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43.手札の使い方

 私は、スライグさんとセレリアさんに事情を話していた。

 騎士であるドルギアさんが、私を聖女だと疑っていたこと、そんな彼と話したこと、包み隠さず全て話したのである。


「なるほど、なんだか大変なことになっているようですね……」

「ええ、そうみたいね……」


 私の話に、二人はかなり驚いていた。流石に、一日で色々とあり過ぎて困惑しているのだろう。

 もちろん、私もそれなりに動揺はした。だが、一晩寝たので案外すっきりして、今は結構落ち着いている。


「まあ、でも、なんとかなるとは思っています。別に私も罪人という訳ではない訳ですし……」

「そうですね……確かに、そうです。ルルメアさんは、何も悪いことはしていません」

「でも、本当に大丈夫なんですか? 王族とか貴族とか、というか国というものは、あまりそういうことは考慮してくれないと思うんですけど……」

「まあ、それはそうなんですが……」


 セレリアさんの指摘は、尤もである。罪を犯していたかどうかなんて、国は考慮しないだろう。いざとなったら、私でも普通に牢屋に入れるはずだ。


「でも、大丈夫です。私にも色々と手札はありますから」

「手札ですか? 何かアルヴェルド王国と戦えるものがあるということでしょうか?」

「ええ、例えば、ズウェール王国の機密情報とか」

「機密情報?」


 私の言葉に、スライグさんは驚いていた。それは、そうだろう。機密情報なんて、恐ろしいものだ。

 だが、実際の所、私はそういうものを知っている立場にあった。それは、紛れもない事実である。


「いざとなったら、それを交渉材料にします。アルヴァルド王国にとっても、それはそれなりに欲しいものではあるでしょうし」

「なるほど、それは確かに強い材料ですね……」

「ルルメアさん、中々強かなんですね……」


 考えた結果、私はそのような結論を出していた。

 もしいざとなったら、ズウェール王国の機密情報を交渉材料にする。それは、悪くない考えだと思っている。

 聖女として働いていた身でそれを使うのはどうかと思っていたが、流石に私の身に危険が及ぶのなら、使ってもいいだろう。


「まあ、いざとなったら、僕達も手を貸しますよ。ナルキアス商会も、それなりに力はありますから」

「それは……ありがとうございます」


 そんな私に、スライグさんは心強い言葉をかけてくれた。それは、ありがたい限りである。

 流石に国を相手取るのは難しいとは思うが、その心遣いが嬉しい。味方がいてくれるということは、とても心強いものだ。

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