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廃人ゲーマーとラスボス後の世界  作者: tera
第二章 - 廃人と聖職者
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8 - 順風満帆。

■階層墓地/第五階層/助祭:ユウ=フォーワード


 第一階層では、奇妙な輩に絡まれた……というか、絡んでしまったのだが、そこから先は順調だった。

 マリアナと二人で、慎重に索敵を行いながらモンスターを討伐し、気づけば第五階層まで潜り込んできていた。


「初チャレンジにしては……だな」


「はい。レベルも随分と上がりました」


 お互いの職業レベルはついに20中盤と30手前。

 サブ職業に戦士を持っている分、俺のレベルアップのスピードは分散されているので遅い。

 まあ、スタートも遅かったんだが。

 ステータスを確認してみよう。




ユウ・フォーワード

メイン職業:助祭 Lv16(合計値25)

その他職業:戦士 Lv8

アビリティ:ステージ1(拒絶の左手と抱擁の右手)

HP:500

MP:900


STR;340

VIT:340

DEX:10

AGI:10

MND:580




 農士だった時とは比べ物にならないほどの上昇率。

 MPが900まで上がったことによって、アビリティの効果時間が莫大に上昇だ。

 900秒だぞ、900秒。


 助祭はSTRとVITがそれぞれ10。

 そしてMNDが30ずつ上昇する。

 MPは50ずつだな。

 これが魔法職であれば初期は100上がるらしい。


 戦士はHPが100、STR20、VIT20。

 サブにおいているためこれが半減。

 だが、助祭と上昇するステータスが重複しているため、ステータス的には普通の戦士と変わらない。

 HPが少し少なく、MPが多い戦士、って感じだな。


 これはいい組み合わせになったと思う。


「マリアナ、新しいスキルとかは覚えたか?」


「狩人スキルはどっちかというとパッシブ効果の上昇率が大きいようですね」


「なるほど」


「視野を拡大するものや、3次元的な形で捉えるものという形になります。弓術のスキルは……ええと、《パワーショット》くらいですね」


 あとあと知ったのだが、弓術専門系の職業が存在するらしく。

 狩人はあくまで弓やナイフを扱って森やダンジョンなどをフィールドワークするための職業らしい。

 だから、弓系の攻撃スキルよりも索敵スキルだったり職業効果の方が大きいのだ。


 あと、この世界では職業効果というが、俺はパッシブスキルって呼んでる。

 だってそっちの方が言いやすいし覚えやすいって後で気づいた。


「索敵能力が上昇する方が、この状況だったらいいよ」


「そうですね。スキルによる強い弓を放ったとしても、連続して同じ箇所に命中させた方が威力は上ですし」


「だな」


 反則じみて強いマリアナである。

 マリアナさん、と呼ばなくてはならないかもしれない。


 さて、下位職業のレベル上限は50なので、できればそこまでこのダンジョンに潜っておきたい。

 だが、ここはゲームのような世界だが、現実だ。


 そこを留意すると。

 第五階層より下に行くよりも、一度引き返して物資を整えた方がいいと判断した。


「教会の人の意見に従って、この階層より下にはいかないようにする」


「それがいいと思いますマスター」


「とりあえず今後の目標は毎日ゾンビ狩りして、上位職業までのレベル上げ。そして並行して俺たちは教会でアルバイトをする」


「アル、バイ、ト……ですか?」


「うん。エリックが融通してくれたんだ」


 家賃はかからないし、飯も食堂で出てくる。

 だがしかし、負んぶに抱っこされる状況はためらわれた。

 装備を整えるお金は自分持ちだからな。


 つーか何より。

 アパートを作ったウィンストンに借りを作るのがどうしても嫌だった。

 あいつのことだから、ヒモとかニートとか馬鹿にしてくるに決まってる。


 せっかく健全な体と新しい人生を手に入れたようなもんだから、この世界では真面目に生きるのさ。

 さらに、このダンジョンの浅い場所ではお宝なんて、ないようなもんだから上でしっかり働くしかない。


「マスター……断固たる思いを込めて言いますが、私が養います!」


「ダメに決まってんだろ! なんだよ断固って、何に決意固めてんだ」


「マスターはだらけた生活を送ってていいのです! っていうか私が養うのでマスターはベッドの上で仕事から帰ってきた私を労う役目を請け負ってください! それだったら等価交換!」


「専業主夫は憧れてたけど遠陵するわ、お前何要求するかわかんねえし」


「肉欲ですけど?」


「はっきり言ってんじゃねーよ!!」


 マリアナも俺の下のシスター見習い役的な感じで、教会の手伝いだ。

 別に他のところでできることをしても良かったのだが、美人なので色々と周りの視線が嫌だった。

 これは、もしかしなくても独占欲だな。

 でも当たり前だ。

 マリアナは、俺のもの。

 前タイトル時代から、決まっていることなのだ。


「おっと、出たぞゴースト」


「もう片手間で除霊してますね」


「まあ俺はある意味特化してんじゃねえかってくらい相性がいいアビリティ持ちだからだろうな」


 ゴーストへの攻撃力は基本的に物理無効。

 魔法とか、光属性系のスキルを使わないと倒せない。

 ……のだが、MND値をある程度伸ばしていたり、そういう職業地についていると、普通にダメージが通る。


 物理で殴っているというか、いや武器に何かが乗っかっているという形になるんだろうな。

 精神的な何かだ。


 まあなんにせよ、第五階層のゴーストやゾンビどもはもう敵ではない。

 左手で壁を生み出して押しつぶしてメイスでゴシャゴシャに殴って決着が着くし、ゾンビはマリアナが両足もいでなけなしの機動力をさらに奪ってから、俺が頭をメイスで潰していけばすぐ終わる。


 索敵能力、優れた防御。

 出現する敵への相性。

 どれを取っても不遜の事態に陥ることはないだろう。

 まだ……この浅い階層ではな。


「よし、詳しくマッピングとか重ねながら上に戻ろう」


「はい……でも、私たちでマッピングする必要はあるんですか? ここへくる途中すでに第十階層までのマップを売っている人がいましたよね?」


「いや、信じられないよ。人が作ったものなんか。マリアナなら、かなり高精度なマップを作れるだろう? 上の階層であった冒険者みたいに、変な奴もいるんだから、基本的に自分らで全て準備するのが一番だよ」


「そうですね」


「それに、正確さは随一だってことで教会指定にしてうっぱらえたら小金になると思わないか?」


「すでに誰かやってそうですが……」


「やってたらやってたで、それでいいよ。あくまで自分らのために作ってるんだから無駄にはならない」


 そんなことを話し、時折出現するモンスターを倒しながら。

 俺とマリアナは第六階層への階段を発見し、地図に記して引き返す。

 これで次来るときはスムーズにこれるな。


 そう、思っていると。

 階段の下からドタバタした音が聞こえ始めた。


「退却だッ! 退けーッ!!」


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