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29/120

29.年齢よりも

「……あんたのことはスライグから聞いていたが、どうやらあいつが言っていたことも間違いという訳ではないみたいだな」

「え?」


 ナーゼスさんは、少し呆れたように笑っていた。なんとなく、その反応はあまりいいものではない気がする。

 一体、彼は私のことをスライグさんからどう聞いているのだろうか。というか、スライグさんは私のことをなんと言ったのだろうか。


「ああ、勘違いしているかもしれないが、別にスライグはあんたのことを悪く言っていた訳ではないぜ」

「そうなんですか?」

「不思議な人だと言っていたんだ。基本的には明るいが、少し儚さのようなものがある。それが、スライグのあんたに対する評だ」

「それは……」


 スライグさんの私に対する評価は、確かに悪いものではない。ただ、不思議な人というのは良いものとはいえないのではないだろうか。


「本当に、あんたは不思議な人だ。話していて、そう思う」

「そうですか? 自分では、そんなに不思議だとは思っていないんですけど……」

「いや、なんというのか……俺と年は変わらないのに、まるでかなり年上のような……悪い、これは失礼か?」

「ええ、まあ……」


 ナーゼスさんは、私のことを大人びていると思っているようだ。今の言い方は少し引っかかるが、彼が言いたいのはそういうことなのだろう。

 確かに、私は同年代に比べると大人びているかもしれない。若いながらもかなりの地位を得たため、人生経験という面については普通の人よりも濃いつもりだ。

 だが、そこに関してはナーゼスさんも人のことは言えないような気がする。彼も、同年代の人達に比べれば、余程大人びていると思う。


「いや、まあ要するに、俺はあんたが立派な人なんじゃないかと思っているという訳だ。人生経験を積んでいるというか……いや、これも失礼なのか」


 そんなことを思っていると、ナーゼスさんはそのように言ってきた。

 彼には、なんというか余裕がある。私とこうやって軽く話しているが、底知れなさのようなものがあるのだ。

 きっと、彼も色々と苦労しているのだろう。マンションに姉と住んでいたという話からもそれはわかる。


「おっと、そんなことを言っている内に、目的地に着いてしまったみたいだな……」

「え?」


 そこで、ナーゼスさんは足を止めた。どうやら、目的地に着いたようだ。

 私は、彼が見ている方向を見る。するとそこには、お店があった。トゥーリンの定食屋と書かれた看板が掲げられているお店があったのだ。

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