかもしれないって!!そんなの……酷過ぎる……」

「ユキ様、誰しもがそのようになるわけではありません!愛情を持って子供を育てる親もいるのです」

「そうよ。人間だって我が子への愛情があるのよ!」


…………


「ユキ様、Different color《覚醒者》はColorlessness《退色》後の5世代までにしか隔世が確認されておりません。ですので、殆どの者が自分の氏素性を理解しております。Colorlessness《退色》した者も、やはりBox《協会》が管理しておりますし、そもそもBox《協会》に関連している職につく者が殆どで御座いますから」


そうなんだ……


「それは、仕方がない事なのかもしれないけど……なんだか人間にはなりきれないですね………」

「えぇと…」

「どうして、そう思うのユキちゃん?」

「だって、Colorlessness《退色》っていうのは親はヴァンパイアなんですよ?自分だってかなり中途半端な存在です。完全な人間だとは言えませんよね」

「それは……そうかもしれないわね」


そうだよね。だって、天才とか言ったところで完全な人間じゃないから能力が高いっていうだけ。


「人間にもなりきれなかったColorlessness《退色》がBox《協会》に監視されながらも人間の中に紛れて……普通の人間だって偽って結婚して子供を作って……そうやって繰り返して、その子供や孫たちはようやく自分たちの血が人間なのかもしれないと思ってもいつまでも不安は消えない……」

「不安かしら?」

「不安ですよ。だって、普通の人間になれたと思った頃に我が子が化け物になって産まれてくるかもしれないんですよ?」

「ユキ。Different color《覚醒者》は普通のヴァンパイアであるColorlessness《退色》とは異なる」

「……生まれ方が違うってことでしょ?」

「そういう単純な事じゃない。Different color《覚醒者》は退色する」

「…………」


はい。一緒にしか聞こえませんが?


「意味が分からないわ。退色ということは一緒ではないの?」

「違う。Colorlessness《退色》で言っているのは名称だ。Different color《覚醒者》で退色と言った場合は現象だ」


分かりやすく説明してよ……


「つまりは、どういうことかしら?」

「現象での退色とは、ヴァンパイアとしての力を失う事を示している」


なに……


「それ…どういうこと?」

「Different color《覚醒者》は退色して力を失うと人となり老いて死ぬ」

「それは、Different color《覚醒者》だけなの!?」

「……そうだ」

「そう……」


じゃあ、その方法では死ねない……


「ねぇ。質問なんだけれど、退色ってどうすればなるの?」

「あぁ、子をつくればいい」

「子って……自分の子供ということかしら?」

「そうだ。但し、ヴァンパイアだけどね」


そんな……


「……子供はヴァンパイアに戻ってしまうということね」

「そうだな。Primary color《原色者》減色ヴァンパイアに逆戻りだね」

「補足させて頂きますが、Different color《覚醒者》でヴァンパイアとなるお子様はお一人です。例えばお子様が3人おられても全員が人間である場合も御座います」

「ただし、その場合は子供が人間である以上、必然的に退色はしていないことになるな」


どうして……


「……――て」

「どうしたのユキちゃん?」

「どうして、それで子供をつくろうと思えるんですかね……」

「どうしてって……」

「自分も人間の親から生まれたのに化け物で嫌だったはずなのに、なんで子供に同じ思いをさせようとするんですかね」

「………」

「あぁ、自分が化け物じゃなくなるにはその方法しかないからか……」

「そんなことは考えてないと思うけどねぇ?」

「そうよ。ユキちゃん」

「ユキ様、子供は大体が親より長生きするもので御座います。少量の血が必要という事は珍しいかもしれませんが、母乳を与えて愛情を注ぐということと置き換えて育てられます。Different color《覚醒者》は、そもそもヴァンパイアの血脈であるということを認識している親より産まれる事が多いのですから、一般の子らと同様の愛情を持って育てられております」

「そうよユキちゃん。、そんな愛情をもって育てられたDifferent color《覚醒者》が子供をつくるのに、ユキちゃんの言っているような目的なんて―――」

「まぁ、Different color《覚醒者》を産んだ人間が血脈を知らなければ、大半は我が子を化け物呼ばわりして殺そうとするんだがな」


ほら……そうなんでしょう…


「貴女は黙っていて」

「いや、ユキは現実を知らないといけない」

「何故、貴女はそんなに余計な事を言うのよ」

「ジョシュが……Different color《覚醒者》だったからだよ」

ジョシュきたー!

久しぶりの登場ですね。

ホントもう久しぶりすぎて……ジョシュって誰?

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