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廃人ゲーマーとラスボス後の世界  作者: tera
第一章 - 旧友との再会
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9 - デスペナルティについて

■国境沿い/アルヴェイの森/無職:ユウ=フォーワード


「ちなみにここが現実だってんなら、助けが間に合わずに死んでいた場合はどうなってたんだ?」


 改めて、ここがゲーム世界のような中世ヨーロッパ風の異世界であると認識した上で尋ねる。


「デスペナルティは三日の空白期間を経て、設定したセーブポイントに戻されることになるよ」


「そうなのか」


 なぜ三日なのかはわからないが、とりあえず三日経てばプレイヤーは復活するらしい。

 ならその三日間は何をやっているのかという話になるのだが、どのプレイヤーも覚えていないことから、デスペナルティは空白の三日間と呼ばれているらしい。


「でも」


 と、そう前置きしてオルフェはセリフを続ける。


「もしセーブポイントを設定していない、もしくは亡くなった時は気をつけたほうがいい」


「どういうことでしょう?」


 俺の隣に座るマリアナも真剣になる。

 さっきまでの俺たちはオルフェが言う“セーブポイントを設定していない”状況だったからだ。

 それに、絶体絶命の窮地ってくらい、ボロボロに死にかけていたのだし。


「その時は、強制的に【死地】へと送られてしまう」


「…………それは実際に死ぬってこと?」


 恐る恐る尋ねてみると、オルフェは首を振る。


「いや、基本的にプレイヤーは死なない。でも【死地】に飛ばされたら職業とアイテムを全て失って、七日間の拘束期間を経てこの世界の街のどこかにランダムで飛ばされることになるんだ。私たちはそれを転生と呼んでいるよ」


「なるほど……」


 気をつけないといけないな。

 その【死地】とやらに飛ばされたら職業とアイテムを失うってことは、もしユニークアイテムとかユニーク職業がこの世界にも存在するとしていたら、それを奪う方法になりうると思った。


「あと……まあ君はあまりありえないと思うけど、一応言っておくね?」


「うん?」


「もし犯罪を犯し、刑期をつけられたまま【死地】に送られると、七日どころか死ぬ前に受けた刑期の十倍くらいの長さで、その【死地】の中に存在する監獄に拘束されることになるからね」


「それは刑期をつけられた状態だったらセーブポイントがあっても問答無用なのでしょうか?」


 マリアナの質問にオルフェは首を横に振る。


「いや、基本的にセーブポイントを失っている時の話だよ」


「なるほど、了解しました」


「下手すら一生、転生も何もできない状況で監獄に拘束され続けることになるってこともあり得るから気をつけてね」


「ちなみにオルフェ、普通の刑務所とかはあるの?」


「あるけど、プレイヤーは死なないから意味ないね。この世界の住人用の刑務所だと、セーブポイントが残っていたら死んで逃げられる。だから、セープポイントを失った先の【死地】に監獄が存在するらしいよ」


「その情報はありがたいな」


「ハハハ、私としても君みたいな“良い男”が、凡ミスで監獄行きになっちゃうことは嫌だからね!」


「ってか、なんでそんなことを知ってるんだ?」


「まあ、試した人がいるって言うのが一つ正しいかな? 狂ってるとは思うけど、勇気ある先人たちがなんとか情報をかき集めて培って来たり、あとはなぜか王族とかの所有する古い書物にそう言う記載が残っていたりとか、そんな感じだね」


「ゲームみたいだな……」


「予々それであっているとは思うよ。現実の世界に、職業補正とかスキルとか、モンスターとか、ファンタジーゲームの中世ヨーロッパ風の世界観がぶち込まれた……そんな世界なんだよ。ここは」


 プレイヤーは特殊な状況に身をおけど。

 それでも生きているという、立ち位置のようだ。


 だがなんだろう、仏教で言えば輪廻から外れた存在。

 キリスト教的には死なない呪われた魔女みたいな、そんな印象を感じた。


「とりあえず、この近くに村があるから一時的にセーブポイントを仮登録を申請しておくといいよ」


「仮登録?」


「無所属プレイヤーは加護の像に24時間限定のセーブポイント申請ができるんだよ。ああ、先に説明するけどまず本所属の国家を決めーー」


 その時、


「ーーっ!」


 オルフェの表情が急に変わった。

 何かに気が付いたように立ち上がって、遠くを見つめている。

 視線の先はレッドオーガの古墳がある方向。

 それはすなわち帝国領だな。


「?」


 俺も、そして話を黙って聞いていたマリアナも疑問を浮かべた表情を作る。

 そんな中、オルフェは遠くを見つめながら言った。


「ごめん、ちょっとこれから行かなきゃいけないところがあるんだ」


「え?」


 戸惑っていると、オルフェは刃のついた歪な杖を振った。

 すると、ゴゴゴと音がして地面がやや隆起して一つの線を描いていた。


「これにそって進めばすぐに村につくはずだよ。モンスターは私の魔力にビビって寄ってこないと思うけど、できるだけ迅速に移動してもらえると嬉しい」


「花嫁師匠、どちらへ行かれるか聞いてもいいですか?」


「ハハハ、それも秘密だよ。秘密。まあ恋愛師匠に言っておくとすれば、ちょっと色恋沙汰で失敗したからその清算をつけにってところだから、気にしないでね」


「そうなんですか、何かあればぜひ話してください。いつでも相談に乗りますから」


「……いい師匠を持てて嬉しいよ。じゃあまたね」


 そう微笑むと、オルフェは俺たちが向かう反対方向へと歩いて行く。

 いったい何をするのだろうか、なんとなく怖くて聞けなかった。


 色恋沙汰で失敗、その清算。

 そして帝国領への辛辣な言葉。

 うーん、なんとなく血なまぐさい匂いがするぞ。

 これは触らぬ神に祟りなしだろう。


「そうだ、絶対こっちにこないでくれるかな! 安全を保証できないから!」


 ……確実に血なまぐさいやつだこれ。




 それから俺たちは彼女が作った道案内に従って村に向かった。

 途中で地鳴りがしたり、地震が起こったり。

 そして遠くにもう三つほどの山ができていたりしたが、なにもしらない。


 知らないったら知らないのだ。

 あ、村に着いた。










次から村編。

話の展開であれだなって思ったらどっかで改稿、もしくは話の差し替えも検討ちう。

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