093.鎌倉右大臣 「世の中は 常にもがもな 渚こぐ あまの小舟の 綱手かなしも」
はーい、じゃあ次は鎌倉右大臣くーん。
こっちに来て作った歌を見せてくださーい。
お、来た来た。
ふーん、キミは鎌倉右大臣なのね。
……って読んだままの感想になっちゃうんだけどさ。
そう言えば、会社の上司が部下を引き連れてキャバクラに行く時、「いざ、キャバクラ」なんてオヤジギャグをかましてたりするわよね。
こんなバカ丸出しの征夷大将軍に付き合わされて、連れて行かれる部下は大変ね。
正社員の場合は上司から嫌われると直接その後の出世に響くから、ゴマをするのも仕事と割り切るしかないんだろうけどさ。
アタシだったら、そんな上司は速攻で見限っちゃうけどね。
その点、契約社員だったアタシは一時的に社員という字が充てられているだけで本質的にはパートタイマーだから、上司にへいこらする必要が無くて、そういう意味では助かってたわね。
その代わり、契約社員は出世も無ければ昇給も無いし賞与も無い、無い無いづくしのナイチンゲールで、あるのは悲惨な未来だけだわ。
実際、そのあと契約が切れちゃって、また底辺社員に逆戻りしてるわよ。
今は底辺の正社員だけど、アタシはお酒が飲めない人だから「会社帰りにちょっと一杯」なんてのには、やっぱり無縁だわ。
もっと言うと、仮にアタシがお酒を飲めたとしても、キャバクラになんか行ったりしないと思うわね。
あんな見え透いた営業スマイルを見せられてデレデレと鼻の下を伸ばせるなんて、一体どういう神経をしてるのかしら。
「あんな」とか言っといて、アタシはキャバクラに行ったことが無いから、実際にはどんな営業スマイルなのか知らないんだけど(笑)。
それにしても、わざわざ自分からお店に出向いて営業スマイルを見せられて、その上、営業トークを聞かされて高い酒まで飲まされて、歓心を得るためにいろいろと貢いじゃったりなんかして、それで喜んでるんだから笑っちゃうわよね。
あ、もちろんいい意味で。
アタシだったら、キャバクラに通うお金があるなら、男の修行をしに風俗へ行くわね。
遊びに行くんじゃないのよ、修行をしに行くの。
分かる?
男が風俗へ行くのは修行なんだからね!
剣道や柔道だって、いつも相手が同じだったら高度な技術や精神力は身につかないでしょ?
男が風俗へ行くのは、武道で言えば他流試合、道場破りなのよ。
相撲で言えば出稽古で、プロ野球で言えばセパ交流戦みたいなものよ。
と、とにかく女がエステサロンで女に磨きをかけるように、男は風俗で男に磨きをかけるのよっ!(汗)
べつに本気じゃなけりゃいいのよ、男はちょっとくらい他の女と関係を持ったって。
え?
じゃあ私も他の男と関係を持とうかなって?
このヤロ、ふざけんな!
そんな事していいわけねーだろっ!
女はダメに決まってんだろ、ダーメっ!
……って、これは前にもちょっと書いたけど、男の行動と女の行動とでは、例えしている事は同じでも意味が全然違うのよ。
それは不公平とか不平等とかいう次元では語れないものなのよ。
「男ばっかりズルい」とか「男だけ許されて不公平」とか、そういう単純な問題じゃ無いの。
逆に男から言わせれば、女が男を連れ込んでお金を取る商売が成り立つ一方で、男が女を連れ込んでお金を取る商売が成り立たない事の方が、よっぽど不公平だわ。
なんとか党の女性議員みたいなフェミニストの政治家は、女性の社会進出だとか男女格差を無くせだとか言って男に噛みついてくるけどさ、噛みつくんなら、まず男に噛みつく前に、愛人だとかキャバ嬢みたいに男の欲求に付け込んでお金を取ってる女(広義に捉えるとグラビアアイドルやコスプレイヤーなんかも同類ね)に嚙みつけよって思うわね。
だってそうでしょ?
そうやって男に媚びて、男の欲望に付け込んで不当な収入を得ている女性が大勢いるのに、それには目を瞑って男にばかり文句を言うのは筋が通らないじゃないの。
売り言葉に買い言葉じゃないけどさ、売るような女がいるから買うような男が出てきちゃうんだわ。
需要が供給を産み出すように、供給もまた需要を産み出してるのよ。
買ってる男に文句を言うなら、売ってる女にも文句を言えよ、と。
男に意見する前に、まず女の意見をまとめてから来いって話だわ。
ま、女の意見なんてまとまる筈がないとアタシはタカを括ってるけどね。
だって、そうやって男に媚びて、楽してお金を稼ごうとする女性が減るはずが無いじゃないの。
それに、男女格差を完全に無くした社会なんて、不当に女が優遇された社会でしかないわ。
それでなくても、女って男と比べたら何かと優遇されてるのよ。
法律なんて持ち出すまでもなく、放っておいたって男は女を甘やかすし、気を遣って優遇してるわよ。
なんだかんだ言っても、男は紳士が多いからね。
ついでに言っておくと、アタシはね、男女平等の理念っていうのは、理念としては間違っていなくても社会制度として採り入れるのは間違いなんじゃないかと疑っているのよ。
例えば「女性も男性と同等に働くことができて、男性と同等の賃金が支払われるべきだ」っていう意見があるじゃない?
男女雇用機会均等法とかってさ。
男女平等とか言い始めると、当然こういう意見が出てくるわけよ。
でも、完全に女性が男性と同じように働けるようになっちゃったら、女性は働くことばかりを優先しちゃって、結婚や出産、家事や子育てや親の介護といったものが、すべて後手後手に回るのよ。
そりゃあ、そうなるわよね。
だって頑張って働けば目に見えてお金が増えるのに対して、結婚や出産、家事や子育てや親の介護なんか、どんなに頑張ってもお金は増えないんだから。
「結婚や出産、家事や子育てや親の介護に頑張るよりも働いた方が得だ」っていう考えを多くの女性が持つことになるのも当然の話だわ。
で、こういう状況が、女性の晩婚化と社会的な少子化に拍車をかけるのよ。
今の政治って、目先の利益ばかりを見て、少子化っていう将来の大損が見えてないんじゃないかしら?
もっと言うと、少子化だけじゃなくて、待機児童の増加や失業率の増加なんていう問題も、元を辿れば男女平等の理念を制度として採り入れた結果として発生してるのよ。
(細かく説明しないけど、簡単に言えば、本来は主婦となるべき子持ちの女性がみんな働こうとするから保育園で預かる子供の人数がキャパを超えて待機児童が増えるんだし、そうやって大勢の女性が職を求めるから求職者と失業者が同時に増えて失業率が上がるのよ)
今の政府が目指してる社会って「女性が男性と同等に働ける社会」よね。
でも、アタシ達が目指すべき社会って、果たして本当にそういう社会なのかしら?
アタシは違うと思うわ。
アタシが考えている、アタシ達が目指すべき社会の姿はね、「女性が男性と同等に働ける社会」じゃなくて「女性が働かずに済む社会」なのよ。
言い換えれば、女性が働くことを優先する社会じゃなくて、女性が働かずに済んで、そのぶん早く結婚して子を産み育て、家事や育児や親の介護を優先することが出来る社会ね。
これからは、あらゆる場面で機械化、自動化、AI化が進むわ。
外国人労働者もますます増えていくだろうし。
普通に考えれば人手はどんどん余ってくるのよ。
そんな社会に、わざわざ女性が結婚や出産を後回しにして働きに出る必要が、果たしてあるのかしら。
それは子を産むことよりも大切なことなの?
子を育てることよりも重要なことなの?
理屈は正しいかも知れないけど、「女性が男性と同等に働ける社会」を実現することで結果的に少子高齢化が進んで日本の経済が立ち行かなくなることと、理不尽かも知れないけど「女性は男性と同等に働けない」ことにして「女性が働かずに出産や子育てを優先する社会」を作って若者を増やし、そういった問題が解消されることとを冷静に天秤にかけて、どっちが国益に叶っているのかよく考えてみて欲しいわ。
少子化対策や子育ての面も含めて総合的に考えれば、はっきり言って女性には外で働いてもらうより、若いうちに結婚して子供を産み育ててもらった方が、社会全体としてはありがたいのよ。
それに女性だって、好きで働きたくて働いてる人の割合って本当は少なくて、働かなくても不安なく生きていけるなら働きたくないんじゃないかしら。
アタシだって、仕方なく働いてるけど、働かずにすむなら働かないわよ。
時代に逆行していると言われれば、確かにその通りね。
でも子供を産んで育てるという面から見れば、時代は明らかに出産軽視(子を産まない)、育児軽視あるいは育児放棄(保育士任せ)という形でどんどん退行していってるんだから、退行している時代に対策を講じようとするなら、時代に逆行する以外に無いとアタシは思うけどね。
そのためには、例えば男性の給料を引き上げる代わりに女性の給料を極端に安くして、「こんな安い給料で働くなんて馬鹿馬鹿しいわ。それなら若くて結婚に有利な条件のときに、さっさといい男を見つけて結婚しちゃった方が得よ」っていう方向に女性の意識を誘導すればいいんじゃないかと思うわ。
あるいは未婚者だけ所得税率を50%にするとか、第一子を早く産めば産むほど将来貰える年金が大幅に増えるとかさ。
ま、そんな法案が通ることはあり得ないんだけど。
方法はいろいろあると思うけど、要するにアタシが言いたいことは、今ある社会を「早く結婚して早く子供を産んだ方が得する社会」に変えていかないと、近い将来、立ち行かなくなるのが目に見えているってことなのよ。
……って、なんでアタシ、こんな所で熱く語ってるのかしら。
アタマおかしいわよね。
まぁでも長い目で見れば、ぶっちゃけ少子高齢化の問題なんて、放っときゃそのうち自然に解決する問題だったりするのよね。
「大変だ、大変だ」なんて騒いでるのは、結局アタシ達の世代だけなのよ。
むしろ今のうちにガンガン少子化を進めちゃった方が、70年~80年後の遠い将来、日本は老人が少なくて快適なんじゃないの?
羨ましいなぁ、老人が少ない社会って。
今じゃ到底考えられない理想的な社会よね。
ま、その頃にはアタシもこれを読んでるアナタも死んじゃってるんだけど。
で、何だっけ。
そうそう、キミは鎌倉右大臣なのね。
つか、まだキミの本名も聞いてなかったわね。
どんだけ脱線してんのよ、アタシ。
え? 源実朝っていうの?
マジかー。
何だか嫌な予感がするわね。
アタシ、何となくキミの未来を知ってる気がするわ。
鶴岡八幡宮には何度も初詣に行ってるからね。
キミのお父さんの名前は聞かなくても分かるわ。
「いい国作ろう鎌倉幕府」とか言って、暗記したもんよ。
それどころか、キミのお母さんの名前も分かるわよ?
だって二人とも超有名でしょ。
お父さんが源頼朝で、お母さんが北条政子なんて、どんだけ親の七光りだよ。
父親がナポレオンで、母親がジャンヌダルクみたいなもんだわ。
え? 時代が全然違う?
いいのよ、雰囲気で言ってるだけなんだから。
細かい事ばっかり気にしてると、そのうち誰かに暗殺されるわよ?
じゃ、さっそく……でもないけど、作った歌を見せてちょうだい。
世の中は 常にもがもな 渚こぐ
あまの小舟の 綱手かなしも
なぁに、これ。
人生は海に浮かぶ小舟みたいだ、って感じ?
「世の中は」はそのままの意味よね。
「常にもがもな」ってのは何?
え? 「永遠に変わらないでいて欲しいものだ」ってことなの?
こんなの初見じゃ絶対分かんないわね。
「渚」は「波打ち際」のことね。
じゃあ「渚こぐ」は「波打ち際を漕ぐ」ってことかしら。
波打ち際じゃ、浅すぎて舟なんて漕げないと思うけどね。
まぁいいわ。
「海人の小舟」は「漁師の小舟」よね。
次の「綱手かなしも」が分からないわ。
え? 「綱手」は、舟を引くための引き綱のことなの?
そう言えば、マグロ漁船にも綱が付いてるわね。
ツナだけに。
なんてな。
「綱手かなしも」も「かなし」は、胸が痛むとか、胸が詰まるっていう感情を指すのね?
「哀し」に近いのかしら。
ふーん、最後の「も」は詠嘆なのかー。
詠嘆っていうか、本当はただの字数合わせなんじゃないの?
え? そんなことは無い?
あ、そう。
じゃあまとめると、アナタが言ってることは、
「世の中は永遠に変わらないでいて欲しいものだ。波打ち際を漕ぐ漁師の小舟の引き綱には胸が痛むなぁ」
って感じかしら。
これ、前半と後半で、言ってることの意味が繋がらなくない?
ていうか、胸が痛む理由がまったく分からないわ。
心臓に持病があったりするわけ?
つか、さっきも言ったけど、波打ち際って小舟も漕げないわよ?
小舟を漕ぐなら、ちゃんと沖へ出てからにしてちょうだいね。
じゃあ最後にアタシの感想を付け加えておくわね。
世の中は 常にもがもな 渚こぐ
あまの小舟の 綱手かなしも
食べながら話すと もがもが聞こえる




