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6.今に恋し過去を想う。

遅くなりました~!


次回は明日か明後日更新のはず……。

 「おい」


 「紫乃先輩!」


 先ほど俺を確認するまで恐怖でいっぱいだった沙雪の顔は、俺を認識することで救世主が来た、と言わんばかりに明るくなった。

 がしかし、少し視線を下に移せば、そのか細い腕とうっかり握りたくなるような小さい手が震えているのが分かる。


 クソが。いつだってそうだ。


 あいつらは人の都合なんて考えやしねえ。考えているのは己の莫大で汚れた欲望と、それを満たす手段ばかり。


 周りはいつだって奴らの糧で、迷惑を被りつつ、息苦しそうにその場を空気のようになってやり過ごそうとするんだ。

 それが普通で、()()()()()()()()()なのだろう。


 けれど間違っている。


 何故奴らの顔色を窺わなければならない? 何故奴らに搾取されなければならない?


 必然、淘汰されるべきは当然奴らでなければならないし、もしそれが仮に、俺や俺の知る大切に降りかかったのであるとすれば、俺は絶対に排除するだろう。 


 「おい、何だお前。ああん?」


 コケッコッコーという鳴き声が聞こえてきそうなほどに滑稽で世紀末なモヒカン男がこちらに突っかかってくる。


 「何だお前って、俺は俺だ。それは置いといて、この子が怖がってる。やめてくれないか」


 「おいおい、一体お前はこの子の何なんだ? 関係ねーなら口出ししてくんなや」


 「ああん?」


 おいおい、今度はいかにも俺ドエスだから卍、なんて言ってきそうな俺様勘違いが現れたぞ。

 あとモヒカン。てめーはああん? ばっか言ってねーでコケコッコーって鶏の鳴き声しとけばいいんだよ。


 「俺はこの子の……学校の先輩だよ。それはともかくな、今はこの子に用事で付き合ってもらっているところなんだ。だから悪いが、引き下がってくれないか」


 言っておくが、これが最大限の譲歩だ。


 今、俺がお前たちへ最後の通告をした。が、もしそのラインをも超えてくるのであれば、その時は二度とこんなこと出来ねーような恐怖を植え付けてやる。


 「先輩……」


 不安そうな沙雪。


 けど、大丈夫だ。いざとなれば。


 「うるせーな。さっさとその子渡せや」


 「ああん?」


 ーーああ、こいつら。


 こいつらはダメだ。害悪だ。排除しようと俺は嗤う。


 が、その意思を邪魔するものが現れる。


 「お、おいっ、待てって!」


 その瞬間、先程ナンパしていた中で唯一突っかかってこなかった奴がアホ共二人を俺から引きはがす。


 そして男は、この世の終わりが訪れたといわんばかりに絶望し、恐怖に満ちた顔で語る。


 「こ、こいつは最強のヤンキーで有名なケンカ屋、赤鬼だ。直にやりあったわけではないが、中学三年の頃直に見たことはある。確かに名前の通りだ。たった一人であの不良集団、夜露死苦をまさに鬼の如く、一人残らず心が再起不能になるまでに血祭りに上げて、壊滅させた男なんだよ。いいか、それが分かったらここは引くぞ。お、俺はまだ死にたくねえよ」


 「そ、そうだな。くそっ」


 「ああんっ!」


 そう言って奴らナンパ三人衆は走って去って行った。


 「えっ?」


 それに沙雪はポカーンとした表情を浮かべる。


 そんな顔を見てしまったら、さっきまであまりにも煮えたぎって、それを通り越して氷点下までにも達していた感情は解け去った。むしろ笑える。


 「悪かったな、目、離して。怖かったろ」


 「ううん、怖かったけど、先輩助けに来てくれたし。それに……嬉しかった」


 「おう、そうか」


 ……え、何それ可愛い。


 普段小悪魔的に俺をからかっては笑い転げている沙雪。

 そんな沙雪がシュンとしている姿は正しく至高のギャップ!


 こんな時に非常に不謹慎ではあると思うが、普段不意を突かれた時とは違い純粋に、滅茶苦茶可愛い。


 流石の理性マックスな俺もこれには耐えきれず、段々と顔が赤くなってくるのが分かる。


 「よ、余計な邪魔が入ったが、まだ時間はあるし。気を取り直してその……、デート、するか」


 「は、はい……」


 

 幸か不幸か、この事件をきっかけに。


 俺たちの距離は気づかぬうちに次第に近づいてゆき。


 沙雪に振り回されながらも、一喜一憂し。


 中学時代、不幸しかなかった日々から一転、幸せで、かけがえのない日々を過ごしていくことになる。







 後日、紫乃が買い物に行っている間の沙雪と莉乃。


 私は、先日仲良くなった先輩のお姉さん、莉乃さんと女子会をしていた。

 先輩とのことについて相談したいこともあるし、何気に色々なものの好みが一緒なので波長も合い、ちょくちょく先輩抜きで話したりもしているのだ。


 「へ~、そんなことがあったのね」


 「はいっ、凄く怖かったけど、それよりも先輩が助けてくれたことの方が嬉しくて。更に好きになっちゃいました!」


 「ふふ、あいつも隅に置けない男ね~」


 「けど、色々と自覚はしてないんですよね~」


 「そうね~。あいつは相当な朴念仁だから、沙雪ちゃん、頑張ってね」


 「うう、頑張ります」


 これについてはあんまり自信がないんだよな~。

 先輩って普段は女心が分かってない感じだけど、ふとした時に褒めてきたり、スラっと女の子が言われて嬉しいこと言ってきて、正直その度にホレ度は増してる。


 けど無自覚なんだよ!!! なんで!?


 いや、そういう嫌みのない所も大好きなんだけど、正直顔も見れないというか……。


 「あら、また紫乃のこと考えてるの? 顔、赤いわよ」


 「うう~~~~~っ!!!!!」


 「……もう、ホントに好きなのね。いいな~、私も恋がしたい……」

 

 溜息を吐いて恋がしたいという莉乃さん。


 けれど莉乃さんって、私が今まで出会った人の中で一番綺麗だと思うし、外では出来る女子って感じなのに、彼氏とか作ろうと思えば作れそうなのに、いないのは何故だろう?


 「私もね。恋愛はしたいわよ? だけど、私って自慢じゃないけどこの容姿じゃない? だから告白されても上辺だけって感じなのよね」


 「分かります! ホント何なのって感じですよね。好きですって言われても、一度も話したことなかったりして、何で? って」


 「そーそー。結局、男って大体、相手が可愛ければいいのよ。ホント、女はアクセサリーじゃないっつの」


 その通り! 初対面で告白とか絶対あり得ない。


 「でもその点、紫乃先輩は安心ですね! ずっと前から優しくて、私が地味っ子の時にも助けてもらったし、その時も、イメチェンしてからも連絡先は聞いてこなかったですし。まあ、少しくらいは欲しい素振り見せてくれても良かったですけど」


 「そこはあいつのことだし、純粋に自分がやりたいっと思ったからしただけで、見返りとか求めてないとか、そういう感じよ、きっと」


 「あ~! それ絶対言いますよ!」


 先輩は本当にそれしか考えてなくて、だからこそ私は救われて、好きになった。


  「まあ、今の所は私に偽物の恋人って事がバレてないことになってるんでしょ? なら、それを思い切り活用して頑張らないとね」


 「は、はい。恥ずかしいですけど、先輩に好きになって貰えるよう、頑張りますっ!」


 「ほら、紫乃帰ってきたわよ。行ってきなさい」


 「はいっ!」


 先輩と話しているだけで心が躍る。

 顔を見るだけで幸せだ。


 だから出来るだけ一緒に居たい。


 「先輩っ! 今日ご飯食べて帰りますっ! メニューは何ですか~?」


 「はっ!? ……まあいいけど。今日は姉貴のリクエストでシチューな。手伝えよ?」


 そうやって、口では嫌そうだけど、笑ってオッケーしてくれて。そんな笑った顔も好き。


 「はーいっ! と、その前に先輩!」


 「ん?」


 本当に好きだよ。


 でも、先輩は鈍感だから、頑張る。


 「お帰りのギュ~~~~~!!!!!」


 「なっ~~~~~!!!!!」




 大好き。

お前らもう付き合えよ!!!!!(展開早いけど)


あと通り名が中二病(笑)



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