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030.壬生忠岑 「有明の つれなく見えし 別れより 暁ばかり 憂きものはなし」

はーい、じゃあ次は壬生忠岑(みぶのただみね)くーん。

こっちに来て作った歌を見せてくださーい。


お、来た来た。

……ってキミ、「みぶのただみね」って読むのね。

アタシ、出席簿にふりがなが振ってなければ読めないところだったわ。


っていうか、「壬」っていう漢字自体が初見なのよ。

「壬」なんて「任」の右側でしか見たことないわよ。


「岑」は知ってるわ。

知ってるというか、今日知ったんだけどね。

このクラスの上級エロ坊主、じゃなかった僧正遍昭(そうじょうへんじょう)くんの本名が「良岑宗貞(よしみねのむねさだ)」なのよ。

僧正遍昭(そうじょうへんじょう)くんの子の素性法師(そせいほうし)くんが教えてくれたわ。


それにしても山に今って書いて「みね」って読むなんて、全然知らなかったわ。

「むべ山今を (みね)といふらむ」だわ。

新聞屋の文屋康秀(ふんやのやすひで)くんに教えてあげちゃおうかしら。


でもアタシ、「みぶ」なんて苗字(みょうじ)は聞いたこと無いのよね。

将棋の羽生(はぶ)さんなら、よく耳にしたんだけどね。


昔の話になるけど、この人、将棋で前人未到の7冠を達成したりしてね、そりゃあもう無敵と言えるほどに強かったのよ。ちょうど今の藤井聡太くんみたいなものね。


あれ? 話がそれちゃったわね。

まぁつまりアタシが言いかったことは、アタシはキミのお父さんを絶対知らないってことよ。

いつもなら、お父さんの名前を聞くところなんだけど、今回はあえて聞かないことにするわね。


じゃ、さっそく作った歌を見せてちょうだい。


有明(ありあけ)の つれなく()えし (わか)れより

(あかつき)ばかり ()きものはなし


なぁに、これ。


「有明の月」だったら分かるわ。

「夜明けまで空に残っている月」のことよね。

さっき出てきた素性法師くんが教えてくれたわ。


でもキミの歌には「月」って書いてないわよ?

え? 有明って言ったら月に決まってるから省略したの?

なるほどね。

じゃあ意味としては、やっぱり「有明の月」なのね。


「つれなく見えし」は何?

え? 「つれなく見えた」とか「冷淡に見えた」の意味なのね。

そういえば、今でも「つれない素振(そぶ)り」とか言ったりするわね。


「別れより ()きものはなし」は何となく分かるわ。

別れほど気持ちが(ふさ)ぐことは無いってことでしょ?

アタシにもそういうツラい経験があったわ。


え? 違うんだ。

「別れより」は「別れた時から」ってことなのね。

で?

ふーん、「(あかつき)ばかり 憂きものはなし」は「(あかつき)ほどツラいことはない」ってことなんだ。

(あかつき)」って何だっけ。


え? 夜明け前のまだ暗い時間帯ってこと?

あーそっか。

春眠(しゅんみん)(あかつき)を覚えず」って言うもんね。

つまり、「夜明け前ほどツラいことはない」ってことかー。


じゃあまとめると、

「有明の月の頃、あなたが冷淡に見えた別れの時から、夜明け前ほどツラいことはない」って感じね。

なるほどー。

夜明け前に彼女から冷たい素振(そぶ)りを見せられて別れたことが、トラウマになってるってことね。

アタシにとっては分かりみが深いわねー。

急にそういう態度を取られると、その時の状況が強烈に脳裏に焼き付いて、後々までぶり返してくるのよね。


でもアタシは夜明け前のまだ暗い時間帯には、たいてい寝ちゃってるから、夜明け前がツラいってことは無いわね。


むしろ起きることの方がツラいわ。

二度寝して、冷や汗を何回かいたか分からないわよ。

目が覚めて二度寝したことに気付いたときって、ホントに頭から血の気が引くのよね。

絶対アラームは二重にセットしておいた方がいいわよ。


じゃあ最後にアタシの感想を付け加えておくわね。


有明(ありあけ)の つれなく()えし (わか)れより

(あかつき)ばかり ()きものはなし

最近見ないな いきものがかり

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