20 実践
風恋ちはりの警備三日目、突如、天井の外壁が崩され、強引に研究所に入られてしまった。
素早く同僚の1人と駆けつけるとガトリングガンがキュイーンと放たれる。
そうしていながらも、そのロボットは目的のものを探そうとしていた。
こちらも、投擲の手投げ弾で応戦し、ビル全体がガクガクとふるえる。
「風恋、こいうときの判断は思いっきりがいいなぁ、上出来だ」
そうして、部屋に勢いよく突入すると、緑色ロボットはデカいカエルともなんともいえない横長で、手が何本もある。
もう一丁の反対側にあったガトリングガンが見え隠れするも、こちらに向けていたさっきのは今の爆発で吹き飛んだようだ。
それでも、複数のアームの何本にレーザーブレードが握られており、とっさに出てきた私は、その対応に迫られる。
1本2本と続く連撃を、電磁特殊警棒で受けつつも体の位置を変え、威力を逃し、移動をし、なんとか耐えしのぐも、手数の多いロボットのほうが有利だ。
パワードスーツのおかげで少量の体力でうごけていたが、急激に体力がなくなっているのを感じる。
その合間に、三頼は横からロボットを1弾1弾の重い銃をパパンパンパンと命中させるも、ロボットはびくともしない。
石畳レンと平丘香奈はすぐに駆けつけられる位置にいない。とはいえ、ここで二人で止めるしかない。
私は必死になり、サポートのロボットを操作しつつ、銃で動きながら応戦した。
サポートのロボットが向かうのは、ロボットが狙ったであろう場所の装置の方角だ。
サポートロボットに気を取られたのか、銃での反撃、火力が少しまばらになる。
死を覚悟しているような余裕はなかった、死が間近に迫ってきていた。
緑のロボットが反対側に持っていた、さらなるガトリングガンがガションと天にかかげられたその瞬間だった。
赤い電光の一線がそれをつらぬいた。空から華麗に舞ったその赤い閃光は、慣性によって距離を離れながらにして銃撃をロボットにあびせ、壁や棚を足場に飛び移りながらの接近しつつ電磁ランスの投擲は関節を見事に貫き、そのまま接近すればからみつくように電磁ブレードの連撃を嵐のごとく発生させた。
抵抗しようとした緑のロボットはなすすべなく、ガトリングガンはバグったようにでたらめに乱射し、全ての動きは1秒、2秒と遅れたように赤い閃光に先を越されて、瓦解していく。
最後に、緑色のロボットのコアがばっさり破壊され、緑のロボットは停止した。
たちまち、現れた赤い電磁ブレードのロボット?は、施設の何かを1つ、そして緑色のロボットのパーツをもぎ取って帰っていった。
当着した同僚が来たときにはすべてが終わっていた。
私は、その電磁ブレードのロボットに既視感があった。距離に応じた武器の即時切替と流れるような怒涛の攻撃、それは知っている動きだったのだ。
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塔道地竜は、三頼鉄夏から報告を受けていた、襲撃の内容、また明らかにロボットだったことなど。
そして、今回襲撃で、第三者が奪っていった装置はもう2つ残っていた、これを彼の提案で、それも含めて奪われてしまったとしてはどうかという話になった。
「なるほど、敵が欲しがったということは、調べる価値はありますね……いいでしょう。装置は3つとも、奪われた、いいですね」
三頼をさがらせると、塔道は無表情に目を閉じる。
動きがあったのである、そして、成果もあった。むろん完全な勝利ではないが、敵のパーツも残っている、なかなかの結果ではないか。
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とある廃病院に、めずらしくズドンと物音を立てながら、ロニは入ってきた。
ロニの装備はガタガタで、半壊しているパーツもある。
「ロニちゃ~ん、変えのパーツはあるけど、コア、大丈夫かい?」
「生きてます」
荷物を一緒に中に運びつつ、
「それにしても、珍しく怪我をしたねぇ、どうしたんだい?」
「ちはりがいたの……」
「彼女と戦ったの?」
「ちはりが先にデカイロボットとやりあってて、危なかった」
「なるほど、そしてこれが戦利品か。
とりあえず、一般パーツに着替えてきたら」
「うん」
ロニは思ったのだ、ちはりが、死んでしまったらどうしようと。
確かに圧倒はした、だが、ちはり達に銃弾がいかないよう、かなりの弾ををロニは引き受けたのだ。
「さて、俺がしっかり解析しないとな」




