0001プロローグ
クソゲー(だいたいレトロゲーム)の名前が結構出てきます。興味を持たれた方は是非ググってみてください。
1話2000文字前後、全62話の予定です。
(プロローグ)
桜が散るのは物悲しい。それまでの住処、それまでの仲間から引き離され、一人宙を舞い落ちる。そうなればもう元には戻れない。地面という泥濘に付着して、後は気まぐれな風に翻弄されたり、汚らわしい靴裏に踏みにじられたりするだけだ。
だから美しい、と人は賛美する。
そう、彼らは理解しているのだ。小枝から切り離され、錐もみ状に落下する、その僅かな一瞬。その刹那にこそ、何ものにも代えがたい美の極致があるのだ、と。そしてそれこそは、自分たちのたかだか70年の人生を映し出す最良の鏡である、と。
俺は、私は、秀麗な時を精一杯美しく生きているのだ。あの桜の花弁のように。
それは事実の確認ではなく単なる願望だった。だが人は気付かぬふりをする。花見と称して酒に酩酊し、乱舞する花びらが等しく示す「その最期」から目をそむけるのだ。
この滑稽な笑劇は毎年毎年飽きもせず繰り返される。酒宴に参加しないもの、できないものは、ただ爪を噛んで羨望とも憐憫れんびんともつかぬ複雑な感情を無音で空にぶつけるしかなかった。
そして、俺はそんな空中におけるひとひらの桜でありたいと願う。
……なんて意味ありげな出だしだが、別に格好付けたかったわけじゃない。中学生活頑張りますよ、ただそれだけの意味だ。




