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民主革命

時代の激動のうねりはサヤとダンを少年少女のままでいることを許してくれなかった。




ジュリアス「おい、君。」


ブリッジ「何か?提督閣下。」


ジュリアスは護送車の檻を守る騎士に声をかけた。


これから街に入る、凱旋する隊列のかなり目立つ前にあって、見せ物にされる屈辱を少しでも和らげようと若い騎士の揚げ足を取ってやろうと考えてのことだった。


ジュリアス「私はどうなると思う?」


ブリッジ「和平交渉のカードでしょうな。」


そう答えた若い騎士にジュリアスは関心した。短絡的に“処刑される”と答えるだろうと予想していたからだ。


ジュリアス『なるほど、負けるわけだ。』


リエールの軍が隊列を組んで王都に凱旋する。


「きたぞー、紙吹雪だ!」


その声と同時に鼓笛隊の演奏が始まった。


騎士A「凱旋門作らないと。」


騎士B「サヤ姫の銅像も立つかもしれんな!」


ブリッジ「そこ、私語は慎め。」


アレス団長の戦死により、副団長であったブリッジは自ずと昇進することとなった。変わらざるえなかった。


ブリッジ『この次は砲台陣地の攻略だ。作戦の草案はアレス団長が書かれてたはずだ。』


馬は勝手に町中を隊列と共に進む。ブリッジは天を仰ぐと、その頬に一筋の光が落ちた。


ブリッジ『団長、俺はまだあなたの背中を見ていたかったです。』




国王の娘で今回の作戦を決断し見事、勝利を勝ち取ったサヤ姫と護衛のダルタニアンも凱旋する隊列の中ほどを進んでいた。


サヤ「ダルタニアンあれはなんだったのだ?」


ダルタニアン「と申されますと?」


サヤ「どういう仕組みかは知らぬが、お主の魔法剣であろう?他国に対する抑止力として、今後、国内外に喧伝しようとおもってな。」


それを仮面越しに聞いていた、魔女が言う。


グレダ「や(ザー)り、こうな……、か。お前 (ザー)国に組み込、れるぞ。」


ダルタニアン「覚悟の上さ。」


サヤ「?なのでな、魔法剣の名前を聞いておこうと思ったのだ。」


ダルタニアン「時空割断剣でございます姫様。」


サヤ「おお!かっこいいな!その響き!いい宣伝になるぞ!リエールに時空割断剣の鬼神、ダルタニアンありとな!」


ダルタニアン「光栄です。ひー」


その時、隊列の前方と後方にどこからか火炎瓶が投げ込まれた。


ボワッ!


「ギャア!」


「早く水を!」


「地面に転がれ!」


立ち見の民衆でごった返す大通りは騒然となり隊列も止まる。


その様子を何事かとジュリアスも不安げに身を乗り出してみていた。


アッシュ「これも仕事なんでな。」


ドゥン!


ジュリアス「うっ!」


胸の正中、心臓を撃ち抜かれジュリアスはその衝撃で後ろに倒れた。


ジュリアス「う、嘘だろ?僕は、こんな事でっ!」


ジュリアスは胸を押さえたが血は脈打つように大量に止めどなく溢れ出た。


異変に気がついた周りの騎士たちも騒ぎ始める。


ジュリアス『おそいなぁ、コイツら……』


ジュリアスは静かに目を閉じた。




捕まえた敵将が目の前で倒れた。


それは前にも見た光景、すぐに狙撃だとダルタニアンは気がついた。


火炎瓶の次は敵将が倒れサヤ姫は状況把握に戸惑っていた。


サヤ「なんじゃ、なんじゃ?」


ドゥン!


ダルタニアン「サヤ!」


サヤ「!」


馬ごとダルタニアンはサヤ姫の前に出た。


グォン


グレダ「オキツカカ"ミ!か(ザーー)たな!」


十種トクサ神宝カンダカラ、全てを他の次元へ飲み込むオキツカカ"ミ。


ダルタニアン「二発目が来る?!」




大通りを見下ろせる高台の建物からその様子をスコープから見ていたアッシュは言う。


アッシュ「なんだありゃ?」


高価な弾の無駄か。アッシュは仕事は終わったと。銃を解体し始めた。


そのアッシュの背中に人影が揺らめく。


アッシュ「!あ、アンタ。」


パンッ!


ドサッ




捕らえた帝国の敵将が暗殺された。


それだけでも国の根幹は揺らいだ。王宮通路で今後のことについて相談していた保守派大臣達がヒートアップして声を荒げ始めた。


保守派大臣A「あれは皇位継承権のあるやつだろう?!」


保守派大臣B「絶対に報復がある!今度こそ終わりだ!」


保守派大臣C「アレス無き今、どうやって帝国を抑えられよう?!」


頭を抱える保守派大臣達をあざけるように軍拡派大臣達が畳み掛ける。


軍拡派大臣A「はっ!お前らの自慢の騎士団は役に立たんな!やはり時代遅れなのだ!」


軍拡派大臣B「猪武者もいない腰抜けばかりか!?」


保守派大臣C「ぐっ!サヤ姫は守ったではないか!」


軍拡派大臣C「あれは傭兵だ!ブルーリボンではない!」


軍拡派大臣D「これからの時代、銃でなければ!」


保守派大臣D「貴様!こんな時までそれを言うか!」


頭に血が上った両者は取っ組み合いの喧嘩を始めた。それを遠巻きに、昼間から赤ら顔の傭兵たちが指を指して笑う。


「ギャハハ!なんだあのへっぴり腰は?」


「おう、やれやれー。ひひひ!」


そこへようやく、近衛兵数人が大臣達を止めに入る。


「有名な近衛兵のお出ましだぜっ!」


「へっ!今頃かよ。」


「ちゃんと、鼻血拭いてやれよなー!」


民衆の眼の前で起きた出来事は国の権威を失墜させるのには十分だった。すさむ王宮内、それは、国民の心も同様だった。

ジュリアスは自分が捕まるないし、討ち取られたことを考えて執事に命令を出していた。


リエールの民主革命を扇動せよ。




街の広場では今日も民主化を訴える一団があった。


「国庫を開き民間へ!」


「貴族優遇反対!王族の無駄遣いを許すな!」


「国民に温かい食事を!」


「武器を取れ!」


「政治を我々の手に!」


程なくして、民衆は武器を持って各地で立ち上がった。

一斉蜂起ではなかったが一度ついた炎はまたたくまに国中に燃え広がっていった。




リエールの首都でも貴族を狙ったテロが頻発する中、ブルーリボン騎士団は各地の民衆蜂起にも対応せざるえなかった。


ブリッジ「戦況は?」


騎士A「国民の持つ新型ライフル、少数の伏兵。どれも我々の騎兵突撃と相性が悪いです。」


騎士B「商業都市陥落も時間の問題です。」


騎士C「ブリッジ、団長!商業都市の奴らのところに増援を送りましょう!」


ブリッジ「よし、商業都市の奴らを助けたら我々は王宮に退避する。」




自ら守った商業都市、今度は国民を攻めるとあってブリッジの心境は複雑だった。

月明かりが草原に集まった騎士の一団を照らしていた。


ブリッジ「ドラグーン(銃騎兵)先頭に夜襲、これくらいしか取れる戦術がないな。」


騎士A「騎士の名折れですよ。」


ブリッジは苦笑して答えた。


ブリッジ「敵は素人の集まりだろ?さっさと蹴散らして、早く王宮で一息つこう。」


騎士B「団長、号令を!」


ブリッジ「突撃!敵陣を切り開け!」


ドドド……


騎士団の騎兵突撃の地鳴りに、土のうを枕にねていた民主革命軍の兵士が飛び起きる。


「うわ!ブルーリボンだ!」


ドガガガァ!


ドラグーンによる一斉射が商業都市を包囲する民主革命軍の一角を吹き飛ばし、あとに続く騎兵が眠気眼の新型小銃を持った民衆を切り下ろした。


ブリッジ「商業都市は放棄!残存兵を救い出せ!」


騎士A「時間がない!早く!」


商業都市に立てこもっていた騎士たちは鎧も付けず、着の身着のまま這々(ほうほう)の体で脱出した。


騎士A「団長、負傷兵は?!」


ズドドン!ズドドド!


民主革命軍の反撃が始まり、騎士たちが次々に落馬する。


ブリッジ「潮時だ!負傷兵は置いていく!撤収!」




ブリッジたち騎士団はメイドもなく傭兵もまばらな汚れが目立つ王宮に入城した。

立てこもるにあたってブリッジは食料を部下に供給するため、貴重な軍馬を何頭か潰さざる得なかった。


騎士A「あんまり見たくないですねこれは。」


ブリッジ「そうだな……。俺は国王のところへ行く。何人かついてこい。」


数人のまだ動ける騎士を連れたブリッジは通路で何かで揉めているサヤ姫とダルタニアンにあった。


サヤ「ワシは行かんと言うに!」


ブリッジ「どうしたんだダ、ルタニアン。」


ダルタニアンの正体を知っている騎士たちはその姿に複雑な心境を抱いた。ブリッジの声に振り向きもせず、ダルタニアンは続けた。


ダルタニアン「ここは戦場になります!一刻も早く逃げましょう!」


サヤ「逃げぬ!そのためのお主ではないか!」


ダルタニアン「民に剣を向けろとおっしゃるのか!」


サヤ「無論じゃ!王族無くして国はなしぞ!?」


流石にソレは思い上がりだ。そう感じたダルタニアンは我慢ならずに手を挙げた。


パシッ!


ブリッジ「よせ、ダルタニアン。」


手首を掴まれてようやく騎士たちに気がついたダルタニアンはブリッジに向き直った。


ダルタニアン「すまない、ありがとう。ブリッジ。」


素のダルタニアンの言葉にブリッジは笑った。


ブリッジ「ハハハ!ありがとう、か初めて聞いた!国王は俺達で守る、安心しろ。」


ブリッジはそう言うとサヤ姫の前にひざまずいた。


ブリッジ「姫、この者の言うとおりです。王宮から離れなくてもいい、身を隠してください。」


サヤ「むむむむ……」


そこへ額に包帯を巻いた騎士見習いが慌ててブリッジたちの方へ走ってきた。


騎士見習い「報告!城門が突破されました!」


ブリッジ「何!」


騎士A「見張りは何をやってた?!」


騎士見習い「みんな食事中を襲われて!」


ブリッジ「クソ、グズグズしてられん!王のところへ!」


騎士たちが走って謁見の間へ急ぐのを見て、ダルタニアンも戸惑うサヤを連れて奥へと走った。


サヤ「どこへ行くのだ?!」


ダルタニアン「教室だよ!」



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