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2.彼女がいなくなって(モブ視点)

 聖女であるルルメアが王城を去ったという事実は、その部下達の間に瞬く間に広まっていった。


「レイオス、あなた、これからどうするつもり?」

「エルーシャ……どうするって、どういうことだよ」

「決まっているじゃない」


 エルーシャとレイオスは、ルルメアの直属の部下だった。そんな二人にとって、ルルメアが消えたことは、とても重大なことである。


「私もあなたも、どうしてこんな環境に耐えられたのか……それは、あの子がいたからではないの?」

「それは……」


 二人にとって、ルルメアは支えだった。自分達よりも年下でありながら、大いなる才能を持ち、聖女の地位に就いた彼女のことを、二人は妹のように思っていたのだ。

 そんな彼女が頑張っていたからこそ、自分達も頑張れた。ルルメアがいなくなって、二人はそれを理解したのである。


「しかし、だからといって、俺達がここを離れたらどうなる? 聖女だけでなく、我々までいなくなったら……」

「どうなるかなんて、知ったことではないでしょう? この国のことを思う必要なんてあるのかしら?」

「……俺にもお前にも、家族がいるだろう?」

「ここにいることを許容しろなんて、家族であろうとも言われたくはないわ。何も知らないのにそんなことを言われるというなら、例え家族であろうとも……」


 エルーシャは、もう限界だった。これ以上ここに留まっていたくない。ルルメアがいなくなって、彼女は強くそう思うようになっていたのだ。

 心の支えがなくなったことで、エルーシャはひどく気落ちしている。それが、レイオスにはわかった。


「……」


 それを理解したレイオスは、何も言えなくなっていた。

 その気持ちが、とても理解できたからだ。彼もまた、限界だったのである。


「エルーシャよ、お前の言うことはわかった。だが、少し待って欲しい。部下達に声をかけておかないか?」

「部下達に?」

「俺達がいなくなって、不利益を被るのは部下達だ。そんな者達に何も言わずにいなくなるべきではない。ルルメアが成し遂げられなかったことを、俺達はやらなければならないはずだ」

「……確かにそうね。私達は、あの子の直属の部下。あの子の補助をするのが、私達の役割……」


 レイオスの言葉に、エルーシャはゆっくりと頷いた。彼の言っていることが、自分達が最後にやるべき仕事だと気がついたからである。


「皆、なんて言うのかしら?」

「理解してもらえるさ……ここにいて、それを理解できない者はいないはずだ」

「ルルメアのことも?」

「もちろんだ。彼女が、あの第三王子にどれだけ苦しめられてきたか……それは、皆もわかるはずだ」


 レイオスとエルーシャは、行動を始めた。こうして、ズウェール王国に、少しずつ変化が訪れるのだった。

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― 新着の感想 ―
[一言] 部下の会話で典型的な「男作者が流行りに乗りたくて書いた令嬢もの」かと思った。 貴方呼びをされた男がお前呼びで返す。女がお気持ちで行動したがり男が宥める。男の方が広い視野を持つ。 このやりとり…
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