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暗殺者アッシュ

ジュリアスは武器商と面談の為、武器商の邸宅に行った。自分の邸宅よりも豪奢な作りだ。それもそのはずで帝国の他国への侵略、領土を広げるのに、武器商達の扱う最新鋭の銃器は必要不可欠だった。


ジュリアス「出された、このコーヒーは市販のものだろうか?」


通された部屋で武器商を待つ間に出されたコーヒーを一口。

ジュリアスは苦くてまずいコーヒーは横のテーブルに置いて、それ以上、手をつけなかった。

予定より遅れてカップクのいい武器商が部屋に入ってきた。その傍らにはベージュのコートを羽織った男もいる。武器商で雇った用心棒だろうか?


おさげにまとめた長い金髪、右目にはモノメガネをかけている。コートの切れ目からたくさんの銃器がガンベルトから下がっているのが見え隠れしていた。


武器商「帝国の方、遅れてすいません。先の商談が長引きましてな。」


汗一つもかいていない武器商はジュリアスの靴を見ていた。


ジュリアス「いや、構わない。それより早速、本題に入ろう。」


武器商は手でジュリアスに次の言葉を促した。立場的には皇位を持つものが上のはずだが、武器商に逆らってはこの国は立ち行かなくなる、その事はジュリアスもわかっていた。


ジュリアス「リエールに銃器をおろしてる武器商にも顔が利くだろ?」


武器商「はい。もちろん。帝国からタダ同然で払い下げられた旧式を小国に高値で売りつける、うまい商売です。」


武器商は高笑いした。ジュリアスも武器商の傍らの用心棒も眉をひそめた。


ジュリアス「そのもの達に言って、最新式の銃器をリエールに持っていってもらいたい。」


武器商「え?そんなことしていいんですか?!」


ジュリアス「持っていって見せるだけでいい。軍拡派の大臣達が食いついて、買おうとするだろう、金に糸目をつけずにね。」


武器商「ははぁ、読めましたぞ?奴らに揺さぶりをかけるのですな?」


ジュリアスは頷いた。


ジュリアス「軍拡派は予算を食いつぶしている騎士団を排斥しようとするだろう。そこに運良く暗殺者がいればどうだ?消える騎士団長、買えぬ最新式の銃器。」


ジュリアスと武器商は互いに笑った。


武器商「なるほどぉ、ジュリアス様は頭がキレる。おい、アッシュ。」


アッシュと呼ばれたベージュのコートの男がもたれて聞いていた壁から、一歩前に出た。


アッシュ「相手は騎士団長のアレスか?いいね、大物だ。やってやるよ。」


武器商「大臣達も目の上のたんこぶが消えれば、清々するでしょうな!ワッハッハッハッハ!」




御前試合から2カ月くらい過ぎた頃、ダンは騎士団の詰め所に帰ってきたが、団長のアレス以外、その久しぶりに見た顔に声を掛ける者は居なかった。

魔法剣の使い手としての羨望よりも、何でコイツなんだ?という嫉妬のほうがその場に渦巻いていた。


アレス「魔法の勉強はもういいのか?ダン?」


ダン「後は、週一で来るようにって、言われました。」


ダンは以前よりもだいぶ背が伸びていた。

魔法使いの所で住み込みで朝から晩まで魔法の勉強。

力仕事もせず、いいのもを食べてたからだろうか?筋肉はそのままに背だけ伸びた感じだ。


アレス「広場に行くぞ、ダン。早速、魔法の勉強の成果を見せてもらおう。」


アレスは空気を読んでダンとその場を離れた。


アレス「俺も、最初はあんな感じだった、気にするな。」


ダン「……はい。」


広場に着くと模擬刀をアレスは自分のとダンの分を取って渡した。


アレス「何が使えるようになった?」


ダン「五行魔法と御前試合のヤツを。」


アレス「お前はすごいな!自信を持て!」


アレスは自分と同じく魔法剣を使うやつができたとを大層喜んだ。


アレス「光刃波こうじんはがまだなのか!よーし、それなら俺が教えてやる!」


アレスはダンを自分の子供のように思っていた。若くして妻に先立たれて子は居なかったが、もし、居たらこんなのだろうか?

アレスは妻への思いを馳せていた。




牧草満載の荷馬車がリエール公国の国境の検問所で詰まっていた。北の国からリエールの首都まで伸びるこの街道は帝国からリエールに入るための迂回ルートとして使われていた。

アッシュが通りかかった日は、前日にスパイ容疑で捕まったやつが出たから、取り調べが厳しくなっていた。

アッシュは牧草の上に寝転がって農夫が詰所の役人にあーだこーだ言ってる様子を見ていた。


詰所役人「おい!アイツはなんだ!?」


農夫「最近雇った用心棒でさぁ、この街道は野盗が多いで。」


コテコテ、テカテカな化粧をしたアッシュは役人に手を振り、投げキッスした。顔をしかめる役人。


詰所役人「うげ、ガチホモかよ……もう行っていいぞ。」


アッシュ『しめしめ。』


荷馬車が詰所を通過ししばらくしてからアッシュは自分の顔を撫でた。


アッシュ「おやじ、どっか街道に顔洗うとこない?」


農夫「え?!バッチリメイクがもったいないじゃないか。そのままでいいよ、オネェさん!」


アッシュ『うわぁ、マジモンが居たわ……それで用心棒の話もすんなり通ったのか……』


アッシュはそれ以降、降りるまで寝たフリをした。




腹の中のチャクラシステムを回して体のオドを練って、光る液体を剣にまとわせるイメージ。それができたら剣を振って光る液体を飛ばす。剣に宿ったソレは剣の切れ味以上の鋭さで敵を切り裂く。


アレス「、と言ってもわからんよなぁ。」


アレスは苦笑いする。


ダン「いや、魔法使いのとこで勉強してきたから、まぁ、イメージできなくはないかな?」


アレス「あ、この前ダンがここでやった魔法剣。あれとは違うからな?」


カカシや模造刀を粉々にしたやつかな?


ダンはそう思った。あれなら何も考えずにできるのに、魔法剣は何でこんなに難しいんだろう?考えても答えは出ない。自分のことも分からないことだらけだ。

ダンは救いをその一刀に込めた。


ブン!


模造刀を上段から振り下ろした。カカシの鎧兜は傷一つない。


アレス「ありゃ?」


ダン「失敗?」


アレス「刀身は光っては、いるんだけどなぁ?肝心の光刃波が出なかったか。」


アレスは腕を組んで考えた。


アレス「もっと柔らかいもの、とイメージしてみろ。手を洗った後、ふった時の雫みたいなイメージだ。」


ダンがもう一度、剣を振ってみると光は伸びるムチのようにしなってカカシを両断した。


アレス「いいね!光刃波じゃないけど、これはコレでありだな!」


ダンは新しい技を編み出した。




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