062.清少納言 「夜をこめて 鳥のそら音は はかるとも 世に逢坂の 関はゆるさじ」
はーい、じゃあ次は清少納言さーん。
こっちに来て作った歌を見せてくださーい。
お、来た来た。
……って、これで女が7人連続かよー。
絶対、作為的だわ、こんなの。
もうちょっとバランスよく並べねーのかよー。
「男子女子男子女子で交互に並べ!」
「先生、男子が、若干女子より多いです」
「そうか、だったら男子女子男子男子女子男子女子だ!」
ところで、アナタのお父さんの名前はなんていうの?
え? 清原元輔なの?
なんだか今アタシ、凄いデジャブが見えてるんだけど。
一応聞くけどさ、それってこのクラスにいる清原元輔くんのこと?
うわー、やっぱりかー。
まーた親子かよ。
じゃあアナタの本名は?
ふーん、清原諾子っていうんだ。
まぁ清原諾子よりは清少納言の方が清純そうでいいわよね。
柴咲コウだって、本名は山村幸恵だわ。
でも、もうちょっとヒネリが欲しいわね。
アタシが考えてあげようかしら。
そうねぇ、「Say! Show! Now go on!」なんてどうかしら。
もちろん「Hey! Say! JUMP」のオマージュだわ。
え? ネーミングセンスを疑うって?
文句があるなら、ジャニー喜多川に言ってちょうだい。
まぁでも、別にいいじゃない。
ユー、やっちゃいなよ。
え? やだ?
それは残念ね。
じゃ、さっそく作った歌を見せてちょうだい。
夜をこめて 鳥のそら音は はかるとも
世に逢坂の 関はゆるさじ
なぁに、これ。
何を言ってるのか見当もつかないわ。
「夜をこめて」って何?
「闘魂こめて」なら知ってるわよ。
アタシはプロ野球だったら、ジャイアンツのファンなの。
でも、そんなに熱心なファンじゃないわね。
東京ドームに野球を見に行ったことなんて一度も無いわ。
すぐ近くのウインズ後楽園には、よく通ったけどね。
そう言えば、アタシが高2の冬に別れた彼女は熱心なジャイアンツのファンだったわね。
学校帰りに水道橋まで行って、野球観戦とかしてたみたいね。
学校にジャイアンツの応援メガホンを持ってきてたのを見たことがあるわ。
いま思えば、一緒に野球観戦なんかも行っておけばよかったわね。
でも当時のアタシは必死に勉強してたから、そんな余裕なんて無かったんだけどさ。
……って、もういい加減、アタシが高2の冬に別れた彼女の話は聞き飽きたでしょ。
でもアタシは何度でも書くわよ?
それだけアタシが受けた心の傷は深いのよ。
せいぜい、この場を借りて憂さ晴らしさせてもらうわ。
え?「夜をこめて」は「夜がまだ明けないうちに」って意味なの?
こんなの、聞かなきゃ絶対分からないわね。
「 鳥のそら音」ってのは?
え?「鳥」は「ニワトリ」で、「そら音」は「鳴き真似」って意味なのね。
つまり、「ニワトリの鳴き真似」ってことね。
アタシ、ニワトリの鳴き真似って聞いたら、石井健雄の「NewBiBi-HendI」を思い出しちゃったわよ。
見たことない人は、一度YouTubeで検索して見てみるといいわ。
思わずヨーデルに目覚めそうになっちゃうわよ。
アタシなんか、しばらく「レイヨロレイヨロ」って言ってたくらいだわ。
次の「はかるとも」って何?
あーなるほどー。
「謀るとも」ってことか。
じゃあ「ダマそうとしても」ってことね。
「世に逢坂の 関はゆるさじ」が全く意味不明だわ。
え?「世に」は「決して」とか「絶対に」って意味なの?
そんなの、世に分からじ、だわ。
「逢坂の 関」が関所だってことは前に出てきたから分かるわ。
夏にうるさい蝉丸くんが「知るも知らぬも 逢坂の関」って詠んでいたのよ。
たしか、逢坂の関は大阪とは無関係で、滋賀県にあるのよね。
だったら「ガーシーの関」とか詠んでくれりゃいいのにね。
紛らわしくて困るわ。
「ゆるさじ」は「許さない」ってことよね。
つまり、「決して 逢坂の関は許さない」ってこと?
じゃあまとめると、アナタが言いたかったことは、
「夜がまだ明けないうちにニワトリの鳴き真似でダマそうとしても、決して逢坂の関は許さない」
ってことね。
何なの、これ。
大喜利?
笑点?
山田くーん、全部持ってっちゃいなさい!
もうナンセンス過ぎて、理解する気も失せるわね。
こんな歌を詠んで、シャレた皮肉でも言ったつもりなのかしら?
小賢しいわー。
こんなのと関わりたくないわー。
ニワトリの歌なんて詠んでて楽しいの?
あんまりフザけてると、すり潰してナゲットにしちゃうわよ。
着物の下に紫色の特攻服を着ている紫式部さんが、アナタの事を「得意げに漢字を書き散らしているが、よく見ると間違いも多いし大した事はない」とか「こんな人の行く末にいいことがあるだろうか、あるわけない」って言ってた意味が今になって分かるわね。
そう言えばアナタのお父さんの清原元輔くんも、ブタも食わないような大げさな歌を詠んでいたわ。
エキセントリックな親子っていうのも一概に悪いとは言えないけど、もう少し適度ってものを考えた方がいいわね。
それに、小賢しいだけで可愛げのない女なんて、男から見れば煙たいだけよ?
アナタにはむしろ、伊勢大輔さんの「ぶりっ子」と「あざとさ」を見習って欲しいわ。
せいぜい頑張ってちょうだいね。
じゃあ最後にアタシの感想を付け加えておくわね。
夜をこめて 鳥のそら音は はかるとも
世に逢坂の 関はゆるさじ
さじを今では スプーンと呼ぶ




