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Last color  作者: 蒼井 紫杏
29/44

第28話

長くなってきて、サブタイトルとか章管理とか活用しないとなーと思う今日この頃。


感想とか…なんやかんや待ってます!!

えーっと……なんだっけ?

あぁ、着替えなきゃ…

あっ……………


「服…無いし……」


そりゃそうだ。

大体ここに置いてある、この衣装ケースがおかしい。

……他人ん家だし。

この前来た時からこの衣装ケースの服を着てたけど、流石に洗濯後の服はここに片付けに来てる訳じゃない。

取り合えず、みちるさんに言って着替えに戻るか…


「あの、みちるさん。きが――」

「ユキさん!?」

「はい。………へっ?」


リビングにいるであろうみちるさんに声を掛けながら入室したつもりだったのに、横から掛けられた自分の名前に思わず返事を返してしまう。

えっと……


「蘭………さん?」


なんでここに??


「何故ここにおられるのですか?」


そう、それ!


「あ、えー……」


何故…でしょう……?


「ユキちゃん。蘭がいる理由は今日が年末だからよ」


うん?それって、どういう理由?


「蘭。ユキちゃんがいるのは……用事でさっき来たのよ」


………そうなの??


「そうなのですか?」


えっ?わたし??


「は、はい」


そうらしいです。

何故隠す必要があるのか不明だけど…

伺うようにみちるさんの顔を見る。

…うわぁ、ダメ………

さっきの………

なんだか、つい口元に目が………


「何か御用時でも?」

「えーと…」


な、なんだろう??


「朝の挨拶に」

「朝の……挨拶ですか?」


……挨拶………って!!


「ユ、ユキさん。大丈夫ですか?」

「な、何がですか!?」

「いえ、あの……顔が赤いようなので?みちる姉さん、ユキさん熱でもあるのではないで――」

「か、風邪かしらね?気をつけなさい」


うわ…みちるさん………


「…何故、二人して顔が赤くなるのでしょうか……?」


そんなことを言われても……


「…風邪がうつったのかしら」

「…………」

「まぁ…いいのですが……」


…………

いたたまれません!


「あ、あの!着替えがまだだったので着替えてきますね!!朝早くからお邪魔してすみませんでした!!」

「そ、そうね」


話しを切り上げるチャンスに乗り、リビングをあとにする。


「……11時前ですよ?朝早いでしょうか…」


リビングのドアを閉める前に聞こえた蘭さんの独り言……

…そ、そんな時間になってましたか。

後はみちるさんに誤魔化して貰いましょう。


ピンポーン


へ?

丁度玄関で靴を履こうとしていた所に鳴った呼び鈴に、ドアを開けようとしていた手を止める。。

えっと…対応した方がいいのかな?


ガチャガチャ


と思ったら……ドアが開きそうです。


「おーい。入るよーー。ってうわっ!ユキちゃん!!…び、びっくりした……」

「あ…えっと……お、おはようございます」


玄関のドアを開けたら、前にわたしが陣取っていたものだから驚いたのだろう。

和志さんが、驚いた顔のまま固まっていた。


「あぁ、やっぱり和志ね……。返事があるまで待ちなさい」

「えっ、あぁ。ごめん。ユキちゃんもごめんね」

「いえ。わたしの方こそ驚かせてしまったみたいで……」

「和志さん。こんにちわ」

「あれ?蘭ちゃん、こんにちわ。もしかして待たせた?」

「いえ。時間も決めていなかったので、確認の為に寄らせて頂いたのですよ」

「そっかそっか」

「和志さんは、何か御用事でも?」

「あぁ。ユキちゃんの着替えが必要だと思って。あ…しまった……」


ガチャ


「閉め出しかい……」

「ご、ごめんごめん。ほら…扉が勝手にね…?」


和志さんが開けたドアの外には、修さんが衣装ケースを抱えて立っていた。

……閉め出しですね。


「ユキちゃん。おはよう。どうだった?よく眠れたかい??」

「あ、おはようございます。はい。ゆっくりと」

「…あの……話しが見えませんが………」

「あ………」

「……………」


そういえば蘭さんがいましたよね…

みちるさん……どうしますか?


「あぁ、そういえば時間を決めてなかったね。蘭、お昼は?」

「…まだ……です」

「そうか。じゃあ、もう30分程待っていてくれるかい?皆で食べよう」

「はい。…私はそれで構いません」


修さんとの会話をしながら、蘭さんがチラチラこっちを見てるーーー!

み、みちるさん……助けて下さい?


「はぁーー。それで?その荷物はユキちゃんの着替えなのね?」

「そうだよ。全部は運べなかったけど、取り合えずこれだけ先に運んでみたんだ」

「「えっ?」」


まず、何もわかってない蘭さんと、わたしの声がハモる。

だって・・・今日着る分だけあればいいんじゃないんですか?


「「えっ?」」


わたしのクエスチョンに、和志さんと修さんがハモる。

ど、どういうことですか?


「みちる……何も言ってな――」

「今朝言おうと思ってたのだけれど………今起きたところなのよ…」

「あぁ…えっと………」

「はぁーーー。……二人は先に食事の用意をしておいて」

「わ、分かった。……ごめん」

「すまない……。後は任せるよ」


二人が荷物を置いてドアから出て行く。


「私も席を外した方がいいのでしょうか?」


後に残された、蘭さんが疑問を口にする。


「蘭にも説明が必要でしょ。まずはユキちゃんへの説明が先だから少しリビングで待っていて」

「…分かりました」


蘭さんの背中がリビングに消えた。


「……ユキちゃん。部屋に行きましょうか」

「はい…」


真剣な空気に促され、少し緊張しながらみちるさんの後に続く。

さっき出てきたばかりの寝室のドアを閉め、みちるさんの指示に従いベッドの端に腰掛ける。


「寝る前に言おうとしていた事なのだけれど……」

「はい」

「…どういう風に言えばいいのかしらね……」


そんなに躊躇うような事なのですか?


「それは……さっきお二人が持ってきた荷物に係わる…話しですか……」


この質問の返事がYesならば……Yes…ならば……わたしは…


「そうね。…ユキちゃんも気付いてしまったのかしら」

「……そう…ですか」


出て行かなければいけない…


「……嫌かしら?」


嫌とは…言えない…


「そんなことはないです……」


これ以上迷惑を掛けたくない…


「本当に?無理をしなくてもいいのよ?」


優しすぎるこの人たちを…


「いえ。元々丈夫な身体ですし」


わたしが……


「えっ?ユキちゃん?」


甘えた末に……


「どこででも生きていけますから」


一方的に……


「そ、そんなに酷い環境ではないつもりなのだけど…」


傷つけてしまう前に……


「…御世話になりました」


離れるべきなんだろう。


「はぁ!?え、えっと……ユキちゃん?」


取り合えず、どこに身を寄せようか…

遠野の家に帰るなんて、それこそみんなに迷惑になる。

えっと…なんとか定住出来る場所を見つけるまではカプセルホテルか……

いざとなれば公園でも可。

こういう時は生身の人間じゃないというのは強味だな。

あれ?というか無理して生きなくても……

いやいやいや、奏音ちゃんと約束したし…

大体、生きるということを止めるのは相当難しい。

というか…死に方不明……

やっぱり、どこかしらで暮らすしかないな…」

そういえば、こういう事態になった以上奏音ちゃんに報告する必要がある。

あーーー。なんて説明しようかな。


「……――ちゃん!」


あぁ…でも、言ったら部屋を提供されそう……

あっち行っても、こっち行っても迷惑をかけるのかな………


「…――ユキちゃーん!!」


どちらにせよ、ここを離れるのは奏音ちゃんにはすぐにバレる。


「……取り合えず………行かなきゃ…」


このままだと動けなくなりそうだから、停滞しそうな自分の思考を煽るように呟いて無理矢理動く。


「ユキちゃん!どこに行くの!?」


ドアの前に立ちはだかったみちるさんが、焦ったような顔でわたしを見てる。

あぁ……荷物…か?


「すみません。荷物は後程とさせて下さい」

「えぇ、そうね。荷物は男性陣に動いて貰いましょう」

「はい。……では」

「だ、だから!どこに行くつもりなの!?」


そのままドアに向かおうとしたら右腕を捉まれる。


「取りあえずは奏音ちゃんのところですね」

「…それは…………どういう意味かしら?」


どういうって……


「取り急ぎの…寝床確保………?」

「そんなに……」


えっ?


「み、みちるさん!!!?」


ど、どうしてそんなに傷ついた顔するんですか???

そんな顔させたく無いから出て行くのに……


「嫌だったのね………」


……?

何がですか?

何がですかー!

何がーーーー!?


「ど、どういう意味ですか?」

「わたしと暮らすよりも…奏音さんの方がいいという事でしょ」

「………はい?」


ちょ、ちょっと待って下さい!どこにそんな選択肢があったんですか!!?


「あぁ、そもそもわたしでは……ダメだったのね…」

「あの……み、みちるさん?」


これは……違う…

何か違うぞ……

どこで行き違った………

考えてーーーーわたし!!


「わたしといる事は、ユキちゃんにとって苦痛だった?気付いてあげられなくてごめんなさい」

「全っ然!全く持って苦痛じゃないです!!!!」

「……気を遣わなくてもいいわ」

「ちょっ!みちるさん!?」

「Color coating《補色》の協力くらいはさせて―――あぁ、……奏音さんがいるのね」

「ちょっと待って下さい!!!」


話しの刷り合わせをさせてくれませんか!?


「……何が…いけなかったのかしら。……いつ…ユキちゃんの心を遠ざけてしまったのかしら……」


聞けーーーーーぇい!!


「あのですね。みち――」

「わたしが無理矢理…キス……」


いえ!あれは……挨拶で…えっと………


「みちるさん。聞いてくださ――」

「いいのよ。……これからは気をつけるわ」

「な、何がですか?」

「ユキちゃんは嫌かもしれないけれど、学校ではどうしても顔を合わせてしまうから。なるべく気をつけて――」

「みちるさん!!」


どうして、ここまで話しが噛み合わなくなったんでしょう……


「……二人には伝えておくわ。後のこともこちらでやっておくから――」

「聞いてください!!」

「行きなさい」


あっ、ダメだ……

静かに部屋を出て行ったみちるさんは、全くこっちの話しに聞く耳を持ってくれそうにない。


えっと……

どういうことだ?

みちるさんの話しを聞く限りだと出て行けって話じゃなさそうだった…

つまり最初に勘違いしたのはわたしで、何故かみちるさんも更に上乗せ勘違い??

えっと…えっと………?

取り合えず、みちるさんとちゃんと話しをしたいけど、今の様子だと無理かな…

一旦修さんのとこに行くべきか……


リビングのドアを横目に見ながら玄関に向かう。

みちるさんが冷静になって出てきてくれないかな…


「………!!みちる姉さん!?」


ん、何!?蘭さん?

みちるさんが何!??


ガチャ


えっ?


「どこに行かれるのですか!?」

「ら、蘭さん……?」


リビングのドアから飛び出すように出てきた蘭さんが、怒っている事を隠さずにわたしに詰め寄る。


「みちる姉さんを泣かせて、どこに行かれるのですかと聞いているのです!!」

「え?……み、みちるさ………」


な……い………てる……?

理解できない。みちるさんが…泣く……?

何故……

わたしの…せい…なの……??

なんで……そんな…


「あっ、ユキさん!!!?」


蘭さんの言葉を聞いたわたしは、無意識に閉まりかけていたドアからリビングに滑り込む。

ソファーの横に立っているみちるさんがゆっくり振り返った……


なんで…………


「…………」

「………」

「……………」

「………………」

「……みちるさん………」

「…何をしているのかしら?」


えっと……


「みちるさんを抱き締めてます…」

「…何故……抱き締められてるのかしら?」


それは……


「みちるさんが泣いてたから…」

「な、泣いてないわ!」


はい。涙も引っ込んだようで。


「みちるさん。聞いて下さい」

「………何かしら?」

「まず、根本的な質問ですが………わたしはみちるさんと住むのですか?」

「……ユキちゃんが…嫌だと言ったのでしょう」


いやいやいや!


「言ってませんよ!?」

「奏音さんの所に行くと…」


そ、それは……


「わたし…あの……家を…出なければいけないのかと…誤解して……」

「…誰が誰を……追い出すのかしら?」

「いえ、あの……誤解だったようです…?」

「…じゃあ、ユキちゃんは出て行かないのね?」

「はい。出来れば……出て行きたくないです」

「出て行く必要はないわ………出て行かないでちょうだい」

「はい。あの…御世話になりなす」

「えぇ…」


あと、あのーーー……


「……朝の………嫌じゃないです」

「………」

「……………」

「……そ、そう」

「………はい」


えーと…気きたい事も聞かないといけない事も色々あるんですが……

どういうタイミングで離れるのがいいのでしょうか…?

わたしとみちるさんの身長差は……10cmくらいだろうか。

正面から抱き締めると、横に向けたみちるさんの顔が肩くらいにある。


えっと……

あぁ、みちるさんにやってもらったみたいにしたら落ち着くかな………

みちるさんのサラサラの髪を、ゆっくりと右手で梳くように撫でる。

一瞬だけ、わたしの腰に廻されていた腕に力が入ったけど、すぐにわたしの肩に凭れ掛かる様に力が抜けた。


「みちるさん……」

「……何?」


なんだか……凄く良い匂いがするのですが…

思わず、腕に力を込めてしまう。


「……ユキちゃん?」


みちるさんが、クエスチョンマークを浮かべながら少しだけ身動ぎする。

開いた隙間から伺うように見上げてきた瞳が涙の余韻を残し……

な、なんだろう……無意識に動いてしまいそうな身体をなんとか押さえ込む。


しょ、衝動が………

吸血衝動じゃなくて…でも、それに似て抗うことが難しい……


キス……キス………したい…

あっ、違う。

挨拶…挨拶だよ……

…挨拶……だから…いいよね………?


身体が勝手に動き、引き付けられるように顔を寄せる。

みちるさんの髪の毛が優しく絡んだ右手で、そのままみちるさんの頭の後ろを支えるように添える。

一瞬だけみちるさんの瞳が驚きの色を持ち、その後ゆっくりと閉じられたのを見て、わたしも目を閉じた。

そっと、唇に触れる温もり。

そのまま、時が止まったかのような静寂。

身体に伝わるみちるさんの鼓動と自分の鼓動が大きく響き、それだけが時が止まっていないことを伝えているかのようだ。


もっと……


軽く触れているだけでこれだけ満たされるなら………

もっと…もっと……


その欲望に抗うことなく、少しだけみちるさんを引き寄せる力を強くする。

軽く触れ合っていみちるさんの唇と自分の唇が強く重なり、境界線が曖昧になるような、そんな錯覚を覚えた。


「……ふぅ…ん」

「……あっ」


みちるさんが漏らした吐息に、呼吸を思い出し唇を離す。


「あ……はぁはぁ」


呼吸を再開したみちるさん……

上気した頬………

さっきよりも潤んだ瞳…

薄く開いた唇…


もっと……もっと…食べたい……

その思いのまま、さっきよりも強くみちるさんの唇を――


「あの…ですね……」

「「…………」」

「…………」

「「………………」」

「……………?」


へっ?

こらこら!なんて羨ま――――

蘭ちゃん……もっと早く止めてもええんやで!!

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