21.う〜み〜だ〜!!!
う〜み〜だ〜!!!
美女と行きたいよね。
「お〜い、姉貴、起きろ〜」
「う〜ん、まだ〜」
「今日は海行くんだろ?」
「はっ! そうだった!」
するとその一言だけで姉貴が起きた。
いつもはどれだけ頑張っても、俺が被害を被るまで起きないあの姉貴が、たった一言で起きるなんて、それだけ楽しみだという事だろう。
「今、京香さんが来てるから」
「ほ〜い」
昨日から夏休みに突入した。
という訳で、前から話していた海に行こう、という事で、今日は皆が集まることになっている。
他のメンバー、沙雪、鈴音、悠里はまだ来ていない。
三人は一回沙雪の家で集合して、いろいろと済ませたあと、こちらへと向かうそうだ。
姉貴が珍しくすぐ着替えてくれるので、俺はさっさと退散する。
すると、リビングでコーヒーを飲んでいる京香さんが目に入った。
「砂糖、まだ沢山入れて飲んでるの?」
「い、入れてなどいない。私は大人だからな」
別に大人でなくとも入れない人は入れないと思うのだが、何故か京香さんは大人、という部分を強調して、顔を引きつらせながらコーヒーを口に含む。
「いいと思うよ。大人でも、可愛い物好きで、子供舌で、コーヒーが飲めなくて、頑張って砂糖入れてカッコ付けてるのとか、微笑ましいと思う」
「ほら、そうやって微笑ましいとか言われるのが嫌なのだ。私はもっと、皆から憧れられる存在になりたいから頑張ってコーヒーを飲んでいるというのに」
「ほーら、やっぱりまだ飲んでる」
「はっ」
別に、京香さんが本当はコーヒー嫌いで、甘い飲み物が好きだったとしても、生徒にとってはそれがギャップだと思うんだけど。
それに、京香さんの普段の行いを見てれば、本当に生徒思いで、そんなこと気にならないくらいに憧れる人は多いと思う。
「うちだけでも、好きなもの飲んだらいいのに」
「い、いや、そんな甘えては、余計コーヒーが嫌いに……」
「はあ……」
ダメだこりゃ。
こういうのを自覚するのは、まだまだ先になりそうだな。
ま、本人が一番好きな物を好きといえて、それを楽しめるような環境になるのが一番いいとは思っているから、何かの変化を期待したいところだ。
「それにしても、良かったの? 貴重な休日だったろうに、こんな日まで生徒と」
「まあ、確かに休みは貴重だな。けど、今日はお前らは生徒じゃない。勿論、何かあったときは先生として助けるが、基本的に、今日はそんな事は考えていないよ。むしろ、私も楽しみだった」
どうやら、先生は今日の海を嫌々ではなく、本当に楽しみにしてくれているようだ。
そして数分後。インターホンがなった。
これは、沙雪達のはず。
ドアを開けた。
「おはよっ!」
「おはようございます〜」
「来てやったぞ、八原」
「おう、おはよう。あと悠里な、呼び捨てはこの際どうでもいいけど、来てやったぞって。腰に浮き輪つけている時点で一番楽しみにしてるじゃねーか」
そう。まだ海にも着いておらず、歩いてきた様子の三人。
その中で一人だけ浮き輪を謎につけた悠里は、さぞ通行人から不思議がられた事だろう。
「む、これを武装するのは当たり前」
「はいはい、じゃあ皆取り敢えず入ってな〜」
「なっ、人の話を」
「おじゃまします!」
「おじゃまします〜」
悠里の会話を妨げるように俺は皆を家へと誘導し、先に沙雪と鈴音、そして最後に、ムムムと唸った悠里が浮き輪をつけたままリビングへと進む。
「わっ、入れない。八原、窓外して」
「浮き輪を外しなさい」
「……分かった。取ったら」
「取らねーから! ほら、さっさと!」
そうしてやっと悠里は、嫌々と浮き輪を外してリビングへと入る。浮き輪は玄関に置いたまま。
っていうか、どれだけ海楽しみなんだよ……。
まあ、そこは俺も同じなんだがな。
こんな人数での海は初めてとあって、やはりこの夏は、今までで一番になるだろうと、そう確信出来るほどに、今の俺は充実しているからな。
三人がリビングに入ると、京香さんに挨拶してそのまま談笑。しばらくすると、用意を済ませた姉貴が登場する。
「お、皆集合してるわね。そっちの二人が沙雪ちゃんの親友の、鈴音ちゃんと悠里ちゃん?」
「はい、春野鈴音です。今日はよろしくお願いします〜」
「のほほんとしてるけど、ちゃんとしっかりしていていい子そうだし、何より滅茶苦茶可愛いわね! よろしく鈴音ちゃん!」
まずは鈴音の挨拶が終わり、次は悠里だ。
「鬼道悠里。同じく沙雪の親友。よろしく」
「よろしくね。悠里ちゃんは不思議ちゃんっぽいけど、やっぱり可愛い! ……というか、んー」
悠里を見て、姉貴はムムムと唸る。
何か引っかかる事でもあったのか?
「どうした? 姉貴」
「いや〜、悠里ちゃん。貴方、鬼道ネロの妹でしょ」
「むっ、残念ながら奴は私の姉。非常に不本意」
やっぱりか、ここの所疑問に思っていた点が解消出来た。
多分そうだとは思っていたんだが、間違えていた時があれだから聞かなかったんだよな〜。
「やっぱり〜。名字も一緒だし、何より顔とかがどことなく似ているのよね」
「え、そうか? 確かに名字とか性格で怪しいとは思ったけど、顔はどうだろ」
「ほら〜、こことか、こことか、音呂そっくりじゃない」
「ん? そうか? うーむ、確かに」
姉貴に指摘された部分を確かめるため、悠里の顔を観察する。
「おい八原、近いぞ」
「お、おう。悪い」
音呂と姉妹ということが分かり、少しビックリしていて、違いを確かめていたら自然と悠里の顔を近くで見すぎていた。
まあ確かに音呂と似ているのは分かった。
しかし、若干悠里の顔が赤いような気もするが、気のせいだろう。
そんなに海が楽しみなのかな、と思うくらいだ。
「よし、それじゃあ皆集まった事だし、行きますか」
姉貴が皆に声を掛ける。
「そうだな。では、車に乗るメンバーはどうする?」
「四人乗りだし、やっぱ公平にしましょうか」
という事は、一つの車に三人ずつか。
「あっ、私須藤先生に憧れているので道中話をしてみていです〜」
すると、鈴音が真っ先に京香さんの車に乗りたいと希望してきた。
「私も、大人の魅力。知りたい」
続いて悠里も京香さんの車に乗りたいらしい。
「お、おお。そうか。私で参考になるかは分からんが、それなら歓迎するぞ」
ははっ、さては京香さん、大人の魅力とかなんのこと〜? なんて心の中であたふたしているな。
確かに、先生の本質は、可愛い物とか甘いもの好きで、普段はしっかりしているようだけど、たまにドジっ子な可愛い女性だものな。
勿論恋愛経験なんてなくて、今から道中不安なんだろう。
ま、俺は面白そうだし、京香さんが変わるきっかけにもなれたらで、全然助ける気はないけどな。
「じゃあ、沙雪。俺らは姉貴の車でいいか?」
「いいよ〜」
という訳でメンツ分けは、京香車が、京香さん、鈴音、悠里。
姉貴車が、姉貴、沙雪、俺という別れ方だな。
まあ各人、車のメンツでは全員知り合いなので問題ないだろう。
「さて、行くかー」
俺は皆に声を掛けたり
「は〜いっ!」
「楽しみですね〜」
「ふっ、海が私を待っている……」
「莉乃、安全運転でな」
「はいはい、京香こそ気を付けてね」
こうして、俺達六人は海へと向かっていった。
残念!
明日が水着回でしたぁぁぁぁぁぁあ!!!
今回、これを読んで作者の事がウザいと思った方、大丈夫。
明日はちゃんとサービスしますから。
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