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44.早かった再会

「あ、そういえば、随分と早い再会になりましたね」

「え? ああ、確かにそれはそうですね……」


 そこで、スライグさんは話を変えてきた。これ以上、先程までの話をする意味はないと思ったのだろう。

 確かに、今の所は問題がある訳でもない。辛気臭い話よりも、もっと明るい話題で盛り上がりたい所だ。


「しばらく会えないつもりでしたが、まさか一日空けただけで再会するなんて……」

「ええ、ですが、ここに来るまではそんなことはまったく思っていませんでした。夢中でしたから……」


 考えてみれば、私達は随分と早く再会したものである。あんな劇的な別れ方をしたはずなのに、一日空けて再会するというのは、少し恥ずかしいくらいだ。

 だが、再会できたのは嬉しいことである。たった一日空けただけだが、こうやって二人の顔を見られて思ったより安心している自分がいる。

 もし二人が来てくれなかったら、私はもっと色々と悩んでいたかもしれない。本当に、二人が来てくれたことには感謝しかない。


「確かに、兄さんは夢中だったわね。何しろ、昨日ナーゼスさんから連絡を受けて、屋敷を飛び出そうとしていたくらいだもの」

「あ、セレリア……」

「え? そうなんですか?」

「ええ、流石に夜分遅くに訪ねる訳にもいかないと止めたんですけど、兄さんそれでも聞いてくれなくて……」

「余計なことは、言わなくていいのに……」


 セレリアさんの言葉に、スライグさんは少し照れていた。

 まさか、そこまで私のことを心配してくれていたなんて驚きだ。先程までも嬉しかったが、その話を聞いて私はもっと嬉しくなってくる。


「でも、兄さんは一人では道がわかりませんから、結局戻ってきたんです」

「それは……」


 続くセレリアさんの言葉に、私は思わず笑っていた。

 やはり、スライグさんは一人でここまで来るのは難しかったようだ。彼の方向音痴は、筋金入りである。


「でも、そこまで私のことを心配してくれていたんですよね? ありがとうございます、スライグさん」

「い、いえ、そんなことは……」

「兄さん、それじゃあ心配してなかったみたいに聞こえるわよ」

「え? あ、その……もちろん、心配はしていましたよ」

「ええ、わかっています」


 スライグさんは、セレリアさんにいいように扱われる所も変わっていないようだ。

 なんだか、その数々に安心する。こうやって二人と話しているだけで、私の中にある不安がどんどんと拭われていく。

 私は、すっかり元気を取り戻していた。今日も一日頑張ろう。そんなことを思いながら、私は二人と話を続けるのだった。

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