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91.騎士団としては

「……あの、二人に頼みたいことがあるんですけど、少しいいですか?」

「はい、なんですか?」


 そこで、私はそのように切り出した。

 実の所、私が二人に事情を話したのは、とある意図もあったからなのだ。


「騎士団の機密情報を掴める程に、ナルキアス商会の情報網はすごいようですから、その情報網を活用してもらいたいのです」

「ええ、それはもちろん構いませんが……一体、何を調べるんですか?」

「先程話していたルミーネのことです」

「なるほど、そのことですか……」


 私は、ナルキアス商会の力によって、ルミーネのことを探りたかった。

 彼女の所在は、まったく掴めていない。騎士団も探しているらしいのだが、まったく情報がないのだ。

 それが知ることができれば、こちらから動くことができる。そのため、是非とも彼女の所在は知りたいのだ。


「ルルメアさん、少し待ってください」

「マルギアスさん、なんですか?」

「騎士団として、その頼みは止めさせてください」


 そんな私の頼みごとを、横にいたマルギアスさんが止めてきた。

 どうやら、これは騎士団的には駄目なことのようだ。その理由は、なんとなくわからなくはない。


「商人の情報網は、もしかしたら騎士団のものより優れているのかもしれません。ですが、それでも私は彼らが動くことに賛同できません」

「……それは、危険だからでしょうか?」

「……ええ、そうです。彼女は危険な存在です。調べる過程で、何かあるかもしれません」


 マルギアスさんは、スライグさんとセレリアさんが危険な目に合うことを危惧しているようだ。

 それは、なんとも彼らしい心配である。やはり、マルギアスさんは根っからの騎士なのだろう。


「マルギアスさん、ご心配ありがとうございます。ですが、問題はありません。僕達商人も、それなりに危険に対応できますから」

「あなた達は、まだ彼女のことを知りません。ルミーネという女性は、騎士団でも手を焼くような人です。そんな簡単なことではないんです」

「あまり、僕達を舐めないでください」

「む……」


 マルギアスさんに対して、スライグさんは少し語気を荒げていた。

 その視線は鋭い。それだけで、彼の真剣な思いが伝わってくる。

 マルギアスさんが善意で言っていることは、スライグさんもわかっているだろう。だが、それでも彼のその態度に、少し怒っているのかもしれない。

 なぜなら、マルギアスさんのその態度は、悪く言えば侮っているように見えるからだ。それに対する反発心が、スライグさんの中にも少なからずあるのだろう。

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