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8.そして二人の関係は進展する?

今日は珍しく朝の七時更新ということで、ワンチャン夜の二回目更新もあり得る(多分だるいからしない)

 場所を移り屋上にて。


 とりあえずあの場はもう収拾がつかなくなったので、沙雪の手を引いてその場から脱出した。

 その際、周りの女子からの歓声と、男子からの呪怨が飛んできたのだが。そこについては気にしないことにした。

 反応したらしたほどドツボにハマるような気がしたからな。


 それにしても。


 「なんで嘘ついたんだ?」


 「そのほうが面白いと思ったから?」


 「面白いってな……」


 それでこんな事態になったらたまんねーよ。


 「良かったですね? 私みたいな美少女と付き合えて」


 「だから付き合ってないだろっ!?」


 沙雪はニヤニヤしながらこちらを見ている。


 けど俺はため息をつきたいよ……。


 沙雪はただただ俺をからかって楽しんでいるようだからタチが悪い。


 「けどなあ、いいのか?」

 

 「いいのかって、何がですか?」


 「俺と付き合ったことになってることだよ」


 他の人気者連中ならいいかも知れんが、俺は奴らと違い地味である。

 俺と付き合っているとなれば周りからいろいろ言われるだろうし、あまりいいとは言えないだろう。


 それが沙雪ともなれば尚更だ。

 絶対沙雪は学校一可愛いし、それが学校で認知されるのは当たり前。


 となれば学校全体がこの事態を歓迎しないわけで。


 「ねえ、せんぱい」


 フワッと甘い香りが広がる。


 「この噂が広がったら沙雪に迷惑が~、なんて思ってません?」


 「ああ、だって実際に付き合ってないのに」


 「いいじゃないですか、そんなこと。周りに言わせとけばいいんですよ」


 「でもなあ……」


沙雪が何を考えているか分からない。


 「それに、先輩をからかう方が優先なので」


 それはそれで……、どうなんだ?


 「お前も俺と付き合っているなんて噂、嫌だろ?」


 こんな地味で何の取り柄も無いやつ、普通嫌だろ。


 「ふふっ、先輩の考えていること分かりますよ」


 「ならーー」


 噂を否定してくれーー。


 「でも、私は先輩だから、いいんですよーー?」


 「なっーー!?」


 沙雪は微笑む。

 小悪魔のようなそれは、また俺を惑わせる。


 清楚で天使で、時に妖美で小悪魔的で。


 本当にいいのか?

 俺みたいなやつと付き合って。


 迷う。

 

 けれど答えは出ているのではないか?

 

 俺がどうあがいたって現状はもはや変わらない。

 カースト最下位の俺がどれだけ否定的な言葉を皆に投げ掛けようとも、奴らにとってはカースト最上位である沙雪の言葉が全てなのだから。


 ならば俺がする行動とは。


 もうどうにでもなれ、だ。


 流れに任せます! もう知らん!


 「はあ、でもずっと皆に嘘をつき続けるつもりか? 絶対いつかは破綻するぞ」


 「まあそうですねー。あっ、いっそこのままホントに付き合うっていうのはどうですか?」


 「却下。またからかっているだけだろ? ま、テキトーに付き合うふりして、一か月ぐらいで別れたってことにすればいいだろ」


 「え~~」


 「何か不満でも?」


 「別にその案自体は受け入れてもいいですけど、一か月で別れるのはちょっと……」


 「ん? そこは別にいいだろ」


 この前付き合ったカップルが一か月で別れたなんてよくある話だしな。


 確かに俺らは今話題のカップルで、注目度としては高いかもしれない。

 けれど、俺と沙雪という組み合わせからも分かるように、まったく釣り合っていないのは明白だ。

 

 ならば、そんなスピード破局したとしても、何ら疑問に思わないどころか、むしろ分かれて当然、沙雪が俺と付き合ったのは一時の気の迷いだと分かってくれるだろう。


 まあ、別れる間は色々とやっかみが飛ぶのだろうが、そこは受け止めるとしようではないか。


 そう俺は考えていたが。


 「だって一か月で別れると、私が軽薄な女って思われるじゃないですか」


 「あ~、それが嫌なら俺が振ってもいいぞ? 沙雪さんと付き合うのは恐れ多くて無理でしたって」


 「へ~、先輩。恐れ多くて付き合えないんだ? 可愛いね」


 「はあ、あくまで建前だよ」


 俺が振る分には何のダメージもないからな。

 あと、可愛い言うな。


 「なら、私とは全然付き合えるんだ?」


 「だーかーら、なんでそうなるっ」


 「きゃはっ」


 「きゃは、じゃねえ。とりあえずそれでいいか?」


 「嫌です」


 「はあ?」


 別に何の問題もないと思うけどな。むしろ皆納得するいい案だと思うが。


 「私が振られるのはプライドというか、ブランディング的にと言いますか……」


 「でも、そこは本当にお情けでって、皆に説明するから。な、いいだろ?」


 「やーーっ! とにかく先輩は、これから夏休みまで私と付き合って、最後にケンカして別れたってことにすること!」


 「え、それ一か月でもいいんじゃーー」


 「分かりましたか!?」


 沙雪は俺に詰め寄り、強引に了承を取ろうとしてくる。

 

 正直、何でそこまで、とも思わなくない。


 色々疑問もある。


 けれど、それら全てがどうでもいいと思うくらいに、俺は沙雪という存在が気に入ったのかもしれない。


 これからのことに対して不安はあるが。


 もう少しこいつといたいと思えるくらいには、俺が沙雪のことが好き、なのかもしれない。


 というわけで。


 「なら、それまでよろしく頼むな。沙雪」


 「はいっ、ダーリンっ!」


 「何だよ、ダーリンって」


 どこぞのバカップルか。


 「やっぱり付き合ったからには呼び方変えたいじゃないですか」


 「いいだろ先輩で。別におかしくも無いだろうし」


 「でも味気ないじゃないですかー。あっ、それとも、そういう性癖ですか?」


 「違うっ!」


 一時期姉貴という姉、そして年上の女に絶望して年下、それも女子力高めの後輩欲しいなとは思ったけれども! 

 断じてそんな性癖などないのである。


 「ならダーリンでいいですよね?」

 

 「ダーリンだけはやめてくれ。どこぞのバカップルにはなりたくない」


 確実に羞恥心で燃え尽きるからな


 「ん~、ならご主人様?」


 「俺はお前の主人じゃないっ! 俺はどこぞのリッチか」


 恋人をメイドにするってどんな変態だよ。

 少し想像したじゃねーか。変態でもねーのに。


 あと、滅茶苦茶可愛かった事だけは心の中での秘密だ。


 「も~、注文が多いですね」


 「お前が突拍子の無いこと言ってくるのが悪い」


 「え~、なら、別のご主人様で」


 「別のご主人様って何!?」


 「そこ聞いちゃうんですか? でも、恥ずかしいけど先輩なら……」


 「やっぱ言わんでいいっ!!!」


 絶対ご主人様ってあっち系の、恋人を奴隷にしちゃうエスなご主人様だよな!?

 というか残るのはそれしかねーよ!


 「絶対それは了承できねー!」


 「でも、沙雪。先輩にお仕置きされたいな……」


 「あーあーあー、きーこーえーなーいー!」


 事案発生です!


 俺は沙雪とそんな交通事故な関係になりたくない!!!


 「はあ、注文が多いですね先輩は」


 「お前のせいだろ!?」


 誰だってそんなビックリな関係に進んでなりたくないわ。

 

 なりたいのは一部の変態達のみで、決して俺は違う。


 「という訳で、先輩のことは名前で呼びます」


 「そうだな。寄り道したけど、元々それが妥当だからな」


 「じゃあ、これから数か月間宜しくお願いしますーー」


 「おうーー」


 「ーーしー君っ!」


 「ん?」


 今、なんかおかしな呼び方をされたような気がする。

 気のせいだろうか。


 固まった俺に対し、キョトンとしている沙雪。


 ああ、なるほど。俺の勘違いか。

 こんな恥ずかしい名前で沙雪も呼ぶはずないよな。


 「そうそう。そんな訳ーー」


 「どうしたの? しー君?」

 

 「ぐはぁぁぁぁぁあ!!!!!」


 現実だったのかよ!

 

 「何だよその呼び方は!?」

  

 「しー君ですか? やっぱりあだ名呼びいいですよね。ずっと憧れてたんです」


 「よくないっ! 恥ずかしいから、あだ名呼びはよそでやってくれ!」


 「えー。先輩だから意味があるんじゃないですかー。あ、私のことも、さーちゃん、って呼びます? それか雪ちゃんでもいいですよっ?」


 「呼ぶかぁーーーーー!!!!!」



 ……散々駄々をこねた結果。


 俺は沙雪に対しそのまま呼び捨て。


 沙雪は二人きりの時のみ、しー君と呼ぶことになった。



 ……穴があったら入りたい。

気づいたこと。


音楽聞きながら執筆は捗る。



最後にお願いです。


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