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023.大江千里 「月みれば ちぢにものこそ 悲しけれ わが身一つの 秋にはあらねど」

はーい、じゃあ次は大江千里(おおえのちさと)くーん。

こっちに来て作った歌を見せてくださーい。


お、来た来た。

って、キミと同じ名前の歌手を見たことあるわー。

たしか、『格好悪いふられ方』って歌を歌っていたはずよ。


で、この人、「か、あ、こ、わ、るー、い、ふ、ら、れ、か、あ、た、あ」って歌うのよねー。

文字だと伝わらないと思うけど。


でもキミは「おおえせんり」じゃなくて「おおえのちさと」って読むのね。

「千里」で「ちさと」って言ったら、アタシの世代で言えばなんといっても森高千里なのよねー。

え? アタシは年齢(とし)誤魔化(ゴマか)したりなんてしてないわよ?

失礼ぶっこいちゃうわね。


ところで、キミのお父さんの名前を聞いていいかしら?

え? 「大江音人(おおえのおとんど)」っていうの?

なんだか本当にミュージシャンみたいな字面(じづら)の名前ね。

って言っても、アタシはそんな名前、聞いたことないけど。


ねぇ、音人の読みって本当に「おとんど」であってるの?

もしかして、「おっとっと」だったりしないのかしら。

たしかそんなお菓子があったわよね。

まぁそれは冗談にしても、「おとひと」くらいが妥当な読み方じゃないかしら。


アタシいつも同じ事を書いてる気がするんだけど、昔の人の名前をどう読んだかなんて、誰にも分かりっこないと思わない?

どこかに振り仮名でも振ってあれば別だけどさ。

こういう読み方って、いったい誰が決めてるのかしら。


音人を「おとんど」って読んだ証拠がどこかにあるって言うのなら、ぜひ教えて欲しいわね。


って、アタシこれ、誰に言ってるのかしら。

設定がブレブレだから、もう自分の立ち位置がよく分かんなくなってきちゃったわ。

ま、細かいことは気にしたら負けよね。


じゃ、さっそく作った歌を見せてちょうだい。


(つき)みれば ちぢにものこそ (かな)しけれ

わが()(ひと)つの (あき)にはあらねど


なぁに、これ。

月を見たら悲しくなるって言いたいの?

何だかよく分からない歌ね。

ってか、アタシが初見で分かる歌なんて、ほとんど無いんだけどね。


「月みれば」はそのまんま、「月を見れば」ってことでしょ?


次の「ちぢにものこそ」が分からないわ。

「ちぢ」って何?

知事のこと? 

コロナ全盛時に「密です!」とか言ってた、都民ファーストの小池都知事みたいな感じ?


え? 違うの?

「ちぢに」は「千々に」って書いて、「さまざまな」とか「際限無く」って意味なのね?

「もの」は「物事」のことね。


「こそ〜けれ」は係り結びね。

そう書くお約束ってだけのことだわ。

「ちぢにものこそ 悲しけれ」で、「さまざまな物事が悲しい」って意味ね。


「わが身一つの 秋にはあらねど」は、「自分ひとりの秋じゃないけど」ってことでいいの?

え? まぁだいたいそんな感じなのね。


じゃあまとめると、キミが言いたかったことは

「月を見れば、さまざまな物事が悲しい。自分だけじゃなくて、みんなも秋になるとそうだと思うけど」

ってことね。


なぁに、これ。

秋ってちょっぴり、おセンチな気分になっちゃうわね、って言ってるの?

まぁ分からなくも無いわね。


あのプロゴルファー猿丸くんも、「秋は悲しき」って()んでるくらいだからね。

まぁ彼の場合は、鹿の声を聞くと悲しいけど鹿鍋(しかなべ)にして食べればまいうー、みたいな感じの歌だったけど。

え? そんな歌じゃない?

おかしいなぁ。


でも、そんなふうにあんまり深刻に考えなくてもいいんじゃないかしら?

キミが()んだように、みんなも秋になると、きっとそんな感じなのよ。


アタシが大好きな歌手の沢田研二も「コバルトの季節の中で」っていう歌で「誰だって 秋は独りですね」って歌ってたわ。

沢田研二の名曲の一つよ。

たまにアタシも、一人でカラオケに行ったりするときは、よく歌ってるわね。


ちなみにアタシは一人じゃなきゃ、カラオケなんて絶対行かないわよ。

あんなもの、みんなで行って何が楽しいのかしら。

余計にストレスが()まるだけだわ。


誰にも気兼ねせず、大音量で自分の好きな歌を歌うからこそ、楽しくてストレス発散になると思うんだけど。

そうまでして誰かと群れていたい心境が、アタシには理解できないわね。


あ、言っとくけど、さっきの歌は「コボルトの季節の中で」じゃないわよ。

そんな異世界ファンタジーみたいな歌じゃないからね。


まぁでも、やっぱり悲しい時や気分が落ち込んだときは、何か美味(おい)しいものを食べることが大事ね。

のんびり月を見ながら、みたらし団子とかアンミツとか、なにか甘いものでも食ってりゃいいんだわ。

(つら)い感情って、ある程度は食べ物で解消できるのよ。

これは知っておくといいわ。


あと、これも余談だけど、付き合ってる彼女と気まずくなったりデート中に彼女の機嫌(きげん)が悪くなったときは、その場で(くち)ゲンカなんてしないで「とりあえず場所を変えよう」とか言って、どこかのお店で一緒に甘い物を食べながら話をするといいわよ。

できればケーキなんかが理想的ね。


べつに値が張る豪華なやつじゃなくて、ファミレスとかのしょぼいケーキでも全然大丈夫よ。

それだけで充分、効果があるわ。

アタシの経験で言うと、ケーキとか何か甘いものを食べながら女の子と話してる限り、不思議と深刻な会話にはならないわね。


別れ話か何かで女の子と()めそうなときは、とりあえずスイーツを食べさせてみるといいわ。

きっと最悪な事態は避けられるはずよ。

ぜひ参考にしてちょうだいね。


じゃあ最後にアタシの感想を付け加えておくわね。


(つき)みれば ちぢにものこそ (かな)しけれ

わが()(ひと)つの (あき)にはあらねど

知事がアンミツ食べて 「ミツです!」

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