表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

90/120

90.事情の説明

「という訳で、騎士団は私のことを本当に守ってくれています」

「そうですか……その話を聞いてまた安心できました。しかし、まさか、そんなことになっているなんて……」

「ええ、この国で一体、何が起こっているの……?」


 スライグさんとセレリアさんを客室に招いて、私はこれまでの経緯をある程度話しておいた。

 ナルキアス商会に送った手紙には、グーゼス様やルミーネのことは詳しく伝えていなかったが、今回は、ある程度伝えることにした。ここまで来た二人には、その事情も明かしておくべきだと思ったのだ。

 二人は、この国で起こっている問題に対して、困惑していた。それは、そうだろう。これは、誰だって驚くべきことだ。


「ルルメアさんが何者かに狙われているとは聞いていましたが、ズウェール王国の王子が、しかも化け物になっているなんて、にわかには信じられないことですね……」

「ええ、でも本当なんです」

「わかっています。ルルメアさんが嘘を言っているとは思っていません」


 スライグさんは、私のことを信じてくれている。そのことが、私は嬉しかった。

 普通に考えて、こんな突拍子のないことは中々信じられないだろう。それを信じてくれる程に私を信用しているという事実には、感謝の気持ちしかない。


「騎士団が、本当に守ってくれているという事実もわかって良かったわね、兄さん」

「まあ、それはそうだな……」

「兄さん、ナーゼスさんと一緒にひどく心配していたんですよ」

「そうなんですか……」

「セレリア、それは言わなくていいから……」


 スライグさんだけではなく、ナーゼスさんも私のことを心配してくれていたようだ。それも、ありがたいものである。


「……騎士団の誤解が解けたというなら、それは何よりです」

「あ、えっと……」


 そこで、マルギアスさんがそのように口を挟んできた。彼にしては珍しく、その口調は少し攻撃的である。

 そういえば、彼は騎士団に強いあこがれを抱いて騎士になったのだ。そんな彼にとって、騎士団に対して疑念を抱かれるというのは、あまり気持ちがいいことではないのかもしれない。


「改めて言っておきますが、騎士団はルルメアさんを守るつもりです。そこに他意はありません」

「ええ、そうですね……」


 マルギアスさんの言葉に、スライグさんはゆっくりと頷いた。しかし、その表情から疑念が消えているという訳ではなさそうだ。

 それは、当たり前のことである。例えマルギアスさんがそう思っていても、騎士団がそういう考えとは限らないからだ。

 ただ、マルギアスさんがいい人であるということは、二人にもわかってもらえただろう。それがわかってもらえたなら、私としては嬉しい限りだ。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ