この国の希望の光
隣国への接触──
それは国の命運を左右する重大な任務だった。
その任にあたる交渉団を選出するため、王城では、王子たちも集めた緊急の会議が開かれた。
《沈黙の間》に入ってきたのは、威風堂々たる青年。
しなやかな動きに、隠しきれない自信と覇気を漂わせている。
──第一王子、レオニス・グランディール。
「父上。私に、この使命をお与えください」
彼は玉座の前に跪き、力強く申し出た。
王の期待を一身に受け、王位継承者として育てられたレオニスは、その責任を当然のように受け止めていた。
一方、彼のすぐ後ろには、異国風の軽やかな装束を纏った青年が控えていた。
──第二王子、シリウス・グランディール。
他国への留学をしていた彼は、父の病を知るや急ぎ国へ戻っていたのだった。
薬で命を救われた父の姿を見て、心から安堵している事が見てとれる。
会議が始まると、エドリアンが軽く手を挙げ、口を開いた。
「私は今回、交渉団の影として随行しよう。表に立つつもりはない。……この国には、レオニス兄上という確かな光があるからな」
あくまで裏方に徹する。
エドリアンらしい、控えめながらも確かな忠誠の表明だった。
レオニスは弟を見やり、穏やかに微笑んだ。
「エドリアン、頼りにしているぞ」
アリシアは、この兄弟たちの間に流れる強い信頼を感じ、胸が熱くなった。
続いて、第二王子シリウスが言った。
「私も、できる限りの支援をさせてください。…前々から思ってはいたのですが、今回のことで決意が固まりました。私は医学の道へ進みます。アリシア殿たちのおかげで、父上の命が救われた。これからは、命を救う側に立ちたい」
その言葉に、アリシアは驚き、そして深く感動した。
(この国は……本当に、王族の方々が民とその命を大切に思っているんだ)
国を背負う王子たちが、それぞれの道を胸に、今まさに動き出している。
そしてアリシアも──
この国を守る一員として、歩き始めるのだった。




