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アリシアと小さな庭の奇跡  作者: ちょこだいふく


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沈黙の間

事態を重く見た王家から緊急の呼び出しを受け、アリシアたちは再び王城を訪れた。


案内されたのは、王城の奥深くにある《沈黙の間》。

重厚な扉に守られ、四隅には魔力を封じる古代の刻印が輝いている。


「ここで交わされる話は、決して外に漏れぬ。安心して言葉を交わしてくれ」


同席した第3王子エドリアンが、静かに言った。


アリシアたちは神妙な面持ちで席につく。

すでに王と重臣たちも顔を揃え、部屋にはただならぬ緊張感が漂っていた。


王は、静かに口を開いた。


「──敵は、一般市民を実験台として魔物を造り出しておる。隣国に巣食う、腐った貴族の手によってな」


低く響く声に、空気が震える。


「我が国を脅かす未曾有の脅威と見なし、緊急事態とする。よって、直ちに隣国への接触を開始する」


王の言葉に、皆が一斉に頭を垂れる。


今回の接触は、正式な国交ではない。

隣国の暗部を探り、必要であれば隠密裏に対処する。

失敗すれば国同士の戦争にもつながりかねない、極めて危険な任務だった。


エドリアンが、アリシアに向き直った。


「アリシア、おまえたちが研究したブラッククミンの薬──《仮死薬》と《覚醒薬》も、今回の鍵となるかもしれない」


仮死薬によって命を一時的に守り、

覚醒薬によって理性を取り戻す──

それらの力は、敵の魔物化兵に対抗し、また、救い出す際の希望となるかもしれなかった。


「また、もしこちらの者が捕らえられたときも、仮死薬を用いれば、命を繋ぐ手段となるだろう」


アリシアは、強くうなずいた。


(ブラッククミンは……人を守るためにあるんだ)


サミュエル神父も、家族たちも、アリシアを支えるように小さく頷く。


そして王は、最後に告げた。


「アリシア・ローレン。そなたには、今回の交渉団に同行してもらいたい。薬の管理者として、また……真実を証言する者として」


アリシアは緊張で震える指先をぎゅっと握りしめ、深く息を吸い込んだ。


「──はい。謹んで、お受けします」


少女は、その胸にかつてない使命と覚悟を抱き、

静かに、新たな戦いへと足を踏み出すのだった。


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