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75/120

75.燃やせないなら

「まだまだ!」

「これは……」


 私が抱いた疑問は、思っていたよりも早く解決した。なぜなら、マルギアスさんから、魔法が放たれたからだ。

 彼が放ったのは、風の魔法である。その魔法によって、グーゼス様の体を吹き飛ばしたのだ。


「ぬぐっ……僕は、どうなった?」

「……本当に厄介な性質ですね」


 元に戻ったグーゼス様は、少し混乱していた。

 そんな彼とマルギアスさんとの距離は、かなり離れている。

 どうやら、彼は魔法も使える剣士だったらしい。だからこそ、この任務に選ばれたのだろう。彼は、グーゼス様に対抗できるような人材だったのだ。

 これなら、私の出番はないかもしれない。そう思ったが、私はすぐにその考えを改める。


「……」


 マルギアスさんは、グーゼス様の攻撃が来てもいいように再び剣を構えていた。

 それは、そこから追撃することができないということだろう。

 前のことから考えて、彼は火の魔法を放てるのかもしれない。しかし、それはグーゼス様に効かなくなっている。もしかしたら、結局マルギアスさんはグーゼス様に決定打持っていないのかもしれない。


「くうっ……だが、目の前にいるのは敵だな?」

「また来ますか……」

「殺してやる!」


 一度意識が途切れたからか、グーゼス様は少し混乱しているようだ。

 だが、それでも彼はマルギアスさんの元に向かっていく。それは恐らく、獣の本能のようなものなのだろう。


「マルギアスさん、少し下がってください!」

「……わかりました!」


 そこで、私はマルギアスさんに呼びかけた。こちらの魔法の準備が、既にできていたからである。

 本来なら、このように声を出すべきではないかもしれない。だが、今のグーゼス様には私の声は聞こえていないはずだ。あの状態の彼は、周りの状態がよくわからなくなることは、前回の戦いでわかっている。

 その予想通り、グーゼス様はマルギアスさんの元に向かう足を止めない。これなら、私の魔法も当てやすいものである。


「燃やすのが駄目なら……これなら!」

「ぬうっ?」


 私は、グーゼス様の足元に氷を発生させた。それにより、彼の動きは停止する。

 だが、これだけでは終わらない。彼を倒すために、私はその氷結をどんどんと広げていく。


「な、なんだ? これは……!」

「そのまま凍ってください」

「うっ……!」


 グーゼス様の体は、凍りついた。彼の体を完全に氷の中に閉じ込めることに成功したのである。

 彼は燃やすことはできなくなった。そのため、私は逆に彼を冷やすことにしたのだ。

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