作戦会議
夜も更けた中、リオネルを中心に、アリシア、カイン、シリウス、そして護衛団たちが顔を揃えていた。
机の上には、先ほど廃教会で手に入れた禁書と、回収された魔物化薬のサンプルが並べられている。
誰もが眉間に皺を寄せ、重い沈黙が支配していた。
リオネルが静かに切り出す。
「……隣国の闇組織は、間違いなくこちらに牙を剥いてくるだろう。
下手に動けば、こちらの命すら狙われる可能性が高い」
シリウスも苦々しい顔で言った。
「すでに動きがある。
今夜か、遅くとも明日──何か仕掛けてくるはずだ」
皆が重い空気に包まれる中、アリシアが静かに立ち上がった。
「……私を囮にしましょう」
その言葉に、場が凍りついた。
「アリシア様、何を──!?」
真っ先にカインが声を上げた。
アリシアはまっすぐに皆を見回す。
「彼らは、私を狙っている。
なら、あえて拉致させればいいんです。
現行犯で押さえることができれば、確実な証拠になるでしょ?」
リオネルが険しい表情で眉をひそめた。
「だが、危険すぎる。
連れ去られたら、取り戻す保証はーー」
「やるしかありません」
アリシアの声は、静かで、しかし揺るぎなかった。
「私たちがここで怯んでしまったら、
また誰かがーーレオンのような被害者が、生まれてしまうかもしれない。
……それだけは、絶対に嫌なんです」
シリウスも口を開いたが、言葉を飲み込んだ。
皆、心の中で分かっていた。
この決意を止めることはできないと。
沈黙の中、カインが立ち上がり、アリシアの前に膝をつく。
拳を胸にあて、深く頭を下げた。
「俺は、命に代えても、アリシア様を守ります。
絶対に、傷一つ……負わせません」
その真剣な声に、アリシアは微笑みを返す。
リオネルも立ち上がった。
「……よかろう。
この作戦、王家の名において許可する」
そして、鋭い目で護衛たちに命じた。
「ターゲットがアリシアを拉致しようとした瞬間だ。
現場を抑えろ。
逃げ道をすべて封じ、背後からも挟み撃ちにする。
確実に、奴らを捕えるのだ」
シリウスも拳を握った。
「僕も行く。絶対にアリシアを危険には晒さない!」
作戦は動き出した。
全員の心には、緊張と、そして強い覚悟が宿っていた。
ー明日。
すべてを賭けた、“狩り”が始まる。




