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21.次の職業は

「いやあ、待たせてしまって申し訳ないね。それでは、君の今後のことを話し合うとしようか」


 仕事が終わって戻ってきたサルドンさんは、私に対してそのようなことを言ってきた。色々と遠回りしたが、私は彼から仕事や住む場所を紹介してもらえるのだ。


「さて、君の能力を活かせる分野といえば、ズウェール王国と同じく聖女になるだろうか。どうだね? その方向に進む気はあるかい?」

「えっと、それは……」

「ふむ……まあ、嫌だというのもわからない訳ではない。それなら、何がいいだろうか」


 サルドンさんは、考えるような仕草をした。

 聖女として働いてきた私に、最も適しているのはそういう分野の仕事だろう。ただ、私はそれをあまり望んでいない。心情的に、そちらの方面にはあまり進みたくないのだ。

 ただ、そういわれるとサルドンさんも困るだろう。こちらから、ある程度何か言う必要があるかもしれない。


「……サルドンさん、私はもう国の中枢であるとか、そういう仕事につきたいとは思っていません。そうですね……例えば、町のお店とか、そういう仕事に何か当てはありませんか?」

「お店か……それは、もちろん、色々と心当たりはある」


 私の言葉に、サルドンさんはゆっくりと頷いてくれた。

 この町の繁栄の裏にはナルキアス商会がいると聞いている。そのため、当然町のお店にも心当たりはあるのだろう。


「そういえば、トゥーリンさんとナーゼスの店が、人手が欲しいと嘆いていたような……」

「ああ、あの店か。確かに、丁度いいかもしれないな」


 そこで、スライグさんから指摘が入った。何かしらの店に、心当たりがあったようである。

 それに対して、サルドンさんは嬉しそうに頷いていた。その様子を見ていて、セレリアさんが言っていた信頼というものを私は思い出す。


「よし、それならこの件はスライグに任せてもいいか? お前から、トゥーリンに彼女を紹介してもらえるか?」

「ああ、わかった」

「ふむ、それなら、次は住む場所か。これに関しては、セリーエが管理しているマンションを勧めよう。彼女は、信頼できる人物だ。きっと、君の力になってくれるだろう」

「は、はい……それで、よろしくお願いします」


 サルドンさんの言葉に、私はゆっくりと頷いた。よくわからないが、彼が信頼できる人の管理するマンションなら、信頼できそうだと思ったからだ。


「さて、とりあえず、今日は泊って行きなさい。セレリア、部屋の準備をするように、使用人に言っておいてくれ」

「ええ、わかったわ」


 こうして、私の今後のことがどんどんと決まっていくのだった。

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