表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
アオのアシ  作者: 原寛貴
終章 空久貴央
10/10

最蹴廻 推しの王子様

幻野大地

 しかし、アパートは失敗だった。いや、何が失敗だったかというと、

 隣の鋼野さんが反対隣の槍崎さんと遊びでキャンプファイヤーをしていたら、

 キャッスルあかばねは全焼した。


「まあ、よくあるご近所トラブルさ」

「いや、全くよくはない気が」

 貴央先生の話にサクマヒメは首を傾げる。

「そして私と幻野くんはまた保健室暮らしに戻ったが」

「おお、振り出しじゃな」

 ふむふむ、とサクマヒメは何とか理解を得ようとする。

「思ったんだ。盤石ってどれだけ稼げば手に入るんだろう、ってな」

「オブジェクト設計士の卵みたいな疑問じゃな」

 貴央先生のヘヴィーな話に、サクマヒメはネバーゲイブアップでワンモアチャンスする。貴央先生のベイビーはマグナムする。

「まあ、そうして家を買った訳だ」

「いや、まあ、そうなんじゃろうが。あれ? 今時間飛んだ?」

 サクマヒメは近くにスタンド使いがいないか、と周囲を見渡す。

「しかし、馬鹿な買い物をしたものだ。もう彼はいないのにな」

「貴央先生……」

 貴央先生とサクマヒメは、運命のあの日のことを思い出す。


「ドランゴが、女の子に……?」

「ハーハラ‼」

「ボッツ‼」

 幻野くん改めボッツは、ドランゴ改めハーハラを抱き締める。そしてハーハラの

「ジンゲ‼」

 という次元操作魔法により、時空の歪みが発生してしまう。貴央先生は理解した。もう彼は帰ってしまうのだろう。ハーハラと共に、元の世界へ。

「幻野くん‼」

「貴央先生、貴女の玉子焼き、美味しかったです。また、食べに来て良いですか?」

「あ、当たり前だ‼ いつでも来い‼」

「はい。ではまた」

 そう良い、ボッツとハーハラは時空の歪みへ吸い込まれていく。長い、そして儚い夢だった。

「推しの王子様」

 貴央先生のその台詞を、隣にいたサクマヒメだけは聞き入れた。サクマヒメは状況に似合わず、少し微笑む。これで幻野大地という少年との出会いから別れまで、全て終了したのだ。そこまで月日が経った訳でもないが、しかし無限に近い夢幻を見せてもらった。どれだけ上手いことを言っても、彼は戻ってこないというのに。

空久貴央

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ