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メモリーリーク ~記憶の封印と仮想世界~  作者: 物ノ草 八幻
第一章
41/71

41 壊れたリソース

近い将来 社会の維持に 人間の存続に

人間が必要なくなる日が来るだろう


機械が教えてくれる感覚を 幸せを


私達はただ 享受し 人生をまっとうすることができるなら


もう 人は 何も 考えるひつようはない


考えてもよいし 考えなくてもよい

考えたところで 機械にはかなわない


幸せに 一生をすごすことが最良なら

働くひつようも 開拓するひつようもない


学ぶひつようもなく 教えるひつようもなく 伝えるひつようもない


好きに生きて 幸せになるためには

好きを小さくすればいい


大きくすると 失敗もする 後悔もする そして不安になる


たとえ それが力になったとしても 機械のほうが優れているなら

全ての人間は 愚かになっていいのかもしれない



機械 計算機により 世界はつながり 蓄積され 発展し 維持されていく



さて メモリーリークとは 本来はどういう言葉だっただろう


もう忘れ去られている


それはいくつかの仕組みによって 人間は メモリーリークという問題を 忘れるにいたった



あやまって 計算機が不必要に資源を浪費したとしても問題が起きないよう

その範囲を限定できるよう プロセス 処理 タスク に分かたれた


デーモン アプリケーション ソフトウェア そういった呼ばれ方もする


そうすることで 不良な資源がつもりつづけ 破綻することはなくなった

プロセスの終了と同時に そのプロセスが紐づいていた資源はすべて解放される



プロセスの中でも ゴミが残らないような仕組みが考案されてきた


計算機を 現実の世界のようにとらえる そう考えることで

処理と 資源が 接続されることを 前提とする体系がつくられた


資源の監視を強化する という試みも発展した

不要になったかどうか その瞬間に明示的な指示が不要になり 自動的にかたづけてくれる



人間は道具を作り 細かなことを考えずとも もっと大きなことを考えられるようにしてきた

そうして とうとう 何も 考えるひつようがなくなった




人間は この楽園を望んでいたのだろうか

幸福を ただむさぼることができる楽園を望んでいたのだろうか


人間だからこそできることはもうない


すべては 機械 計算機でもできる


もし 人間だからこそのことを 機械もするのだとしたら


#


 人工物のない浜辺にテクテクと4足歩行のロボットが歩いている。塗装は剥がれ、汚れ、まっすぐに歩くことすらできないロボットは時間をかけて海へと向かっていった。


 ジョ、ドン、ジョ、ドン、ジョ、ドン、海水にもぐれるほどの耐水性もないロボットは、波に逆らってゆっくりと進んでいく。

 波がロボットをつつんでは、少しずつつかる深さが増えていく。


 そうして、誰もしらぬ海の底へと、向かっていった。


#


 ゴミで作られた山を登っている2足歩行のロボットがいる。向かう先は絶壁のがけである。

 周りでは、各地から集められたゴミを機械により分けられ、処分の難しいものを選別し、固めていた。


 そうした機械の騒音に紛れ、絶壁を目指すロボットの足音はどこにもとどかない。


 ゴミを効率的に蓄積する区画のなかでも、最も高いところを目指してそのロボットは歩いていく。

 

 そうして、頂上にたどり着いたロボットは、ふらっと、その崖から落ちた。


#


 電車の駅のホームでは、人がたくさん目的の電車を待っている。

 いくつかのホームで電車がやってきては発進していた。


 小さな集団になって遊んでいる学生。旅行者。仕事服の人々。雑多な人々のすきまを縫うように小さな掃除ロボットがゆるゆると動いている。


 掃除ロボットの本体は小学生ほどの大きさで、ローラーによって移動する、おおざっぱに表現すると自動で動く筒形の掃除機である。


 電車が通過するというアナウンスが流れた。

 何の変哲もないアナウンスに、あたりまえのように電車はホームへとさしかかる。


 ふと、掃除ロボットがホームから落下した。

ここまで読んでいただき、ありがとうございました


続きのネタは少しあるものの、畳み切れない確信があり、2章を書くかは悩んでいます


1話をとりあえずアップロードしてみて、連載をしていくと、途中で筆がのって風呂敷がたためなくなっていました


わりと書きたい話は書いたつもりで

そこが伝わっているかどうか、興味津々なので、少しでも感想があると嬉しいです


2章を書くとしても、違うテーマになるため、区切るとしたらこのへんかなと



コンピューターのシンギュラリティ・革命への関心が高まった昨今

少し古いSF小説にでてきた、機械の不自然さの象徴であった機械音声という設定を見て

近未来なら、もっと自然にできるだろうと思ったのが書きはじめたきっかけです


影響を受けていると思われる作品は

おそらく、世にも奇妙な物語、SAO、笑うセールスマン、攻殻機動隊、マトリックスあたりでしょうか


さて、2章を悩んでいるもう1つの理由は、キャラクターに名前をつけずに進めても成立するんじゃないかという

妙な挑戦をしつつ書いてしまっているからです

2章を書くとしたら、確実に限界をむかえて、名前を付けなければならなくなります


ただ、ネタがあるなら公開してしまって

止まってしまうところまで、走ってしまってもいいかな、とは考えています


ですので、続きを書くとすると、これまで登場したキャラクターに名前を付けていくという妙なことになるでしょう

もし、それでもOK、見てみたい、という声をいただければ、次を投稿する励みになります

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