表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

79/120

79.悔しい安心

「はあ、まあ、今回はここで終わりにしておきます。この屑どもには、まだ使い道がありますから、全部使いたくはありません。一体残っていれば、増やせますからねぇ」


 ルミーネは、笑みを浮かべながら、そんなことを言ってきた。

 どうやら、彼女は引くつもりのようだ。そのことに、私は少し安心する。流石に、これ以上グーゼス様を捌くのは無理があったからだ。

 私は元聖女である。だが、それでも限界はあるのだ。後数体残っているグーゼス様、さらにはルミーネまで倒すことは不可能に近いだろう。


「くっ……せめて、騎士団の増援が来ていれば」


 マルギアスさんは、悔しそうにそう呟いていた。

 その呟きに、私は気付く。そういえば、騎士団の増援はまだ来ないのだろうかと。


「……まさか」

「あら? どうかしましたか?」

「あなた……騎士団の増援に何かしたの?」

「さて、どうでしょうか?」


 私の質問に、ルミーネは邪悪な笑みを浮かべていた。

 それによって、私は彼女が何をしたかを理解する。恐らく、彼女は騎士団の増援、または増援を呼びに行った騎士にグーゼス様を仕掛けたのだ。

 あれだけグーゼス様がいるのだから、何体かをそちらに送り込んでいてもおかしくはない。むしろ、そうしない理由がないくらいである。


「あはは、いい顔をしていますね。ルルメア様、そういう顔が、私は大好きですよ?」

「……あなたは、一体何を考えているの?」

「それは秘密です。教えるなんて、つまらないではありませんか」


 ルミーネは、楽しそうに笑っている。本当に、彼女は一体何を考えているのだろうか。その意図がまったくわからない。

 確か、彼女は実験と言っていた。その実験とは、一体何の実験なのだろうか。

 それが、私はとても気になっていた。彼女が何を考えているのか。それを知らなければ、最早どうしようもないと思うのだ。


「まあ、このグーゼス様は本能であなたを狙っているようですから、また会うこともあるでしょう。それでは、さようなら」

「あっ……」

「くっ……」


 それだけ言って、ルミーネとグーゼス様達はその姿を消してしまった。

 私は、ゆっくりとその場に膝をつく。悔しいことだが、精神的にも肉体的にもかなり疲労していたのだ。


「ルルメアさん、大丈夫ですか?」

「ええ……それより、騎士団の様子を見に行きましょう。何かが起こっているはずです」

「いえ、とりあえず安全な所に……」

「私なら、大丈夫です。それに、どの道安全な場所なんてありません」

「それは……わかりました。あなたが、そこまで言うなら仕方ありません」


 私は、増援の騎士団のことが気になっていた。彼らがどうなっているか、それを確かめておきたいのだ。

 こうして、私はマルギアスさんを説得して、騎士団の様子を見に行くのだった。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ