表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

78/120

78.弄ばれる命

「さて……屑には屑の使い方があります。という訳で、見せてあげましょう」

「い、一体何を……」

「こうするのです」


 ルミーネは、邪悪な笑みを浮かべながら、その手を掲げた。すると、グーゼス様の内の一人がこちらに駆け出してくる。


「ルルメア! お前の命を頂くぞ!」

「……まさか!」


 私は、向かってくるグーゼス様から只ならぬ何かを感じた。

 直後に、先程のことを思い出した。彼の体は、もしかしたら爆発するのではないだろうか。


「マルギアスさん! 逃げてください!」

「……はい!」


 私とマルギアスさんは、ほぼ同時に後退した。そんな私達を、グーゼス様は追いかけて来る。

 そこで、私は彼に対して光の球体を放つ。すると、彼は少しだけ怯んだ。


「おごっ!」

「これは……」


 私が次の手を考えようとしていると、グーゼス様の体から大きな光が放たれた。

 次の瞬間、彼は轟音とともに破裂する。またも、爆発が起こったのだ。


「うぐっ……」

「うっ……」


 爆風の煽りを受けながら、私は前方の様子を確認する。グーゼス様は、複数人いた。これだけで攻撃が終わるはずがない。そう考えていたからである。


「ルルメア!」

「やっぱり……」


 爆風の中から、グーゼス様が現れた。それは、先程の彼ではないだろう。ルミーネの後ろにいた他の彼であるはずだ。

 そんな彼も、同じように爆発するだろう。ということは、距離を取るしかない。


「……ここは、私が!」

「ぬうっ!」


 私が魔法を放つ間もなく、マルギアスさんが風の魔法でグーゼス様を押し返してくれた。

 それは、ありがたいことである。これで、彼から距離が取れる。


「小賢しい奴らめ……ぬぐっ?」


 後退したグーゼス様の体は、突如光り輝いた。次の瞬間、またも爆発が起こる。


「くぅ……!」

「ううっ……」


 私達は、またも爆風の煽りを受ける。しかし、それでもしっかりと前を見据えていなければならない。また追撃が来る可能性があるのだから。

 そう思っていた私だったが、先程のような追撃は来ない。爆風が晴れて見えてきたのは、ルミーネとその後方にいるグーゼス様達だけだ。


「ふふっ……聖女様は、相変わらずしぶといんですね。ささっと沈めばいいのによぉ!」


 ルミーネは、私に対して怒っていた。だが、その表情はすぐに笑顔に戻る。あの張り付いたような笑みが、今はとても恐ろしい。

 ただ、言葉とは裏腹に彼女は攻撃を仕掛けてこなかった。よくわからないが、私達をとことん追い詰めるつもりはないようだ。

 だが、それでも警戒を解いてはならない。彼女が何をしてくるかなんて、わからないのだから、構えておく必要はあるだろう。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ