精霊様・・・塔に行きました2
「頭が痛い・・」
どうしてこうなったんだろう。
「ユーリ。好きだよ・・」
そう昨日からシャルが告白みたいに言ってくるのです。
「シャル、向こうでラオリークが呼んでるぞ」
そう言ってきたのは昨日の青年、カムマと呼ばれているそうです。
「シャル、行っておいで待っててあげるから」
しぶしぶといったように向こうに歩いていく。
「お前も大変だな」
「何がですか」
「シャルだよ。告白されていたじゃないか」
「あれは本気じゃないんですよ。まぁ本気じゃなくても私は構わないですが」
「ははは、あいつも苦労するな・・・・・お前と話す時俺、にらまれるのに」
最後の言葉は聞こえていないらしく
「お前、鈍感だよな。あいつがかわいそうになってきた」
「鈍感?何のことです?」
「いや、なんでもない。気にするな」
「あ、はい。分かりました」
「ユーリ」
後ろから抱きつかれバランスを崩しそうになった私は、カルマに抱きつく。
「シャル、いきなり抱きつかないで」
「ごめん」
シャルはうつむいたまま謝る。
「ごめんね?カムマ。いきなり抱きついたりして」
「いや、大丈夫だ」
シャルがにらんでくる以外はな・・・
また最後の言葉は聞こえて来ない。
何を言っているんだろうと思いつつもシャルに何の用だったのかを聞く。
「えっとね、魔力をはかって、それから質を調べて、なんの精霊から愛されているのか調べたんだ」
「どうだった?」
カルマもそれに興味があるらしくシャルのほうをじっと見ている。
「魔力が800万で、質が赤、精霊が闇と火?だったよ」
普通の人が1万の魔力だから魔力も多いことが分かる。質は水晶で測るのだが、魔力を流すと透明から様々な色に変化する。ちなみに上から黒、赤、青、黄色、緑、茶色、淡いピンク、白といったようになっている。
シャルは2番目の質の高さなのでかなりの質の良さが分かる。
ちなみに王様たちは黒らしいです。大体の人が茶色らしいのでとってもすごいですね。
と、なるとシャルものすごく強いんじゃ・・・もしかしたら魔王になるかもしれない。
今の魔王陛下は90歳のお爺さんらしいです。いつなくなってもおかしくありません。眞王は43歳でまだまだ元気なので眞王は殺されることがない限りまだまだ大丈夫です。
私は、まだはかっていないのでわかりません。
「すごいね、シャル。これからもがんばってね。」
「頑張ったら僕と結婚してくれる?」
どうしてそうなるんだろう。結婚?まぁ子供だから仕方ない。
「さあ?分からない。でも頑張ればそうなるかもね?」
「僕、立派になるから!」
なんかシャルが立派な人になったら結婚しないといけないようになっているのは気のせいでしょうか?
気のせいだと思いたい。シャルもまだまだ子供だし、これから恋もするよ。いつか忘れるよね。
「うん。楽しみに待ってるよ」
「シャル。私ね、明日には家に帰るから」
お父さんが帰ってきてると大変だしね。
「え?帰るの?」
「うん。ごめんね?」
「ここにいてもいいんだぞ」
カルマが苦笑いしながらいう。
「いいえ。でも12歳になると私は娼館に売られることになると思うので、それまでお母さんに恩返しをしたいんです。お母さんだけでした。お父さんはお金に目がくらんでしまって・・・」
だからまだここでは暮らせません。
「そうか。いつでもここに来いよ?シャルも待ってるから」
「シャル、立派になってね?」
「立派になって、ユーリが安心して暮らせるようになったら必ず向かいに行くから」
だからそれまで待っててね?と涙をためながらいうシャル。
「あはは。楽しみだな」
苦笑いをしながら、そうこ答えた。
「では、帰りますね?シャル・・・」
こっちにおいでと言うと素直に来てくれる。
「これあげる」
シャルに渡したのは銀色の指輪。
「これは?」
「わたしが作った指輪・・・シャルが立派になってくれますようにって願いを込めて昨日作ったの。それから・・・・」
魔水をカバンの中から取り出してシャルに手渡す。
「これって魔水だよね?」
「そうだよ。魔力が切れた時に飲むと回復できるから」
「ちょ、ちょっと待て。今、魔水と言わなかったか」
カルマがあわてるようにして言う
「うん。言ったけど・・・・」
それがどうしたの?と言う前にカルマが
「魔水と言えば飲むだけで回復できるとても貴重なやつじゃないか。とても高価で1つでも金板5枚だぞ?」
「金板5枚?」
日本で言うと銅貨が1円、銅板が10円、銀貨が100円、銀板が1000円、金貨が1万、金板が10万するらしい。金板5枚は50万だ。瓶一つで50万って高いです。
「どこで手に入れたんだ?というかどこで買った?」
「買うも何も、自分で作っているんですが」
たぶん、ぶつかった貴族にお詫びとして魔水を上げてそれから広まったのですかね?と言えばさらにびっくりして
「お前が作ったのか?どうやって?」
「作り方は教えられませんが・・・あれは適当に作ったものですよ?性能はシャルが持っているのもが一番いいものです」
「そうか」
「よかったら魔水1ついりますか?」
「いいのか?俺お金なんてないけど」
「いいんですよ。その代わりシャルのことをよろしくお願いします」
「そんなことでいいのか?」
こくりとうなずいて魔水を渡す。
「ユーリ、かならず迎えに行くから。まっててね」
「楽しみに待ってるよ」
じゃあねと手を振ってゲニウスの塔を出って行った。