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ギルド嬢をやめさせられたので、個人商店で頂点を目指します  作者: るるっくす
別れ、そして出会い
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これからのこと、そして・・・

『さてと・・・目標ができたのはいいけど、まずはこの町を出なきゃね・・・。』


自分のやりたいことが見つかったアリエは、今日やらなければならないことを頭の中で整理していく。


ギルド嬢時代に彼女が最も得意としていたことだ。


毎日ひっきりなしに入ってくる仕事を効率的に行うため、一日の始まりに頭でその日やらなければならないことを整理するのが日課となっていた。


それを26年続けた結果、今ではものの数秒でできるようになった。


そして、そんなアリエが最優先事項としたことが


      「ダーケルスを出る」


ということだった。


理由はいくつかある。1つ目は、ダーケルスの商店の面々とは見知った仲であるからだ。


それも悪い意味で。


冒険者ギルドでは冒険に必要なものを販売しており、町の商店と競合していた。


そしてギルドは国が運営する機関なので利益をだす必要がなく、商店よりも安い価格で販売していることが多く、そのことで商人たちからよくクレームが届いた。


そのクレームを突っぱねていたのが当時ギルド嬢だったアリエで、あまりにしつこいときには衛兵を呼んで捕まえてもらったこともあった。


そんなアリエが突然自分の店の隣で商売を始めても、じゃまをされるのは目に見えている。


 2つ目は、身分証がなくなってしまうことだ。


先ほど、ギルドをやめさせられたアリエだが、幸運にもギルド証は取り上げられなかった。


ギルド証とはギルドで働いているものに発行される身分証明書であり、これがあれば町に設けられている関所を通ることができる。


身分証はほかにも冒険者ギルドが発行する冒険証、商人ギルドが発行する商人証など種類があるが、商人証は発行するのに高額な費用がかかってしまうため手に入れるのは難しい。


冒険証はさきほど冒険者ギルドをやめさせられたばかりなので入りづらい。


よってギルド証を使うしかない。


しかし、そんなギルド証もいずれは登録が抹消されてしまうだろう。


冒険者ギルド間での連絡は月に一回馬で行われるため、そこまで時間に余裕がないわけではないが、早いに越したことはない。


 3つ目はエマに会いたくないからだ。


いずれは仲直りしたいと思っているが、少なくとも今は、会うと気まずい。


よって、この町から出ることにしたアリエだったが、その前にいくつかやることがある。


 『まずは、どの町に行きか決めなきゃ・・・。できるだけ大きな町にしたいからベンダンかグリンドがいいかしらねぇ・・・。』


この国、リンガルド王国には、ダーケルスのほかにも大きな都市が2つある。


それが、ベンダンとグリンドである。


どちらも、ダーケルスから歩いて1週間ほどの場所にあるため、距離はさほど変わらない。


 『でもベンダンはビクター帝国に近いからちょっと危ないかも・・・。グリンドにしようかな。』


ビクター帝国は長い間魔族と戦争を繰り広げており、国内は荒廃している。


そのため治安が悪く、アリエも行こうとは全く思わない。


その戦争も魔族が攻めてきたわけではなく、ビクター帝国が領土拡張のために一方的に攻め入ったからであり、まったくもって同情の余地はない。


噂では勇者を筆頭に10万人もの兵を戦場に送り込んでいるらしいが・・・アリエには全く興味がない。


むしろ、そんな兵がいれば各地いる魔物を討伐してほしいとも思っている。


魔族と魔物は全く違う。


一番の違いは、言葉を理解するかどうかだ。


魔族は気性は荒いものはいるものの人間の言葉は通じるため、交渉することができる。


アリエは実際に魔族にあったことがないためなんともいえないが、少なくともモンスターよりはましだと思っている。


行き先が決まったアリエは、次に旅のための買い物をすることにした。


 『今の所持金が150万リンぐらいだから・・・買い物はだいたい10万リンぐらいに抑えたいわね・・・。』


リンとは、リンガルド王国の通貨の単位である。


これは初代国王のリンガルド・グランの名前が用いられている。


1万リンが金貨、100リンが銀貨、1リンが銅貨を用いる。


ちなみに、2代目以降の王の何も必ずリンが含まれているらしい。


それほどまでに偉大な王だったというわけだ。


庶民の生活は、4人家族だと1か月で3万リンあれば十分に生活できるため、150万リンはかなりの大金だが、店を開くのには程遠い。


ましてそれまでの生活費用もあるため店を持つのはだいぶ先になるのだが・・・まずは旅の道具である。


食料と水筒はもちろんのこと、衣類や寝具など必要なものはたくさんある。


それらを買おうと大通りに向かって歩いていると、なにやら人だかりができているのに気が付いた。


 『何かあったみたいね・・・ちょっと行ってみようかしら。』


アリエが人だかりのできているところに行ってみると、そこには衝撃の光景が広がっていた。

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