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25.新しい生活へ

 私は、セリーエさんの管理するマンションに住むことになった。

 彼女の案内で、私は部屋に向かっている。どうやら、私の部屋は二階のようだ。


「実は、丁度最近、部屋が一つ空いてね」

「そうなんですか?」

「ええ、タイミングが良かったわ。さて、ここがあなたの部屋よ」


 セリーエさんは、一つの部屋の前で立ち止まった。彼女は、ゆっくりと戸を開き、その中に入っていく。

 私とセレリアさんも、それを追い中に入る。

 マンションの中は、綺麗だった。広くはないが、設備もきちんとしているし、かなりいい物件であるように思える。


「いい部屋ですね」

「そう言ってもらえると、こちらとしてはありがたいわ。はい、これが鍵よ」

「はい、ありがとうございます」

「もしも何かあったら、すぐに言ってちょうだいね。私が力になるわ」

「……ええ、よろしくお願いします」


 笑顔を浮かべるセリーエさんに、私はゆっくりと頭を下げた。

 これから、彼女にはお世話になるだろう。しっかりと挨拶をしておく必要がある。

 ただ、気になるのは彼女が私にとても友好的であることの理由だ。先程から、彼女は私をスライグさんの彼女か何かだと思っているような気がする。

 そうではないと言っているのだが、それは受け入れられてもらえない。果たして、私はこの認識を改めてもらえるのだろうか。


「さて、ルルメアさん、それでは私はそろそろ帰りますね」

「セレリアさん……はい」


 そこで、セレリアさんがそのように言ってきた。彼女も、商人一家の娘として忙しい身だ。いつまでも、私に付き合っている訳にはいかないのである。

 彼女とも、スライグさんと同じ程の付き合いだ。そのため、別れは少し寂しい。


「ルルメアさん、これから頑張ってくださいね」

「ええ、セレリアさん、色々とありがとうございました」

「いえ、私は何もしていませんよ……お元気で」

「はい、セレリアさんも」


 私の言葉を聞き遂げた後、セレリアさんはゆっくりと私に背を向けた。彼女は、そのまま歩いていく。これで、彼女ともお別れである。


「さてと……それじゃあ、私もこれで。ゆっくりと休んでちょうだい」

「はい。セリーエさんも、色々とありがとうございました」

「気にしないで。それじゃあね」


 そう言って、セリーエさんはセレリアさんの背を追っていく。

 こうして、私は一人部屋に取り残された。それに少し寂しさを覚えつつも、私は荷物の整理を始めるのだった。

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