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33.新しい人生(モブ視点)

 ズウェール王国では、大きな変化が起こっていた。王族が討たれたのである。

 全ての始まりは、王国の魔法関連を司る部門への無理な要求だった。王国の発展のために、王族は魔法部門に過度な要求をした。それをなんとかこなしてきた魔法部門は、ある時限界を迎えてしまったのである。

 まず魔法部門のトップであり、同時に王国の権威の象徴ともいえる聖女が去った。そこから、魔法部門に属する者達が次々とやめていったのである。

 それを阻止するべく、王族は彼らを王城内に閉じ込めた。監禁して、無理やりにでも業務にあたらせようとしたのである。


「悪しき王は討たれた。これから、この国は夜明けを迎える。新たなる時代が始まるのだ」


 その悪しき王族は、ズウェール王国のラヴェイスト公爵の先導により討たれた。

 彼は民衆や他の貴族達を導き、ズウェール王並びにその一族を討伐したのである。


「結局、利益を得たのは公爵や貴族達だったという訳ね」

「ああ、どうやら、ラヴェイスト公爵は、上手く立ち回っていたようだな……」

「ええ……始めたのは、私達だったはずなのにね」

「歴史などというものは、いくらでも歪められるということか」


 エルーシャとレイオスは、ことの成り行きを見守っていた。

 二人は、真実を知っている。ラヴェイスト公爵が民や他の貴族達を先導していた訳ではないとわかっているのだ。

 しかし、二人はそれを指摘するつもりはない。そんなことをしても無駄であることを理解しているからだ。


「さて、ズウェール王国が終わり、新たなる王国が始まる。ということは、我々の役目もそろそろ終わりか」

「ええ、そうね……」


 レイオスの言葉に、エルーシャはゆっくりと頷いた。

 二人は、ズウェール王国を最後まで見守ると決めていた。だが、その役割は今終わったのだ。

 この国が、これからどうなるかは決まった。ここが潮時であると、二人は思ったのである。


「エルーシャ、お前はこれからどうするのだ?」

「家族の元に帰ろうと思っているわ。今ならきっと、温かく迎えてもらえるはずだから……」

「そうか……」

「レイオス、あなたは?」

「俺も同じだ。新しい国で、また新たな人生を歩もうと思っている」

「そう……あなたも同じなのね」


 二人は、ゆっくりとお互いの手を握った。

 これから、エルーシャとレイオスは新しい国で新しい人生を歩んで行く。その喜びと悲しみを分かち合ってから、二人は背を向け合う。

 こうして、二人は歩き始めた。またいつか会う日に、笑い合えると信じながら。

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