表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
最強メンバーのクラス召喚  作者: 柊さなと
4/24

第一話 見知らぬ場所

「……君。お……下さい。蒼……!」

 誰かが俺を呼んでいる気がする。

 なんだ。もう朝かい?


「知らない天井だ…」

 本当に知らない天井だった。こんなテンプレを口にしてしまうくらいには全く見覚えのない構造をしていた。


「寝ぼけてないで、さっさと目を覚ましてください」

「うわあ!びっくりした。大丈夫です。たった今完璧に覚醒しました」

「私の顔を見たおかげのようで釈然としませんが、まあいいでしょう」

 すみませんね。なにせあなたのような美少女に免疫がないものですから。


「現在、状況はどうなっていまか?」

「不明です。私たちは教室から何者かの手によってここまで運ばれたものと推測されます」


 改めてあたりを見回してみると、床にはクラスの連中が転がっていた。

 壁には大きな壁画が描かれ、天美しい女神とそれをたたえる人々が表されている。

 前方には立派な扉がある。細部にまで精緻な装飾が施され、かなりの芸術的価値のありそうな扉だが、カギがかけられとても開きそうには見えない。

 後方にあるのは祭壇…だろうか。見事な女神の像と蝋燭、いくらかの食物が壇上に乗せられていた。

 

「現在時刻は?」

「12時13分です。教室であの模様を確認してから約71分が経過しています」

「71分…学校から車で一時間程度の範囲内でこのような建造物は?」

「ありません。天井にガラスが張られていることからここが地上だと仮定すると、このような場所を持てる建造物は確認されません」

 だよなぁ…。ん?というか


「あの学校の警備を突破して、警報が鳴る前にさらうなんて芸当できるのか?」

「っ!確かに、慶聖学校は常に厳しい警備体制が敷かれています。誰にも気づかれずにさらうなんて芸当はどこの特殊部隊でも不可能です」

 そうなると、俺の何とも荒唐無稽な笑えない想定が現実味を帯びてきてしまったな。


「ひとまずみんなを起こそう。これ以上の議論はそれからだ」

「そうですね。少々取り乱してしまいました」

 取り乱しても万能っぷりは健在でしたね。打てば響くように的確な答えをくれる。

 まあ、慌てる皇さんはとてもかわいかったです。はい。


 全員を起こして人数確認。どうやらあの場にいた生徒はみな巻き込まれたらしい。

 突然の非常事態に皆さん動転していらっしゃるご様子。無理もない。こんな状況になって落ち着いていられる方がおかしいのだ。


「静かに!騒いでいても何の益もありません。まず、現状をお伝えします」

 皇さんはさっき俺と話したようなことを簡潔に、そして丁寧に説明した。

 それを聞いた皆はだんだんと落ち着きを取り戻し、状況を正確に認識していった。


「私たちが今どこにいるのか、どうしてこのような事態に陥っているのかともに不明です。しかし、なんにせよ私たちをここに連れてきた人々がいるはずです。その犯人グループとの交渉を最大限有利に進めるため、この役目を三浦君にお願いしたいと思います」

「犯人とですか…。了解しました。確かに私が務めるのが最善でしょう」

 三浦は会話、特に論戦のプロだ。交渉で彼がつまずく相手はそうそういない。


 まだ年相応に不安を隠せていなかった人も、ここで自分たちが何者で、この集団が何なのかを思い出してきたらしく、だいぶ表情が穏やかになってきた。

「そのうち犯人たちがやってくるでしょう。それまでは扉から離れたところで、ある程度リラックスして待機していてください」

 

 皇の話が一通り終わると、彼らはみなもう普通に過ごしていた。

 談笑したり、実験したり、パソコンいじったり、っておいなんで薬品やらパソコンやら持ってこれてるんだよ。没収されなかったのかよ。


 そんな自由なクラスメイト達をしり目に忍に手招きする。

「なんでありますか」

「お前でもあの時眠ったのか?」

 こいつはある程度の毒なら耐性があるはずなのだが。


「ええ。どうやら眠った原因は毒などの要因とは別のもののようで。どちらかというと何かの衝撃で気を失ったというほうが近いやもしれません」

 衝撃に気絶、ね。何ともありそうな話だ。


「ありがとう。参考になった。あと、くれぐれも警戒を怠るなよ。万が一攻撃があった際は防衛に回ってくれ。攻撃は原則しないように」

「御意に。それでは」

 うむうむ。何とも優秀な奴だこと。

 

 

 ここまできて、俺の中で一つの可能性が急速に浮上してきていた。

 さすがにないだろうと今まで思っていた。だが、ありえない環境に没収されていない持ち物、そして眠った原因が衝撃とくると、その可能性も無視できなくなってきた。


 そう。ここが異世界であるという可能性だ。

 今思い返せば、あの時現れた模様はいかにも魔方陣っぽかった。上方に光源はなかったし、机の下にもはっきりと表れていた。床自体にそんな仕掛けはなかったはずなのに。


 考えれば考えるほどそのような気がしてくる。

 まあ、万が一のためにね。一応対策しておくに越したことはないでしょう。


お読みいただきありがとうございます。

作者は学生で結構忙しいので、更新は基本不定期になると思います。

できるだけ早く上げれるように努力しますので、よろしくお願いします。

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ