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067.周防内侍 「春の夜の 夢ばかりなる 手枕に かひなく立たむ 名こそ惜しけれ」

はーい、じゃあ次は周防内侍(すおうのないし)さーん。

こっちに来て作った歌を見せてくださーい。


お、来た来た。

……って、今度は女なのね。

ところで、内侍(ないし)って何だっけ?


え? 後宮(こうきゅう)内侍司(ないしのつかさ)っていう役所があって、そこに勤めている女官のことなの?

つまり、後宮(こうきゅう)勤めの女官ってことね。


後宮(こうきゅう)って何よ。

ふーん、后妃(こうひ)が住まう場所のことなんだ。

じゃあざっくり言えば、内侍(ないし)って天皇の妻の世話係みたいなものね。


ちなみに、アナタの本名は何ていうの?

周防(すおう)って本名じゃないわよね。


ふーん、平仲子(たいらのちゅうし)って言うのね。

仲子っていう名前は最近じゃ見かけないわね。


あー、これ見て思い出しちゃったけど、そう言えばアタシの昔の同級生に伸子って名前の()がいたわ。


以前、「私、チョークの粉がつつーって落ちていくのを見るのが好きなのよね……」って友達に話してる女の()がいて「アタシと同じだわー」って思って好感度が一気に上がった、っていう話をしたと思うんだけど、そう言えばその()の名前が伸子だったわ。


アタシと同世代に限って言えば、伸子っていう名前は別に珍しい名前じゃないわね。

まぁでも、近頃は名前に「子」が付く女の子なんて、ほとんどいないわよね。

アタシが子供の頃は、名前に「子」が付かない女の子の方が、かえって珍しかったくらいよ。


アイドルにも平気で「子」が付いていたわ。

河合奈保子、松田聖子、小泉今日子、岡田有希子、南野陽子、菊池桃子、酒井法子、……といった名前がすぐに浮かぶわね。

まぁ、そういう時代だったってことね。

今はキラキラネームやら何やらで、キャバ嬢や風俗嬢の源氏名(げんじな)みたいな名前をよく見かけるわね。

男の場合はホストに居そうな名前とかね。


親が子にどんなキラキラネームを付けようが所詮(しょせん)は子の名前だから親自身はどうってこと無いけど、キラキラネームを付けられた子の方はずーっとその名前を背負って生きていかなきゃいけないじゃない?

変に名前ばかりが悪目立ちして何かと風当たりも強くなりそうだし、かえって余計な苦労をするんじゃないかとアタシだったら心配しちゃうわね。

名前よりも中身で勝負して欲しいと思うわ。


そういえば昔、自分の子供に「悪魔」って名前を付けようとした、なんてニュースもあったわね。

別にアタシはキラキラネームを非難する気は無いけど、さすがにどストレートに「悪魔」なんて名前を付けるのはどうかと思うわ。

ちょっとヒネって「亜久磨」くんぐらいで我慢しとけばよかったのにね。


ちなみにアナタのお父さんの名前はなんていうの?

ふーん。平棟仲(たいらのむねなか)っていうんだ。


なるほどね。

あなたの名前の「仲」はお父さんの名前から取ったのね。

そうそう、昔の名前の付け方って、大体そんな感じで親の漢字を受け継いだりするわよね。

足利だったら義なんとか、徳川だったら家なんとかって名前に大体なってるし。

まぁそれはそれで(まぎ)らわしかったりもするんだけど。


……って、前置きが長くなったわね。

じゃ、さっそく作った歌を見せてちょうだい。


(はる)()の (ゆめ)ばかりなる 手枕(たまくら)

かひなく()たむ ()こそ()しけれ


ふーん。

これも変則ローキック系ね。


……っていうか、「()こそ()しけれ」ってちょっと前に見たわね。

そうそう、たしかサガミオリジナルで有名な相模(さがみ)さんが「恋に朽ちなむ 名こそ惜しけれ」って()んでたわ。


もしかして、パクってたりする?

これじゃ、歌の最後が完全に同じになっちゃってるじゃないの。

もうちょっとヒネってみてもいいんじゃないかなー。


思い切って、「名こそ惜しけろ」とか()んでみたらどう?

「教えろください」的な感じで、個性が出ていいんじゃないかしら。


え? 文法がおかしくて意味が通じない?

別にいいのよ、意味なんて。

もともとアンタたちの歌って、ダジャレ優先、意味は後付け、みたいなところがあるじゃないの。

どうせ意味不明なんだから、ユー、やっちゃいなよ。

ま、どうなってもアタシは知らないけど。


「春の夜の」はそのままの意味ね。

「夢ばかりなる」は「夢ばっかりの」ってことでいいの?


え? 「ばかり」は、程度を表すのね。

じゃあ「夢ほどの」ってことね。


手枕(たまくら)」は手の枕だから、腕枕(うでまくら)ってことかしら。

腕枕(うでまくら)って、ずっとしてると腕が痛くなってくるのよね。


たとえば可愛い女の()とイチャイチャした後って、なんかこう、愛しく感じるっていうかさ、もうちょっとくっ付いてたいなって思ったりして、つい女の()に腕枕をしてあげたりするじゃない?


アタシが男として一番幸せを感じる瞬間って、たぶん、可愛い女の()が自分の腕枕にちょこんと収まって、幸せそうな顔で上目遣いにこっちを見つめてくる時だわ。

そんな状態で、腕枕をしている反対側の手を伸ばしてその娘の髪を触ったり、口唇を指で突っついたり、脇腹をくすぐったりして遊んでる時がアタシは一番楽しいわね。


でも、そうやって楽しんでる時はいいんだけどさ、だんだん腕枕をしている腕が痛くなってくるのよね。

ここで彼女に何て言って腕枕を外すかが、男のセンスを問われる瞬間だわ。


「ゴメン、腕が痛くなった」なーんて言うのは論外よ?

せっかくのムードが台無しじゃないの。

そんなセリフ、カッコ悪すぎて口が裂けても言えないわ。


それとも黙ったまま体勢を変える?

それもダサいわね。

「あ、こいつ、腕が痛いんだな」ってすぐに女の()に見透かされちゃうわよ?


じゃあ正解を発表するわね。

正解は「そろそろシャワー浴びに行こっか?」でしたー。


ま、早い話が、イチャイチャした後は腕枕をしてあげながらピロートークを楽しんで、自分の腕が痛くて我慢の限界になったタイミングでシャワーを浴びに行けばいいってことよ。

簡単でしょ?

是非、実践してちょうだいね。


ダンディな男はね、女の()にはいつだって優しく紳士的に接するものなの。

どんなにその()がブスでもデブでも、例外は無いわ。


また話が()れるけど、ブスだからとかデブだからっていう理由で女の()にツラくあたる男がいたとしたら、そいつは男として失格ね。


可愛い女の()に優しくする、なんてのは誰だって出来るのよ。

男として重要なのは、ブスやデブに対してどれだけ優しくできるかってことだわ。

すべてはそこから始まるのよ。


これを読んでいるみんなも、ブスやデブに対しては特に優しく接してあげてちょうだいね。

そうすることが、ダンディで女にモテる男になるための一番の近道だわ。


え? ブス女やデブ女にモテても仕方がないって?

ところが、そうじゃないんだなー。

前にも言ったけど、モノには順序があるのよ。

可愛い女の()にモテたければ、まずはその前段階としてブスとデブからモテなきゃいけないの。


考えてもみてよ。

ブスな女やデブな女にはモテないけど、可愛い女の()に限ってモテる、なんてことがあり得ると思う?

可愛い女の()にモテる男っていうのはね、例外なくブスとデブからもモテる男なのよ。

周りを見渡してみるといいわ。

ブスとデブにはモテないけど、可愛い女の()からはモテまくり、なんて男がいるかしら?

いないでしょ。


だからまず目指すべきは、ブス女やデブ女にモテることなのよ。

たとえ相手がブスでもデブでも、心から優しく接するっていう習慣をまずは身に付けて欲しいわね。

「アイツって、どんなブスにもデブにも優しいのよねー」っていう評判が、可愛い()のハートを揺さぶる事に(つな)がっていくのよ。


結局ね、アタシが言いたいことは、「どんな女に対しても優しく紳士的に接するべきだ」ってことなのよ。

そのうち自然と可愛い女の()からも好かれるようになるはずよ。


あ、さっきからブスとかデブとか書きまくってて、もしも気に(さわ)ったらゴメンなさいね。

他の表現にしようと思えば出来なくも無いけど、そうすると冗長になって、ただでさえ読みにくいと思われてるアタシの文章がますます読みにくくなっちゃうのよ。

ただシンプルに2文字で表現できて便利だから、そう書いてるだけのことだわ。

別に悪意は無いのよ。


ちなみにアタシはダンディな男を目指しているから、ブス女やデブ女も含めたすべての女を愛しているわ。

あ、さすがに「すべての女」ってのは言い過ぎたかしら。

「ほぼすべての女」に訂正させてもらうわね。


まぁでも、やっぱり女って可愛いわよ。

アタシは女を愛さずには居られないわね。


え?「じゃあ私の言うことを信じてくれる?」って?

ケッ、誰が信じるかよ。

女を信じるくらいなら犬を信じる方がマシだって、何回言えば分かるのよ。


次の「かひなく立たむ」ってのは何?

え?「かひなく」は「何にもならない」とか「つまらない」って意味なんだ。

「立たむ」の「む」は、仮定を表す助動詞なのね。

つまり「立ったら」ってことね。


「名こそ惜しけれ」は「評判が惜しい」ってことよね。

サガミオリジナルで有名な相模(さがみ)さんの歌にも出てきたわ。


じゃあ多分、アナタが言いたいことは、

「春の夜の夢ほどの短い時間の腕枕(うでまくら)で、つまらない評判が立ったら惜しい」

ってことね。


早い話が、「オマエに腕枕されたなんて事がバレたらチョー()ずい」ってことね。

ま、相手がアナタにとって不本意なら、そう思うのも無理はないわね。

アタシが思うに、この歌の一番の問題は、「腕枕されたなんて事がバレたらチョー()ずい」と思っている相手と、アナタがそういう行為に及んでいることだわ。


そんな(くだ)らない男と一緒に寝たりするから、つまらない評判が立つんじゃないの。

名が惜しいなら、身も惜しみなさいよ。


これがもし、「気に入らない男と一緒にいるくらいなら一人の方がマシよ」といった拒絶系の歌だったら、アタシは最大限に評価するんだけどね。

男にベタベタと()びを売るような女よりも、一人で強がっている女の方が、まだアタシは信用できるわね。

そういう(りん)とした態度を取れる女の方が、見ていて清々(すがすが)しいわよ。


この歌が文学的にいいのか悪いのかなんてことはアタシには分からないけど、少なくともアナタのその態度に問題があることは確かね。

尻軽女なんて思われたら最悪よ?

アナタには、これからは心を入れ替えて、名も身も惜しんで欲しいわね。


周りの(くだ)らない男から誘われても、流されずにちゃんと自分の身を防ぐのよ?

周防だけにね。

なんちゃって。


じゃあ最後にアタシの感想を付け加えておくわね。


(はる)()の (ゆめ)ばかりなる 手枕(たまくら)

かひなく()たむ ()こそ()しけれ

アイドルだって 枕営業

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