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5.沙雪的にはデートらしい。

※読むな危険(おい作者)

 休日がやってきた。


 今日は沙雪と一緒に姉貴へのプレゼントを買う約束をしているので、待ち合わせの場所に来ている。


 しかし、沙雪の家から待ち合わせの場所までの通過点に俺の家があるので、俺の家集合でいいんじゃないか、と言ったのだが、それは違うらしい。


 「女心がわかってないですね~」と電話で笑われてしまった。

 だが、デートでも何でもないのに、女心もクソも無いだろう。

 

 まあ一応、姉貴にプレゼントのことを悟られないよう、名目上はデートなのだが。


 ちなみに今日の俺は地味っ子スタイル。


 何気にヤンキースタイルとなると面倒事が降りかかってきやすいしな。

 それなら、学校で妬まれたり、俺に被害が出るだけの方がマシだ。


 沙雪に被害が出ないの優先で。

 俺なら最終的に力づくで何とかなる。


 さて、現在の時刻は十一時。


 待ち合わせの時刻ぴったしなのだが、沙雪はっと……、いたな。

 こっちへと歩いてきた。


 「せ~んぱいっ、待ちました?」


 「いや、今来たところだ」


 ちなみにスタイルは地味っ子で妥協してくれたが、話し方は沙雪曰く「距離があるようで嫌」と言われたのでいつもの話し方だ。敬語で話すと怒るのである。


 果たして俺はどれだけ沙雪に怒られればいいのだろうか。


 「じゃあ黒羽。今日はモールに行くぞ」


 「そうですね、あそこは色々揃ってますしね。というか先輩」


 「なーまーえっ」


 「あー……、悪かったな、沙雪」


 「ふふっ、それでいいんです」


 沙雪はにんまりとしていた。


 それはそうと、昨日の電話で呼び捨てにしろと言われた。

 理由はその方がカレカノに見えるから。


 俺は、別にあれは姉貴を騙すためであって、今後会わないからいいんじゃないかと言ったが、沙雪はどうやら姉貴と仲良くなってしまったらしい。だから、近所だし今後も家に来るのでボロが出ないようにと釘を刺されれば、俺には従う選択肢しかない。


 「今日は先輩と私の初めてのデートなので、エスコート、よろしくお願いしますね?」


 「いや、デートじゃ」


 「じゃっ、行きましょっ!」


 そして、沙雪に強引に腕を組まれた俺は、あれよあれよと引っ張られていく。

 デートという言葉を否定できずに。


 だが、その言葉を満更にもしていない自分もいた。


 その後歩いて十分後、色々と世間話をしつつ、沙雪の小悪魔的発言にドギマギさせられながら目的地のモールへと着いた。


 「よーし、着いたな。で、どうする?」


 「先輩、着いて早々方針聞くって、甲斐性なしですか」


 「ん~、そう言われても。あ、じゃあとりあえず飯なんてどうだ? 腹も減ったし」


 「まあ、いいでしょう。じゃあ、あそこの飲食ブースに行きましょっ」


 「おう」


 ところでなんだが、やたらと視線を感じるのだが気のせいだろうか。


 いや、それは否。

 沙雪は言わずもがな、万人が認める美少女である。


 それにスタイルよし、服装も相まって控えめに言って最高となれば、道行く男どもの視線が集まるのは当然ともいえよう。


 しかしそれと同時に、憎々しげな視線も多数混じるのは、ま、まさか!


 あんな冴えない男が何故、あんなかわいい子と一緒に、という妬みの……。

 ひ、ひぃ、嫉妬怖い。


 だが残念。これは姉貴のプレゼント選びに付き合ってもらっているだけなのだ。はっはっはっは(バカ丸出し)


 「先輩、どうしたんですか~? 早く頼んでくださいよ」


 「あっ、ああ。俺はこのAセットで」


 ウエイトレスが来ているのに気づかなかった。


 「それにしても先輩、流石にその黒ずくめの服装は……」


 うっ、それを言われると痛い。

 何しろ、中学では周りから怖がられ友達と遊ぶ機会はなく。

 高校では地味すぎて友達が出来ず。


 それに……。


 「闇に紛れられるからな……」


 「何言ってるんですか……。中二病ですか。それより料理、届きましたよ?」


 「あ、ああ……」


 「先輩、さっきからどうしたんです?」


 「いやー、すまん」


 「ほんと、しっかりしてくださいね。今は先輩と私のラブラブデート中なんですから」


 「ラブラブ言うな。まあでも、悪かった。お詫びにこのデザート奢るわ」


 「わあ、ありがとうございます。じゃあお礼に、はい、あーーんっ」


 沙雪のご機嫌を取った後には、で、伝説の!


 「沙雪、それは流石に……」


 「はい、あーーん?」


 うっ。何故か有無を言わせない圧力が。

 仕方ない。ここは腹をくくって……!



 「ふふっ、おいしかったですねっ」


 ああ、また何かを失ったような。

 ……それが何かは言うまい。


 だが、たかが間接キス、されど間接キスと、これだけは言っておこう。


 そして結局、沙雪の分のご飯と後から来たデザートの大半を、沙雪の手であーんされ、周囲の視線とお腹が痛くなった事だけを記述しておこう。


 「さて、どうする? 昨日、姉貴に聞いてみたか?」


 「えっ、えっと、実は聞いてなくて」


 「ええ……」


 沙雪は顔を赤くする。

 

 しかし、あれだけ話しておいて何故聞かなかったのか。

 いや、あの姉貴のことだ。色々バンバンと聞きまくり沙雪を困らせたのだろう。


 まあ、女子視点で色々口を出してもらえるだけでも十分力になるだろうし、こちらが頼んでいる立場なので何も言うまい。


 「しかし、そうだな。奴は多分、おしゃれとは程遠い存在なんだよな……」


 「先輩と同じく、ですよね」


 「ははは……」


 それに関しては何も言えないんだよなあ。


 「じゃ、じゃあとりあえず服屋に行きますか」


 「ところで、昨日姉貴とは何を話したんだ?」


 「知らないっ!!!!!」


 「えええ……」




 「……ばか」



 姉貴には結局、夏用の白いトップスと、ハンカチを買った。

 奴は汗を服の袖で拭きそうだからな。


 「よし、じゃあそろそろーー」



 「せーーんぱいっ」


 沙雪に後ろから声をかけられる。

 そして沙雪を見ると。


 服装が変わっていた。

 

 印象は、ーー清楚。


 さっきまでの小悪魔っぽい服装の真逆で、しかしそれがまたギャップを感じさせ、何か胸に来るものがあるというか。


 「正直、可愛い」


 「っ~~~~~!!!!! もうっ、先輩のバカっ」


 「俺褒めたんだけど!?」


 「女心を理解している先輩が悪いんです!」


 「この前理解しろって言った気がするんだがっ!?」


 「もう先輩のバカ、アホ、朴念仁! もうっ」


 「あ、おいっ。どこに……」


 「聞くなっ!!!」


 そして沙雪は走っていった。

 

 で、あの方向は……トイレか。


 ……なんかごめんなさい、色々と。


 

 さて、五分ほど経ったが。


 一応店は出たので、一応電話をする、が出ない。


 「どこ行ったんだ……?」


 マジで見当たらないな……。

 少し歩くか。


 それにしても、ホント沙雪って何考えてんのか分からないんだよな。

 

 普段は、俺をからかったり誘惑だろうか、というような事をしてくるんだが。

 不意に顔を赤らめてもじもじしたかと思えば、いきなり罵倒したり、正直情緒不安定なのではないかと疑ってしまう。


 まあ、そんなコロコロとした表情も可愛くていいんだがな。


 しかし、今更なんだが、あの後ろ姿どこかで……?


 そう考えているうちに、先ほど分かれた清楚風沙雪が見えた。


 「おーい、沙雪。さっきはわるかっ……」


 って、あれは。


 「ねえねえ~」

 「一緒にさあ」

 「遊ぼうぜ?」


 「やっ、やめてくださいっ」




 「ーーはあ、またか……」


 俺は上着を脱ぎ去り、その鬱陶しい前髪をかき上げ、結び、凍てついた鋭い目で、前を見たーー。 

○○するなって言われたらやっちゃうよね。




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