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ギルド嬢をやめさせられたので、個人商店で頂点を目指します  作者: るるっくす
別れ、そして出会い
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キュール鳥”改”

 「おお、ありがとうございます!」


そういうとクリセルはカバンからおもむろに何かを取り出した。


 「こちらを差し上げます、どうぞ孤児院での生活に役立ててください!」


 「これは…キュール鳥ですか? 何か違うような気もするのですが。」


前にクリセルが使用したキュール鳥よりも一回り大きい。


また、前のものにはなかった角も生えている。


 「これは、私の商会で研究開発をしているキュール鳥です。 キュール鳥”改”とでも呼んでおきましょうか。」


ネーミングセンスが微妙ではあるが、それはおいておこう。


 「今までのキュール鳥は使い捨てであったことが非常にネックでした。キュール鳥自体も高価なもので一般市民はおろか貴族ですら手が届かなかった。人件費の方が安いですからね。」


金銭感覚はしっかりあるようで安心した。


そうなのだとしたら護衛にキュール鳥を使用したのが嫌味にも感じてくるが、それもまあおいておこう。


 「しかしながら、このキュール鳥”改”は、なんと充電式で、動かなくなったら魔力を注入すれば再び動き出すようになるんです!」


クリセルの喋り口調がだんだんと激しくなる。


目も血走ってきたので、少し怖いが適当に相槌を打つ。


 「・・・・なんですっ! このように、我が商会はなんと、キュール鳥”改”の開発に」


スコーンと、またもや小気味よい音が響く。



 「うるさいっすよ、クリセル様。」


今回はかなり抑えめにたたいたようだが、イラつき度合いはかなりのものである。


 「え? あれ、なんでここにいるの?」


クリセルは気が付かなかったようだが、先ほどから馬車は止まっていた。


 「ったく、いい加減直してくださいその癖! 商品の説明になると我を失っちゃうんだから…」


どうやら、先ほどまでのクリセルの怒涛の説明は、クリセルの癖だったらしい。


さすが商人とでもいうべきか。


そして、それはお供のヘンリーにとっては、頭を悩ませる問題でもあった。


 「アリエさん、でしたっけ? まあとりあえずそれを受け取ってやってください。この人の自信作みたいなんで…」


 「ちょっとヘンリー、まだ説明が全然終わってないんですけど!」


 「「もう十分です!!」」


アリエとヘンリーの声が重なった。


 「そ、そうですか。では最後に一つだけ、とっても便利な機能があるのでそれだけ説明させてください。」


先ほどまであんなにしゃべってたのに、そこにはその説明は入らなかったのか…


 「従来のキュール鳥は、特定の人にマークをすることが限界でした。人によって違う魔力の波動をキュール鳥がとらえると言ったほうが正しいでしょうか。」


魔力は、おおよそほとんどの人が持っているが、生来の魔力の量、そして魔力の性質は全く違う。


魔力の波動とは、その人の発する魔力のオーラのことで、これも十人十色である。


そして、その波動の違いをキュール鳥はかぎ分けるのだ。


 「しかし、我が商会では、困難と言われていた特定の場所を記憶させることに成功したのです! これによって、キュール鳥は記憶された場所を自由に行き来することができるようになったのです!」


今までのキュール鳥が覚えることができていたのは、人から発せられる魔力の波動のみであった。


それもそうであろう、通常魔力の波動が発せられるのは人のみであるからだ。


魔物は魔力のかたまりであり、個々の魔物によって発せられる魔力にほとんど差はない。



そして、場所については、キュール鳥に記憶させるのは不可能であるとされてきた。


その場所から魔力の波動が出ることはほとんどないからだ。


 「このキュール鳥”改”には、すでに私の商会の本部を記憶させています。もし何かあれば、私の商会に連絡をすることができるのです、画期的でしょう?」


 「その機能は、まだいろいろな場所にも使用できるのですか?」


 「もちろんです!最大で10か所ほど記憶させられます!」


確かに便利だ。


これを使えば、離れていても連絡を取り合うことができる。


冒険者にはぴったりのグッズであろう。


 「もちろん、どう使っていただいてもかまいません。といいますか、試作品なので出来ればいろいろな用途に使ってほしいですね。」


報酬に試作品をあてがうところが、少しせこい。 


しかし、有用なことは疑いの余地がない。


 「ではありがたく、ちなみにどのようにして場所を覚えさせるのですか?」


 「それはこうですね、両足を思いっきり左右に引っ張ると目が光るので、あとは勝手にやってくれます。」


なかなか残酷な方法である。


もっといい方法はなかったのか、アリエは心の中でそう突っ込む。


 







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