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アリシアと小さな庭の奇跡  作者: ちょこだいふく


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32/38

新たな危機と再会

交渉団の準備が進む中でも、アリシアたちは王家の支援を受け、薬を広め、民を救う活動を続けていた。

だが──平穏は、唐突に破られた。


ある夜。

都市の市場で突如、暴走事件が発生する。


人々が悲鳴を上げ、逃げ惑う中、狼人間のような異形が狂ったように暴れ、建物を破壊していた。


急報を受けたアリシアたちは、すぐさま現場へと駆けつけた。

カインは即座に飛び出し、異形へと立ち向かう。


「ここは俺に任せろ!」


カインは懐から取り出したブラッククミン由来の仮死薬──《スリープ・ナッツ》を魔物へと投げつけた。

薬液が命中すると、異形は動きを鈍らせ、その場に崩れ落ちる。


「仮死させることで、暴走を止める!!」


──だが、救出活動のさなか。

カインは、暴れる魔物の中に見覚えのある面影を見つけ、思わず息を呑んだ。


(……そんな、まさか)


顔が青ざめる。


異形の顔に、かつて孤児院時代に弟のように可愛がっていた少年──レオンの面影を見たのだ。

どこかで幸せに暮らしていると信じていた、大切な存在だった。


「なんで……お前が……」


声が震える。


少年──レオンは、隣国の闇組織に囚われ、人体実験の末に魔物化薬を投与されていた。

記憶も理性も奪われ、ただの”兵器”として利用されていたのだ。


カインは絶望に打ち震えながら叫んだ。


「アリシア様…お願いです、こいつを…レオンを、助けてください!」


アリシアは大きく頷き、魔物化解除薬──《サルヴァエリクサ》を取り出す。

迷うことなく、魔物化したレオンに飲ませた。


黒い煙が立ち上り、レオンの体が苦しげに震える。

必死に呼びかけるアリシアの声が響く。


「あなたは、カインを知ってるはず──! 帰ってきて!」


──長い闇の中から、レオンはかすかな光をたぐり寄せる。


やがて、苦しみの末に魔物の姿が崩れ落ち、

倒れた少年の顔が、元のレオンへと戻った。


目を開いたレオンは、かすれた声で呟いた。


「……兄ちゃん……?」


カインは震える腕でレオンを抱きしめる。


「おかえり、レオン……!もう大丈夫…もう一人にはさせない」


こぼれ落ちる涙。

それは、過去も罪もすべて抱きしめる、再会の涙だった。





救出の後、アリシアたちは改めて思い知らされた。

このままでは、完全に魔物化してしまった人々を救うのが難しい。

中和薬があれば、体への負担を最小限に抑え、元に戻すことができるはずだ。


……一刻も早く、より多くの命を救うために。


その様子を見届けた第二王子シリウスは、静かに、しかし深く頭を下げた。


「僕も、民を救うために……君たちと一緒に歩みたい!」


彼の申し出を受け、王家直属の「医療・研究部隊」が正式に発足。

アリシアたちは民間の薬師たちと力を合わせ、新たな治療技術の開発に取り組み始めた。


昼夜を問わない研究の末──

仮死と覚醒を応用した中和薬、《ピュリファイア》が完成する。


この新たな武器を手にしたアリシアたちは、次々と魔物化させられた人々を救い出していった。

シリウスも、持ち前の探究心と誠実さで、最前線に立ち、彼らを支え続ける。


民を救うために──。

絶対に、絶望を見捨てないために──。

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