表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
9/27

リシャールとの毎日



「ラウラ、次はかくれんぼしよう!」


「まあ!では侍女の方達にも参加して頂きましょうか?」


「うん!じゃあそうしよう!」

 

 それから、毎日のようにラウラはリシャールと一緒に過ごした。平日は登城して王宮で共に勉強し、遊び、週末は王子をマーベリック公爵邸に招いて兄セインも混じえて遊ぶ。リシャールは少しずつ笑顔も増え、肉付きも良くなってきている。


 そして時々、アルフレッド王子も遊びの輪に混ざるようになった。母であるグレイス妃が幽閉されてしまい、アルフレッド王子の気持ちを思うと気掛かりではあったのだが、グレイス妃とは月に一度の面会が許されているそうだ。


 アルフレッド王子は母が異母弟に対して虐待を行っていることに気づいており、なぜこんな酷いことをするのかと悲しく思ってはいたが、母が罰せられることを恐れて言い出せなかったのだという。


 これで良かったのだと微笑み、助けてあげられなかったことをリシャール王子に謝罪した。それを機に少しずつではあるが、兄弟としての関係を築いているところだ。


 穏やかな日々が続いているが、問題は未だ解決していない。ゲーム通りだとしたら、「レインフォールの乙女」のストーリーは兄セインとアルフレッド王子達が王立学園に入学した時点で始まるからだ。


 グレイス妃は魔導具で闇の魔力を封印されているものの、その効力は永続的なものではなく、十年保つかどうかのものだと言われている。


 ちょうど兄達が学園生活を送っているであろう時期と重なっているのだ。謂わばグレイス妃の闇の魔力の問題を先送りした形となっている。それに闇の魔力の持ち主がグレイス妃ひとりとも言い切れない。


 今は多くを学び、実力をつけ、闇の魔力に対する対抗策を探っていくのが先決だろう。やがて現れるであろうヒロインが持つ聖魔力が対抗手段だとは分かってはいるが、それだけに賭けるのは余りにも危うい。


 この先、どんな経験が役に立つとも限らないと、ラウラはダンス・乗馬・剣術もリシャールと共に新たに学び始めることにした。


 ダンスを学ぶことは貴族子女にとって必須にしても、乗馬・剣術については両親は顔を蒼白にした。しかし、意外にもセインが賛成して両親を説得してくれた。一緒に学べるし、妹に教えてあげたいらしい。優しい兄である。


 コンコンとノックの音がして、ラウラがはい、と答えると、ピョコっとリシャールが扉から元気に顔を覗かせた。


「ラウラと一緒に寝るー!」


「はい、リシャール殿下。一緒に寝ましょう」


 週末にマーベリック公爵邸に遊びに来るようになると、リシャールは城に帰るのをグズって嫌がったため、一泊して行くのが今や恒例になっていた。そしてその度、こうしてラウラの部屋を訪れる。


「殿下じゃないよ。リシャールだよ。ラウラ、ぎゅってして寝るー!」


「フフッ。はい、リシャール様」


 もぞもぞとベッドに潜り込み、リシャールはラウラにギュッと抱き着いたかと思うと、安心したようにすぐにウトウトし始めた。


「おやすみなさい、良い夢を」


 今やすっかりラウラに懐いてくれているリシャールの小さな身体を抱きしめ返す。この男の子を精一杯守って行こう。いつかこの子に心から愛する人が現れたとしたら、婚約の解消を願い出て、その恋を応援してあげよう。


 艶の出て来た黒髪をなでなでしつつ、ぽかぽかの体温を感じながらラウラも目を閉じ、眠りにつくのであった。


 

 

 誤字報告を頂き、感謝です!ありがとうございました!修正させて頂きました!ご迷惑お掛けして申し訳ありません。

再びご報告ありがとうございました!修正させて頂きました!どんだけ間違うんだ……!感謝です!

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ