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044.中納言朝忠 「逢ふことの 絶えてしなくは なかなかに 人をも身をも 恨みざらまし」

はーい、じゃあ次は中納言朝忠(ちゅうなごんあさただ)くーん。

こっちに来て作った歌を見せてくださーい。


お、来た来た。

あーまた中納言ね。

でも「(ごん)」が付かないだけマシかしら。


キミの本名は何て言うの?

え? 藤原朝忠(ふじわらのあさただ)っていうのね。


ついでにキミのお父さんの名前も聞いておこうかしら。

え? 藤原定方(ふじわらのさだかた)っていうの?

あれ? その名前、どこかで聞いたような……。


……って、このクラスの三条右大臣(さんじょううだいじん)くんのことじゃないの!

たしか、ウツボカズラがどうとかいう歌を()んでたわよ。

まーた親子のパターンかぁ。

ある意味、毎日が授業参観みたいなものね。


つか、それじゃ生活が成り立たねーだろ。

誰のお陰でメシ食ってんだ! ってアタシが言っちゃうわよ。

まぁいいわ。

気にしたら負けだわ。


じゃ、さっそく作った歌を見せてちょうだい。


()ふことの ()えてしなくは なかなかに

(ひと)をも()をも (うら)みざらまし


なぁに、これ。

「恨みざらまし」って、何かの(のろ)いだったりするの?

もしかして、お父さんを(うら)んでたりするのかしら?


()ふことの」は「会うことの」でいいのかしら。

え? 「逢瀬(おうせ)のこと」?

じゃあ異性に会うことを言っているのね。

たぶんエッチな行為も暗示してるはずよね。

キミたちの発想って、いつもそれだから。


()えてしなくは」は?

え? 「絶えて」は「まったく」、「なくは」は、「無いのならば」って意味なの?

ふーん、じゃあ「まったく無ければ」って意味になるわね。


「なかなかに」は「お主、なかなかやるな」みたいな感じ?

え? 「かえって」とか「むしろ」の意味なの?

初見だとそういう意味には思えないわね。


(ひと)をも()をも (うら)みざらまし」ってのは何?

え? 「人」は「あなた」で「身」は自分自身、つまり私ってことなの?

じゃあ人身事故って言ったら、あなたと私の事故ってことで、無理心中みたいになっちゃうわね。

え? 何でもないわ、独り言よ。


(うら)みざらまし」は?

ふーん、「恨むことなんかないのに」って意味なのね。


じゃあまとめると、キミが言いたかったことは、

「逢うことがまったく無ければ、あなたも我が身も恨むことなんかないのに」

って感じなわけね。


これは「AでなければBでない」っていう構造ね。

「not A ⇒ not B」だわ。

対偶をとると「B⇒A」ね。

数学的には、命題の対偶は常に成り立つのよね。

アタシ、これでも大学は数学科を出てるのよ。


つまりキミは、

「あなたも我が身も恨むことになったのは、逢ったりしたからだ」

って言いたいのかしら。

「こんなに辛い思いをするぐらいなら、出逢わなければよかった」

ってことかな。


「出逢わなければよかった」なんて聞くと、アタシはアニメのCLANNAD(クラナド) を思い出しちゃうわね。

CLANNAD(クラナド)AFTER(アフター) STORY(ストーリー)は、完全に男を泣かせにきてるわよね。

アタシも泣いちゃったわよ。


そういえば、近頃アタシ、あんまりアニメを見なくなっちゃったわね。

鬼滅(きめつ)(やいば)すら見てないわ。


アタシって、意地でもブームに乗っからない人なのよ。

アタシが鬼滅(きめつ)(やいば)を見るのは、もっと先の話になるわね。


あの「君の名は」だって、アタシが見たのは公開後ずいぶん()ってからだったわ。

世間とアタシとでは、時空がずれてるのよね。


ちなみに一時期話題になったテレビドラマの「半沢直樹」とかは、アタシは一瞬も見たことないわよ。

普段はYouTubeを見てたり、ゲームをしたりして過ごしてるから、テレビなんてほとんど見ないのよね。


……って、またアタシ、百人一首と全然関係ないことを書いちゃってるわね。

まぁでも、こんなのはいつものことだわね。

アタシは後先考えずに気の向くまま書いちゃう人だから。


例えばアタシが小説を書こうと思うじゃない?

そうすると、とりあえずの状況だけ設定して、なんとなく登場人物を決めて、いきなり書き始めちゃうわけよ。

プロットも無く、完全に見切り発車で。

だいたいプロットなんて、作り方すら知らないからね、無理もないんだけど。


でも、そうやって書いていくと、登場人物のセリフが、だんだんアタシのセリフになってきちゃうのよ。

小説の世界に作者が介入するなんて、もうその時点で小説じゃなくなっちゃうじゃない?

それまで作り上げてきた世界観がすべてぶち壊しになるからね。


けど、アタシはそれを()められないわけ。


たぶんアタシには、まともな小説なんて一生書けないわね。

ま、アタシがまともな小説を書けなくたって、誰も困らないんだけど。


……って、中納言朝忠(ちゅうなごんあさただ)くんのこと、すっかり()ったらかしにしちゃったわね。


だからね、キミのそういう気持ちはアタシにもよく分かるわ。

アタシも高校時代に手痛い失恋をしててね、正直、(いま)だに引きずってるわよ。

彼女を忘れようとしても、忘れられないの。

そんな自分を、これまで何度(のろ)ったか分からないわ。


でもね、明けない夜は無いの。

朝は必ずくるのよ。

だから今は我慢して、じっと朝を待つの。


朝をただ待っていればいいのよ、朝忠(あさただ)だけに。

なんちゃって。


じゃあ最後にアタシの感想を付け加えておくわね。


()ふことの ()えてしなくは なかなかに

(ひと)をも()をも (うら)みざらまし

子どもに人気 ゴマフアザラシ

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