028.源宗于朝臣 「山里は 冬ぞ寂しさ まさりける 人目も草も かれぬと思へば」
はーい、じゃあ次は源宗于朝臣くーん。
こっちに来て作った歌を見せてくださーい。
お、来た来た。
……ってキミ、「みなもとのむねゆき」って読むのね。
どう見ても、こんなの初見で読めるわけないでしょ。
出席簿にふりがなが振ってあったから読めたけどさ。
もしかして、この時代のキラキラネームだったりするの?
キラキラネームなんて悪目立ちするだけで、付けられた方はたまったもんじゃないわよね。
同情しちゃうわー。
キミが朝臣のままなのも、ひょっとして名前が原因かも知れないわよ。
例えば名前が源宗輔とかだったら、たぶん中納言まで出世していたんじゃないかしら?
でもそれと引き換えに、スケベになっちゃいそうだけど。
ところで、キミのお父さんの名前は何ていうの?
え? 是忠親王なの。
……って、聞いたことないわね。
え? 是忠親王は丸コピくん、じゃなかった、光孝天皇くんの子なの?
えーっ!?
じゃあキミは光孝天皇くんの孫ってことじゃないのー!
一体どうなってんのよ、このクラスはー。
アタシ、このクラスの人間関係に頭がついていかないわ。
まぁでも、気にしないで行くわよ。
こんなの気にしたら負けよ。
誰かも言ってたけど、鈍感力よ、鈍感力。
えっ? 何でもないわ、こっちの話よ。
じゃ、さっそく作った歌を見せてちょうだい。
山里は 冬ぞ寂しさ まさりける
人目も草も かれぬと思へば
あら、久しぶりのキック系だわね。
え? どうして僕がキック系なのかって?
えー? 説明ダルいわー。
コピペですら面倒いわー。
あとで中納言家持くんにでも聞いてちょうだい。
でもキミ、名前が分かりにくい割には、歌は分かりやすいのね。
試しにこの歌の意味を初見で言い当ててみようかしら。
えーっと、「山里は冬が一番寂しい。人も来ないし草も枯れると思うから」で、どうかしら?
え? だいたい合ってる?
マジでー。
アタシもやるわね。
こんなもん、だいたい合ってりゃそれでいいのよ。
アタシは完璧なんて目指してないからね。
でも、このくらいの文法なら、もう分かるようになったわ。
「冬ぞ」の「ぞ」は強調でしょ?
そんでもって、強調の「ぞ」って出てきたら、係結びの法則が発動して「まさりける」になるのよ。
「思へば」の「ば」は、理由を表す「ば」ね。
「わびぬれば」の「ば」と同じでしょ? これ。
でも「ば」は、仮定の「ならば」の意味を持つこともあって、それが「名にし負はば」のパターンね。
……で、理由の「ば」なのか、仮定の「ば」なのかは、たぶん文脈で決めるのよ。
キミの歌の「かれぬと思へば」の「ば」は、仮定の「ならば」って解釈すると意味がおかしくなるから、理由を表す「ば」になるんだわ。
え? ちょっと違ってるけど、だいたい合ってる?
ホントにー?
アタシ、古文の先生になれちゃうんじゃない?
……って、さすがにそれは調子に乗り過ぎだわね。
つーか、アタシは理系の人間だっつーの。
じゃあ、今回はいちいちキミに説明してもらう手間が省けたってことね。
助かっちゃうわー。
他の子の歌も、みんなこんな感じに分かり易ければ良かったんだけどね。
「いつみきとてか」なんて詠まれた身にもなって欲しいわね。
こんなの、うっすら殺意が沸くレベルだわ。
まぁ、キミにはこれからも、素直に真っすぐ生きてもらいたいわ。
やっぱり人間は素直が一番なのよ。
じゃあ最後にアタシの感想を付け加えておくわね。
山里は 冬ぞ寂しさ まさりける
人目も草も かれぬと思へば
山里といえば 南海キャンディーズ




