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最強メンバーのクラス召喚  作者: 柊さなと
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第二話 異世界召喚

ゴゴゴゴゴゴゴ………

 それからしばらくして、扉が無事開いた。見た目に反して人の手を借りていない。自動ドアだったようだ。


「目は冷めましたかな?ようこそ、リカナ王国へ。勇者の皆様、心よりお待ちしておりました。私は聖法教会教皇のアルメイだ。皆さんのご来訪、心より歓迎する」


 法衣を身にまとった白人の男性が出てきてこう切り出した。


 思いっきり日本語じゃねえか。と、思ったがどうにも妙だ。

口の動きと声が全く合致しない。まるで外国映画の吹き替え版を見ている気分だった。

 というか、はい、来ました。勇者だって、勇者。そうかぁ、やっぱそうだったかぁ。

 どうやら俺たちは本当に異世界に飛ばされてしまったらしい。

 

 こんなことを言われても、むやみに声を上げるものはいない。俺が念のためこの可能性を予告しておいたからだろう。いやほんとに言っておいててよかった。


 たとえどんな状況だったとしても決して騒がないでくれ。口を開いていいのは交渉役の

「歓迎感謝します。恐縮ですがどうして私たちがここにいるのか説明をお願いできますか」

 三浦君ただ一人だ、という風にね。


「もちろんだとも。君たちは大神サナト様によって悪しき魔族どもからこの世界を守るための勇者としてこの地へと喚ばれたのだ。そのため、全員にサナト様からの恩恵が授けられているはずだ。登場に時間がかかったのは許してほしい。君たちの安全を確認するのに時間がかかってしまった。こちらとしても万が一を起こすわけにはいかないのでね」


 ほう、サナト神か。サナト・クラーマに若干似てるな。ここはマハトマ関係がベースだったりするのか?というか魔族いるのね。

 なんにせよこの集団にこちらを傷つける意図はないらしい。ひとまずは安全そうだ。

 

「そうですか。少し安心しましたよ。なにせ突然床が光ったと思ったらここにいましたからね。安全は確保されそうでよかったです」


「無理もない。だが大いに安心してくれ。この王城にいる間はこのわしが安全を保障しよう」

 と、アルメイ教皇が口にするとその後ろから、おそろいの西洋鎧を着たいかにもな騎士たちが彼の後ろに整列した。


「彼らは聖法教会聖騎士団第一部隊の者たちだ。これからは彼らが護衛につくので襲撃の心配は無用だ」


 うーん、まったく安心できない。やはり護衛という名の見張りが付きましたか。しかも全員がなかなかの手練れですね。やはり精鋭なんでしょうか。戦力のトップレベルが彼らなら全然大丈夫ですけど。


 これは戦力の誇示ですね。効果は覿面です。忍など、戦闘になれた者たち以外はみな気おされてしまっています。


「騎士ですか…。それほど鍛えられた方々がいるとは、本当に戦が行われているのですね」

「そうだ。君たちにもこれから武術と魔法の訓練の後、戦闘に参加してもらうことになるだろう。まだ気持ちの整理がつかないかもしれないが、覚悟しておいてくれ」


 勇者は戦闘要員ということで確定のようだね。ワンチャン後方支援、なんてことはなさそうだ。

 そして、この方。今魔法って言いましたね。魔法。呆然としていた奴らもこれには反応せざるを得ない。


「魔法ですか。魔法とはいったいどういったものなのですか?」

「この世に満ちる魔力を使い、様々な現象を引き起こす技を私たちは魔法と呼んでいる。その様子だと、魔法がない世界から来たようだな。だが安心したまえ。サナト様に選ばれし君たちなら、間違いなく扱えることだろう」


 そういう認識か。ある程度の原理は理解されているようだな。魔法に関してはあとで詳しく聞きだしたのち、うちの研究者連中に詳しく調べてもらわないと。というか調べたい。



 さて、こういった状況で一番警戒しなければならないことは何か。

それは、精神を操る類の魔法だ。

 魔法に関する情報が不足しているときに行われる精神操作ほど恐ろしいものはない。

 しかもこのクラスの連中はただでさえ化け物だった。勇者となった今、敵にまわったらどれだけ脅威になるのか想像もしたくない。


 往々にして召喚された勇者は洗脳を受けるものだ。なにせ大きな戦力ならば使いやすいに越したことはないからね。また召喚したばかりの勇者なら国民でもないしあまり抵抗なく洗脳できるだろう。


 今のところは何か精神操作を施された様子はない。

 まあ、はじめから精神操作を行ったらこちらが敵対しても文句は言えない。こちらの戦力を見極めているといったところか。

 

 現在三浦が話している間にも、忍をはじめとする戦闘要員は常に警戒している。何か相手が不審な行為をしようものなら即座に取り押さえてくれるだろう。


 


「それでは、君たちを国王の前へとお連れする。くれぐれも失礼がないようにしてくれ」

「わかりました。わざわざ質問に答えていただきありがとうございました」

「なに、気にすることはない。君たちはこの国の救済の光なのだ。もっと堂々としていたまえ」

 とりあえず、最初の会話はうまくいったようだ。

 三浦は相変わらず見事な腕前だ。完璧に相手が予想した通りの様子を演じ、こちらの手札を見せずに情報を最大限引き出して見せた。クラスの代表として話すことで彼一人しか口を開かない不自然さを綺麗さっぱり拭い去っていた。

 

 お次は国王との謁見か。この国は王国らしいから、王は最高権力者ということになる。

 どんな人物なのかを把握することは、これからこの地で生活するうえで必要不可欠だ。


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