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放送室からお知らせいたします

作者: 藤乃花

大型ショッピングモールのサービスカウンターに、財布の落とし物が届けられた。


「すみませ―ん、これ……ゲームセンターの近くに落ちていました」

女性客が財布を拾ったらしく、届け出てくれた。

長い間使われている感じがする、くすんだ茶色い横長の財布だ。


男性用の財布かと思われるそれを受け取り、サービスカウンターのす女性タッフ二人のうち一人が放送室へと届けに向かう。


「これ届けたら、戻ります」

「了解しました」


放送室へと足を運んだ女性スタッフは、そこにいるオペレーターに財布を見せる。

「お客様からの届け出がありまして、男性用の財布と思われます」

「御足労です。

では、『あぶり出し効果』での放送を始めます」

「はい、落ちていた場所はゲームセンターだそうです」

「了解しました」

オペレーターは落とし物お知らせの放送を開始する。


『御来店の御客様に落とし物のお知らせをいたします。

ゲームセンター付近にて茶色の、長方形のタオルが届いております。

お心当たりのある御客様は一階、サービスカウンターまでおこし下さいませ。

繰り返します……』


十分ほどして、サービスカウンターに、男性客が戸惑いながら近づいてきた。

「あの……落とし物したんですが……ゲーセンの所で……」

「はい!こちらの茶色のお財布でお間違いありませんね?」


落とした財布を見た男性客は、救われた表情を見せた。

「はい!

これです」

「確認のため、金額及び他に入れられてある物の告知をお願い致します」

「金額……は、四万、他に……免許証と保険証、それとリオンカードです」


「はい!

御本人確認が出来ました」

「ありがとうございます」

『あぶり出し』成功。


男性客は安心して財布を受け取り買い物に戻った。


「効果ありますね、『あぶり出し』」

「財布等の落とし物のお知らせをすると、落とし主でもない方が名乗り出られて、本当の落とし主を割り出すのは難しいですからね」


「あぶり出し作戦のニセ情報のアイディアを出してくれたスタッフさんに感謝で」


このショッピングモールでは、『あぶり出し』を実行してから偽りの落とし主が現れる事はない。





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