042.清原元輔 「契りきな かたみに袖を しぼりつつ 末の松山 波こさじとは」
はーい、じゃあ次は清原元輔くーん。
こっちに来て作った歌を見せてくださーい。
お、来た来た。
キミは「きよはらのもとすけ」っていう名前なのね。
清原っていえば何人か前に、産まれた時からオヤジ顔の清原深養父くんが来たけど、キミは彼の兄弟や親戚だったりするの?
え? キミは清原深養父くんの孫なの?
へー、そうなんだ。
あ、もうこのパターンも慣れっこだから。
源宗于朝臣くんが光孝天皇くんの孫だったりしたからね。
孫と祖父が同じ学校の同じクラスに居たって、もうアタシはちっとも気にならないの。
なんてったって、悟りを開いちゃったから。
もはや御仏の心に従って、何でも許せちゃうわ。
ウソだけど。
じゃ、さっそく作った歌を見せてちょうだい。
契りきな かたみに袖を しぼりつつ
末の松山 波こさじとは
あら、久しぶりに来た、ながら系男子だわね。
さっき言ってた、光孝天皇くん以来かしらね。
え? ながら系男子って何ですか、って?
歌の中に「つつ」って書いてたら、ながら系なの!
ただそれだけよ。
「契りきな」って何?
え?「約束しましたよね」って意味なんだ。
「契りき」で「約束した」ってことね。
「契りきな」の「な」は「な?」ってことでいいのかな。
「な? お前と約束したよな? な?」
みたいな。
「かたみに」ってのは何なの?
「形見に」ってこと?
え?「お互いに」って意味なの?
ちょっと、そう言われないと思い付かないわね。
「かたみに」と「お互いに」じゃ、似ても似つかないじゃないの。
「袖をしぼりつつ」は「袖を絞って押さえながら」ってことでいいかしら。
え? 涙で濡れた袖を絞ることなの?
何よ、それ。
涙を拭う袖が絞れるほど涙を流したってこと?
さすがにそれはちょっと大袈裟なんじゃないの?
ちょっと足を引っ掛けただけで大袈裟に足を押さえてのたうち回る、中東のサッカー選手かよ。
アイツら、勝ってる試合の終盤になると、ワンプレイ毎にグラウンドでゴロゴロのたうち回るのよ。
こんなの、いかにもウソくせぇとしか思えねーわ。
涙で袖が絞れるなら、おならで空が飛べるっつーの。
あーもうアタシ、これだけでこの歌、大っ嫌いだわ。
「末の松山 波こさじとは」っていうのは何?
え?「末の松山」は地名で、どんな大きな波でも越せない場所なのね。
「波こさじ」の「じ」は打消しの推量なの?
ふーん。
それで「波が越さないはずだ」って意味になるのね。
じゃあ「契りきな〜末の松山 波こさじとは」で、
「末の松山は波が越さないはずだと約束しましたよね」ってこと?
え?
「末の松山を波が越えることが無いように、二人の愛も終わること無く永遠であることを約束しましたよね」ってことなの?
おい。
ちょ待てよ。
そりゃあ木村拓哉も不機嫌になるわよ。
二人の愛が永遠であることを約束した、なんて、どこにも書いてないじゃないの。
アタシ、波が山を越えないっていう間抜けなセリフしか聞いてないわよ?
ただのアンタの妄想なんじゃないの? それ。
だいたい、二人の愛が永遠だ、って誓い合ってる状況で、なんで袖が絞れるほど泣いてるのよ。
そんなにラブラブなら幸せの絶頂じゃないの。
アタシなら、幸せ過ぎてニヤニヤしちゃうわよ。
結婚式で新郎新婦が神父に向かって永遠の愛を誓うとき、二人して号泣してるようなもんでしょ、これ。
そんな結婚式、見たことねーわ。
出席者一同、ポカーン状態よ。
何のコントよ、それ。
まさかの夢オチ?
そんな夢を見たってだけなんじゃないの?
まぁいいわ。
じゃあキミが言いたかったことは、
「約束したよな? 互いに涙で濡れた袖をしぼりながら、末の松山を波が越さないように、二人の愛は永遠だ」ってことなの?
なぁに、これ。
「涙で濡れた袖をしぼりながら」だの「末の松山を波が越さない」だの、大袈裟すぎて白々しくて、反吐が出るわ。
アタシはこんな歌を詠まれたら、クサすぎて鼻をつまみたくなるわね。
こんな歌、ブタにでも食わしとけや。
え? 何でもないわ。
こっちの話よ。
じゃあ最後にアタシの感想を付け加えておくわね。
契りきな かたみに袖を しぼりつつ
末の松山 波こさじとは
こさじ一杯は 5ccだから




