国の方向性
アリシアたちは、激動の隣国での任務を終え、王都へと帰還した。
大広間の玉座前に並ぶのは、リオネル、シリウス、アリシア、カイン、そしてレオン。
王はゆっくりと腰を上げ、息子たちと無言で目を合わせ、静かにうなずいた。
「よくぞ戻った。我が王国の誇りだ」
そう言ってから、リオネルが前に出る。
「父上。私は今回の遠征を通じて、ただの外交や薬の力にとどまらない、『人の命を守るという意志』の重みを知りました」
そして、王に一枚の書状を差し出す。
「シリウスとアリシアが中心となって開発・運用してきた薬品群を、王国の正式な御用達薬として登録し、記録・管理を一本化するべきと考えます」
王はしばし黙し、やがて微笑んだ。
「……賢明な提案だな。シリウス、取りまとめ役を務める気はあるか?」
一瞬目を見開いたシリウスだったが、すぐに一歩前へ進み、静かに頭を下げる。
「光栄に存じます。全薬品の管理と調整、責任を持って務め上げます」
そして、王はアリシアへと視線を移す。
「アリシア、汝の知恵と勇気は、王国を幾度となく救った。これからも民のため、薬を届けてくれ」
「はい、陛下」
彼女の返答は、晴れやかな笑顔に満ちていた。
王国中央医療司令部にて、さっそく薬草と薬品のリスト化が始まる。
その中で、とくに危険度が高いものが区分され、厳重管理対象となった。
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【取扱注意・高度管理対象】
•ブラッククミン:仮死誘導薬の主成分。投与量を誤ると死に至る。→ 厳重な保管と医療従事者による使用限定。
•ローズマリー(高濃度):自白効果を引き起こす成分を持つ。精神的影響が大きいため、裁定と監視のもとでの使用に限る。
•コモンタイム:高濃度で魔力干渉が起きる可能性がある。魔力過敏者には使用制限が必要。
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【一般流通推奨】
•エキナセア、レモングラス、スギナ、カカオ、カスカラ、レミナ草など:病気予防や治癒、精神回復、魔力調整など幅広い効果がある。十分な教育と説明書きを添えて、民間流通にも開放。
•コーヒー・エスプレッソ・カフェモカ系薬剤:呪い解除や精神汚染からの回復に極めて有効。医師認定を受けた施設にて常備し、必要時には無償提供を検討。
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会議の最後に、リオネルが声を上げる。
「我らの薬は武器ではない。人を救うためのものだ。
よって…必要とする他国にも、利害ではなく、人道的支援として提供していくべきだと考える」
王はそれを受け、ゆっくりとうなずいた。
「よかろう。我ら王国は、『薬で国を守り、世界を癒す』道を選ぼう」
その言葉に、アリシアの胸は熱くなった。
かつて、何もなかった自分が…
今、命を救うための道を、誰かと共に歩いている。
(これからも、きっと乗り越えられる。)




