黒幕が判明
ーー囮作戦当日。
夜の市場に、アリシアは単身で姿を現した。
周囲には露骨に怪しい気配。
だが、彼女の背後には、影に潜んだカインたち護衛が控えている。
(来るーー)
その刹那。
黒ずくめの男たちが、アリシアに向かって一斉に飛びかかってきた。
「今だ!!!」
カインが叫び、待機していた護衛たちが一斉に動いた。
剣を抜き、素早く男たちを取り押さえる。
抵抗する隙も与えず、敵は次々と拘束されていった。
「全員確保、完了しました!」
護衛が報告する。
アリシアは微笑み、無事な姿を見せた。
カインはその場で小さく息を吐き、安堵と同時に警戒を緩めなかった。
リオネルが歩み寄り、捕らえた男の顎を軽く持ち上げる。
「……さて。誰の差し金か、白状してもらうぞ」
護衛が男たちに、魔法で作った自白剤を強制的に飲ませた。
苦悶する男たちの口から、隠していた真実が次々に零れ落ちる。
「俺たちは……元王国貴族の末裔だ……!
かつて、貴族間の争いに負けて追放された……!」
「王国への復讐のために……隣国に渡り……力を借りた……!」
「隣国の皇女様の……命令で動いた……!
アリシアを攫い、魔物化薬の技術を奪い取れと……!」
室内にどよめきが広がる。
リオネルは険しい顔で短く命じた。
「全て録音したな。よし、すぐに王都へ報告を飛ばせ。
これは王国と隣国の正式な外交問題に発展する」
護衛が急ぎ伝書鷹を飛ばす。
王への緊急報告だ。
シリウスが呆然と呟いた。
「隣国の皇女が……こんなことまでして…。」
アリシアは、強い目で言った。
「きっと、隣国の中にも、こんな卑劣なやり方を望まない人たちがいる。
でも今は……まずこの現実を、真正面から受け止めなきゃ」
リオネルが静かに頷く。
「ーーこれより、事態は急転する。
こちらは正当な証拠を押さえた。
王家の名において、隣国に抗議を申し入れる」
静かに、だが確かな意志が一行に広がった。




