表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

87/120

87.訪ねて来る者

 私は、今日も与えられた屋敷で過ごしていた。

 意外なことではあるが、グーゼス様は私の前に現れない。もうこの屋敷に来てから三日が経ったが、何も起こっていないのだ。


「……どういうことなんだろう?」


 私は、部屋の中で頭を悩ませていた。

 前にグーゼス様と会った時は、次の日には彼が襲撃してきた。それなのに、今はもう三日も襲ってこない。それは、どういうことなのだろうか。


「……ルルメアさん、少しよろしいでしょうか?」

「あ、はい。なんですか?」


 そんなことを考えていると、部屋の外からマルギアスさんの声が聞こえてきた。

 彼の方から私に呼びかけてくるのは、珍しいことだ。もしかして、何かあったのだろうか。

 そう思いながら、私は部屋の戸を開けた。すると、少し焦ったような顔をしたマルギアスさんの顔が見えてくる。


「……どうしたんですか?」

「少し大変なことになっているんです。あ、といっても、別にグーゼス王子が現れたという訳ではありませんから、そこは安心してください」

「あ、はい」


 マルギアスさんの口振りからして、グーゼス様やルミーネ関連で何かがあったという訳ではなさそうだ。

 しかし、それ以外に彼が焦ることとはなんだろう。ケルディス様が来たとかなら、ここまで焦らないだろうし、それがあまりよくわからない。


「実は、この屋敷に客人が来たんです」

「客人? この屋敷に、ですか?」

「ええ、彼らはルルメアさんの友達だと主張しているのです。しかも、自分達はナルキアス商会の者だとも言っているんです」

「え?」


 マルギアスさんの言葉に、私は驚いていた。

 ナルキアス商会の私の友人。それはスライグさんとセレリアさんのことだろう。

 しかし、どうして彼らがここに来るのかがわからない。ある程度の事情は説明したが、そもそもこの場所のことは教えていないのに、彼らが来る意味がわからないのである。


「とにかく、ルルメアさんには二人の顔を確認してもらいたいのです。そもそも、本当にご友人かどうかもわからない訳ですし……」

「そうですね……とりあえず、そこからですね」


 私は、マルギアスさんの言葉にゆっくりと頷いた。

 確かに、ナルキアス商会の友人というだけでは、本当に二人かどうかはわからない。まずは、その顔を確認して、本人かどうかを確かめるべきだ。

 ここに来た事情は、それから本人に聞けばいいだろう。もしも二人なら、教えてくれないとも考えにくいので、それでいいはずだ。

 こうして、私はマルギアスさんとともに玄関に向かうのだった。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ